R6年度 京大ロー再現答案
(再現に関しては全て無料で読むことができます。)
こんにちは。たちでらまさきと申します。
現在、北海道大学の法科大学院に通っています。
昨年の秋に受けた京大ローの再現答案(答案構成)をようやっと投稿します。(まだ昨年の過去問とか解いてないと思うから、時機に後れた再現答案構成の提出ではないはず…!)
既習1年目の夏学期の期末試験が終わり、うおおおおお!遊びに行くぞ!!!という欲をぐっとこらえ、重い腰を上げてキーボードを打ち始めたので、少しでも役に立てていただけたら幸いです。なお、再現自体は受け終わったあとすぐ、記憶が新鮮なうちに書いたものですのでご安心ください。
京大はんの出される出題趣旨はえらいきれいにまとまってるやないですか?(京言葉)
だから、先輩方の書かれていた再現答案は直前期にとても役に立ちました。ぜひ、僕の再現の良い部分は参考に、悪い部分は反面教師にしてください。
また、有料部分には、書類点、学部GPA等のネットの大海に流すのは気が引けるものも記載してあります。どうしても見たい!という方だけご購入ください。
各科目、書いた分量を記載してありますが、以下の通り、受験生の中では相当字が大きいタイプなので、ご自分の文字の大きさと比較したうえで、僕の書いた分量を参考にしてください。
憲法 58点
第1問(3.5頁)
1. プライバシー権
⑴ プライバシー権→自己に関する情報を自ら管理する権利。
→20年間登録されるからプライバシー権の制約がある。
(プライバシー権は北大ローでも出題されたので、定義とかを復習したはずなんですが…)
⑵ 権利の性質
プライバシー権保護の根拠は私生活領域の保護にある。本件制約は情報が収集される過程での制約だから、情報公開過程に比して要保護度は一段劣後する。(見ての通り、人格的利益説の論証すらしていません。)
⑶ 制約の程度
当該情報の照会が認められるのは本人だけ
→制約の程度も小さい。
⑷ 違憲性審査基準
合理性の基準(目的:正当、手段:合理的関連性)
⑸ 目的審査
子供に対する性犯罪はその精神的衝撃から特に防止する必要性がある。
→目的は少なくとも正当
⑹ 手段審査
前科のある者を子供に関わる業種に就かせないことで、当該性犯罪は減少するように思われる。
→合理的関連性あり
⑺ 結論
プライバシー権との関係において本件法律は合憲。
2. 職業選択の自由
⑴ 事業者は前科がある者を採用してはならない。
→前科があると子供に関わる業種に従事することができない。
→職業選択の自由の制約
(営業の自由は経済的自由だから、より精神的自由に近い職業選択の自由を検討するものとした。ロースクールタイムズさんは職業選択、営業、プライバシーをすべて検討していましたが、ぼくは本番で3つ書く時間はないと判断して、営業の自由は割愛しました。)
⑵ 権利の性質
どの職業に就くかは、単に生計を維持するのみならず、どう生きるかという人格面にも影響を与える。
→重要な権利
⑶ 制約の程度
過去に性犯罪によって有罪判決を受けたことのある者を採用してはならない。
→半永久的、事前規制
反論:子供に関わる業種のみ
→そのような職は学校、保育所、塾、習い事等の多岐に及ぶ
→就労の幅が著しく制限される。
⑷ 違憲性審査基準
厳格な基準(目的:必要不可欠、手段:最小限度)
⑸ 目的審査
必要不可欠と言って差し支えない。
⑹ 手段審査
心を入れ替えて働こうとする人々の就労先を大幅に制限することになり、その反動として性加害を行う可能性が十分に考えられる→適合性すら疑問
5年以内の再犯率は13.9%であり、無視できない程度であるとはいえるが、性犯罪の厳罰化など他の取りうる手段が考えられることから必要最小限度とは言えない。
(行政法→憲法第2問→第1問の順に解いたので、ここら辺を書いているときには残り5分を切っていて、手段審査はかなり雑になってしまった。)
⑺ 結論
本件法律は、職業選択の自由との関係で違憲。
以上
日本版DBSってやつですね。合格思考憲法で似たような問題を解いていたので、マシな答案は書けたと思いたい。
第2問(2.1頁)
1. 法律上の争訟
⑴ 司法権の意義
司法権とは、具体的な争訟につき、法律を適用し、宣言することで、これを裁定する国家作用をいう。ここで、具体的な争訟とは、法律上の争訟(裁判所法3Ⅰ)と同義であると解されている。法律上の争訟とは、当事者間の権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、法律を適用することにより、終局的に解決できるものをいう。(答案ママ)
