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独立したセラピスト
はじめまして、おやゆび店長です。リラクゼーションサロンを営んでおります。
のんびりとした田舎町のアパートの一室でひっそりのびのびと暮らしながら、生きて生かされております。
3年前、世間はコロナ禍、スタッフは激減しつつお客さまは増える一方、私は地元のリラクゼーションサロン6店舗の統括マネージャーを任され、日々の激務に明け暮れていた。
10年以上、精神的支柱となってくれていた彼と決別した2ヶ月後、炎天下が続く真夏の日に突然、最愛の父が亡くなった。
精神科に通っているコミュ障の弟、祖母の介護は絶対にしないからと断言する母、遺産相続に口を挟んでくる叔母を横目に葬式を済ませ、父の友人を頼りながら父親が抱えていた裁判や手続き等を全て終わらせた。
時折、父を失った寂しさに襲われながらも、それを埋めるように認知症を患った祖母の介護を率先的にやるようになっていった。
とにかく全員が無事に過ごせればいいと毎日走り続けていたが、意味のわかないことを言い出しては暴れ狂う祖母、それに続いて発狂する母親、弟の冷ややかな言動や癇癪、立て続けに見つかるスタッフの不祥事とその対応、会社組織内の人間関係の板挟み、何もかもが狂っているように見える日々だった。
「人間とは恐ろしい生き物だ」
何かがおかしいと悟った時、プツンと弾ける音がした。
父が亡くなった1年後、元カレからの安否確認の連絡に救われた。現状を話し知恵を借りながら実家から近いアパートの一室を借りて独立開業をした。
今まで培ってきた人脈と仕事術をフルに使い、母と古くからの友人の人脈を借りたスタートで、その月には生活に困らない程度の売上を上げることができた。
時間の合間を見つけて店舗運営の基礎土台と管理システムをつくり、ポータルサイトとSNSを連携した集客システムを組んだ。新規顧客も安定して入ってくるようになった頃、祖母は要介護4に上がり老人ホームへの入居が認められた。
空き時間に充てていた面倒な業務は簡易化し、暇を持て余す時間が増えた。私の内心は漠然とした空虚感に襲われていた。
アラサー独身、子なし、彼氏なし。
貯金なし。仕事が趣味、趣味は仕事。
… 暇=退屈な時間 …
「果たして、私は今まで何をやってきたんだろうか…
このままでいいのだろうか… 」
と自分自身と対話する日々が始まった。