⑵ 訴えAについて
歳費の支払い請求をしている。
→国と甲との間の歳費支払い債務が発生しているかに関する紛争。
法律を適用することで終局的解決可能。
よって、法律上の争訟に当たる。
⑶ 訴えBについて
損害賠償請求をしている。
→国が乙に対して損害賠償義務を負うかに関する紛争。
法律を適用することで終局的解決可能。
よって、法律上の争訟に当たる。
(こんなに雑に法律上の争訟性を認めてしまったが、招集の利益、国会議員の職務遂行の自由などを考慮し、侵害された利益の特定が必要だったようですね。よくわからないけど)
2. 統治行為
⑴ もっとも、論理的には司法審査が可能である場合であっても、三権分立の観点から司法権は制限を受ける。
高度に政治性を有する行為は統治行為として、司法審査が及ばない。
⑵ 訴えAについて
表面的には衆議院の解散について違憲審査を求めるものであるため、統治行為に当たり司法審査は及ばないようにも思える。
↔論点は、衆議院の解散が69条の自由に限られるのか、7条に基づき民意を問うための解散が認められるのかについての法律論に集約される。
性質上、司法審査が適さないとは言えない。
よって、違憲審査可能。(…典型的な統治行為ですよね、、、苫米地事件ご存じない???)
⑶ 訴えBについて
臨時会を招集するか否かは国家統治に関する事項。
→統治行為
よって、違憲審査不可能。
以上
(選挙制度の問題が嫌いすぎて、三権分立の問題に山を張っていたので、司法権だとわかってホッとしました。それでも、いい答案は書けなかった。けど、みんなそんな書けてないでしょ?)
行政法28点
(2.6頁)
問1
1. 提起すべき訴訟
⑴ Y市は申請拒否処分をしなければならない(条例①)。ABが内定したこと、その理由が記載された文書の送付は申請拒否処分ではないと考えられる。
→申請に対して不当に応答していない状態
→申請型義務付け訴訟
⑵ 上記文書が申請拒否処分であるとすると、取消訴訟と申請型義務付け訴訟の併合提起。(…そもそも処分性があるのかについての悩みが必要だった。)
2. 違法事由
⑴ 理由の不備
理由の提示の趣旨は、行政庁の判断の慎重性を担保し、恣意を排除すること及び、被処分者の不服申立ての便宜を図ることにある。
AB内定、その理由のみの提示だとABCを比較し判断したのかが明確でなく、恣意の排除という趣旨に反する。
Cの案が採用されなかったことについての不服申立ても困難。
→理由の提示に不備がある。
手続の瑕疵が処分の効力に与える影響は?
→制度の根幹にかかわるような重大な瑕疵は取消原因となる。
上記趣旨から理由の提示は重要。
よって、理由の不備を主張。
問2
1. 訴えの利益
⑴ 訴えの利益は9Ⅰかっこ書きの場合に認められる。
⑵ 処分の取消しが認められたとしても指定期間が満了している以上回復すべき利益はないとも思える。
↔毎月100万円の委託費を受け取れるはずだったのだから、瑕疵ある法的地位に過ぎない。
→回復すべき地位がある。
訴えの利益があるため、訴訟は却下されるべきではない。
(本当か?営業を停止していたなら委託費も受け取る地位にないのでは?この悩みについては答案に表すべきだった。時間がなくてスルーしてしまった。)
以上
(訴えの利益(笑))
商法 56点
第1問(2.6頁)
1. Bが代表取締役に選定されたことの有効性
⑴ 取締役会設置会社だから株主総会を招集する際には取締役会決議によらなければならない(298Ⅳ)。
→取締役会決議がないから総会の招集に瑕疵がある。
総会は取消訴訟が法定されていることから、取り消されるまでは有効なものとして扱う。
→第1決議は有効
⑵ もっとも、瑕疵ある総会の影響を受けて開催された役会は瑕疵があり、原則通り無効であると解する。
(ここが論理的に書けなかった。招集通知漏れは瑕疵が重大だから、全員出席総会によらなければ瑕疵が治癒されない。という判例を押さえてなかった。まあしょうがない。)
2. 本件契約の有効性
⑴ 取締役は一切の権限を有する(349Ⅳ)。しかし、無効な役会決議により代取に選任されたBは代取としての地位を有さず、本件契約を締結する権限がない。
(事業譲渡、重要財産譲渡について触れていない。子会社=一事業という捉え方をしていなかった)
⑵ 株式会社と取締役の関係は委任関係(330)であるところ、代理権なくして会社を代表して契約をした場合は無権代理(民113Ⅰ)となるものと解する。
⑶ であれば原則無効となるが、第2決議が「追認」(民113Ⅰ)にあたれば有効。
本件における「本人」はP社であるところ、第2決議は株主総会において大多数の株主の賛成によりなされていることからP社による意思表示であるといえる。
よって、第2決議は本件契約の追認に当たる。
⑷ 以上より、本件契約は有効。
以上
(会社法は前々から苦手で、京大に向けてかなり力を入れただけにこの程度の問題の処理ができないのはシンプルに悔しい。)
第2問(2.7頁)
1. 株主であることを会社に対抗するための手続
⑴ 種類株式発行会社ではないから、原則通り株式の譲渡は自由(127)
株式会社に譲渡を対抗するには株主名簿に氏名…を記載しなければならない(130Ⅰ,Ⅱ)
譲渡人と共同して名義書換請求(133Ⅰ,Ⅱ)
(上場会社という情報をうまく使えるらしいです。振替株式制度がどうこうとか、社債、株式等の振替に関する法律云々とか。もっとも、そんなのごく一部しか書けないに決まってるので、これだけで沈むことはないと思います。)
⑵ 130の趣旨は会社の事務処理の便宜に資することだから、不当拒絶の場合は対抗可能(∵信義則)
2. 閲覧謄写請求の可否
⑴ 有価証券元帳は会計帳簿類似資料(433Ⅰ①)
(ここはちゃんと論じられなかった。ただ、会計帳簿類似資料の意義を押さえてた受験生なんているんですかね?)
⑵ 拒絶するにはⅡ各号事由に該当する必要がある。
③にあたるか?
(③の趣旨は会社への被害を未然に防ぐことであるということから理由付けできればよかったが…)
「実質的に競争関係にある」とは、市場で競合のおそれがあることをいうものと解する。
→Q社は放送関連事業への進出を計画していることから、市場で競合のおそれがあるといえる。
(356条の規範から借用しました。が、よくよく見てみると、独禁法2条4号に定義がありました。)
⑶ P社は閲覧謄写請求を拒むことができる→Q社による同請求は認められない。
以上
(手形と商法総則は????手形が出ないのは予想通りとしても、商法総則は出してくれよ…計算なんて知らねえが?????のお気持ちでした。)
民法 57点
第1問(3.8頁)
問1
1. 甲の返還請求の可否
⑴ XはBに対して所有権に基づく返還請求として本件請求をする。XはAから譲渡されている。Bはその譲渡後に無権利となったAから甲を譲渡されており、両者とも占有改定により引き渡しを受けているから、先に引き渡しを受けたAがBに優先する(178)。したがって、上記請求は認められるのが原則。
(返還請求の要件は、X所有、B占有で、B占有については特に問題ないが、X所有についてはもう少し問題意識を持つべきだった。すなわち、譲渡されているとはいえ、譲渡担保に過ぎないから、完全なる所有権とは別なのでは?→所有権的構成、担保権的構成のどちらを取るにせよ、担保権設定者のもとに返せという主張は可能だろう といった悩みを答案で見せるべきだった。結局は178に流すんですが。)
⑵ これに対して、Bは即時取得を主張する。
占有取得の方法
・占有改定でいいなら2021・11・1の段階だが…
占有改定は外形的に見て物の移転がないから×
・現実の引き渡しを受けた時には悪意だが…
占有改定時に善意ならば、現実の引き渡し時には悪意だったとしても善意による占有開始であると解する。
→2022年11月2日時点で善意の占有取得あり
(悪意に転化した場合でも善意取得が認められるっていう規範があった気がするんですけど、どこで見たのか思い出せないし、裏も取れない。)
その他要件
「取引行為によ」る→○
平穏公然→推定(186Ⅰ)
無過失→Aが甲を占有していることから推定(188)
したがって、Xが推定を覆せない限りBは甲を即時取得する。
⑶ 以上より、上記推定を覆せない限り、Xの上記請求は認められない。
(Xの譲渡担保権はまだ実行できないことがどう関係してくるのかよくわかりませんでした。)
問2
1. 優先弁済
⑴ 物上代位が考えられるが、譲渡担保権に基づく物上代位は法定されていない。
→質権に基づく物上代位(350,304)の準用を考える。(抵当権も考えたけど、抵当権って不動産だよな… 動産がメインの質権でそういうのないかな~って条文めくってたら350を見つけたのでこの筋にしました。もっとも、譲渡担保権に基づく物上代位は判例で認められているので、こんなに自説を長々と書く必要はなかったように思います。その判例を知らなかったので、答案政策上仕方がなかったとは思っていますが。)
⑵ 質権と譲渡担保権はどちらも動産の価値を把握する担保権。
質権は占有の継続が対抗要件の要物契約(352,342)だから性質異なる?
滅失した場合にはほぼ同質
→準用の基礎あり
保険金は甲の価値転化物。
⑶ 保険金債権の質権設定は払渡しまたは引渡し(304Ⅰ但)にあたる?
債権譲渡は払渡しには当たらないのだから、質権設定も同様。
→物上代位可能
(動産だから最判H17・2・22を参考に、否定すべきだった。)
⑷ 先に債権を差押えることで優先弁済を受けることができる。
以上
第2問(3.4頁)
問1
1. 明渡請求の可否
⑴ 解除による原状回復で、A所有、C占有だから、原則として所有権に基づく返還請求として本件請求は認められる。
⑵ ⅰ.Cは自己が第三者(545Ⅰ但)であると反論。
第三者とは、解除前の第三者 ∵遡及効からの保護が趣旨
→Cは第三者にあたる。
ⅱ.登記いる?
権利保護要件として必要 ∵帰責性のない解除者との均衡
→Cは土地に対する登記なし
→もっとも、借借10Ⅰ
したがって、第三者として保護される。
⑶ Cが第三者に当たり、解除を対抗できないため、明渡請求不可。
2. 賃料請求の可否
⑴ Cが権利保護されるのはあくまでも賃借権の範囲。
所有権については原則通りAに復帰する。
賃貸人の地位もBからAに移転するものと解する。
∵被解除者を契約関係に拘束しておくのは合理的でない。
⑵ 解除当事者の関係は、免責的債務引受類似の関係になるから債権者(賃借人)の同意を要する?
→賃貸借は不動産を使用収益させるだけの受動的債務だから、債務者の個性は問題とならない。よって、同意なくして当然に地位が移転する。
→Aが賃貸人の地位を当然に承継する。
⑶ Aが賃貸人だから、従前の契約通りの債権を行使できる
→賃料請求可能。
問2
1. A→B
⑴ A所有、B占有だから、原状回復請求として甲の返還請求。
⑵ 減価しているから、価額賠償700万円。
(賃料140万円忘れてました。)
2. B→A
⑴ 原状回復請求 既履行の1500万円。
1.⑵700と相殺できる。
双務契約から生じた債権債務だから、両者は同時履行関係。
→差し引き800万円の返還を受けるまで返還を拒める。
以上
(解除と第三者の論点は北大ローでも出たので、北大に感謝感謝北大しゅき!!!と思っていましたとさ。)
民訴 31点
(2.9頁)
問1
1. 和解契約の訴訟法上の効力
(法的性質から述べ始めていますが、その前に明文なき訴訟契約の適法性について述べるべきでした。)
⑴ 訴訟契約説
…直接訴訟法上の効果をもたらす。
→訴えの取り下げが認められる。
⑵ もっとも、和解は「互いに譲歩」していることから権利義務関係が捻じ曲げられている可能性があり、直接の効力を認めるのは妥当ではないと思われる。
(これは独自の理由付け)
そこで→私法契約説
…あくまでも私法上の契約に過ぎず、訴訟法上の効果は有さない。
→私法上の効果として、取り下げ義務があるため、訴えの利益を欠くとして訴え却下。
問2
1. 必要な審理
⑴ 訴訟物の確定をすべき。
⑵ 既判力の根拠は、蒸し返し防止・手続関与の自己責任にある。
→訴訟物について既判力を認めれば十分。訴訟物についてのみ自己責任が妥当する。
→訴訟物が同一、先決関係、矛盾関係にあれば既判力に抵触。
⑶ 本件訴訟の訴訟物は不法行為に基づく損害賠償請求で、後訴の訴訟物も不法行為に基づく損害賠償請求である
→訴訟物同一
2. 後遺障害による損害
⑴ 先述のように、本件訴訟と後訴は訴訟物が同一であるため、既判力に抵触し許されないのが原則。
⑵ 前訴が一部請求なら訴訟物に含まれず、適法。
では、一部請求後の残部請求は可能?
→明示説 ∵処分権主義の趣旨は原告の合理的意思の尊重、当事者への不意打ち防止にあるところ、一部請求であると明示されていれば不意打ちとならない。
⑶ 後遺障害による損害賠償は?
…前訴は明示の一部請求に当たり、後訴は既判力に抵触しない。
∵前訴で主張するのは不可能。
→本件も同様
⑷ 後訴裁判所は、Yの主張を排斥し、審理を継続すべき。
以上
刑法 61点
第1問(3.5頁)
第1. 甲の罪責
1. 業務上過失致死(to B)
⑴ 業務…人が社会生活を送るうえで反復継続して行う行為であって、人の生命身体に危険を及ぼすおそれのある行為。
→運転は反復継続して行う。危険性ある。→業務
⑵ 過失…予見可能性に基づく予見義務、回避可能性に基づく回避義務の違反。
→「自分やAが負傷するかもしれない」→およそ人に対する結果発生の予見可能性はあったといえる。Bを認識していなかったから回避可能性はない。
→過失なし
⑶ 業務上過失致死不成立。
(ロースクールタイムズさんは、「信頼の原則との関係で、結果回避義務違反が認められないのではないかを検討する必要がある」と言っているんですけど、どこに信頼の原則が出てくるのかわかりません。)
2. 傷害罪(to A)
⑴ Aは傷害を負っている。
⑵ 「Aが負傷するかもしれない」→未必の故意
⑶ 緊急避難の成立可能性
甲の生命に対する現在の危難を避けるため○
やむを得ず(補充性)→ハンドルを切らなければ甲は確実に死亡→○
結果の均衡→(甲の死亡+乙、Aの軽傷)<(Bの死亡+乙、Aの重傷)→×
→過剰避難(37Ⅰただし)
⑷ 傷害罪成立、過剰避難で任意的減免。
第2.甲の罪責
1. 過失傷害(to A,乙)
⑴ 高速道路を横断しようとしたら車に急ブレーキを踏ませるなどして人の生命身体に危害を加える可能性ある。一般人をして当然に予見でき、回避も容易。
→過失あり(建造物侵入を検討すべきだった)
⑵ 甲がいなければ、乙はハンドルを切る必要がなく、A,乙が負傷することはなかった→因果関係あり。
⑶ 過失傷害罪成立
⑷ 事理弁識能力を失っているから心神喪失(39Ⅰ)で不可罰。
2. 過失致死(to B)
⑴ 過失は同様
⑵ 因果関係も同様
⑶ 過失致死成立
⑷ 事理弁識能力を失っているから心神喪失で不可罰。
3. 罪数
過失傷害罪、過失致死罪の罪責を負う。両者は牽連犯となるが、心神喪失で不可罰。
以上
第2問(3.9頁)
第1.甲の罪責
1. (1項)詐欺罪(to B)
⑴ 背任罪が成立するようにも思えるが、甲は既にAに対して移転登記に必要な書類を手渡していることから、やるべきことはすべて行っている。そのため、他人のためにその事務を処理する者に当たらず、背任罪は成立しないものと考える。
⑵ そこで、詐欺罪を検討する。
人を欺く行為→○
錯誤→安心している→応じないことが確実→重要な事実の錯誤→○
交付行為→1000万円の融資
損害→上記1000万円は、甲A間の事情を知っていたら融資しなかった財物→○
したがって、詐欺罪成立。
2. 横領罪(to A)
⑴ 上記の理由から背任罪は成立せず、業務性もないと考えられることから業務上横領も成立しない。そこで、(単純)横領を検討。
⑵ 委任委託関係→売買契約の当事者だから認められる→○
占有→まだ引き渡していない→○(問題文の事情からそう判断したが、そもそも登記を有していれば占有者だという判例(大判T3・4・13)があるから、それに沿って書けばよかった。)
横領…不法領得の意思の発現
横領罪における不法領得の意思とは、もっぱら利用処分意思をいう。
→不動産の売却は所有者であるAしかできないところ、委託に背き権限外の売却をしていることから、甲の行為は横領に当たる。
3. 罪数
甲は詐欺罪と横領罪の罪責を負い、両者は併合罪。
第2.乙の罪責
1. 横領罪の共同正犯
⑴ 乙は実行行為を行っていない。そこで、共謀共同正犯の成否を検討する。
① 共謀
執拗かつ強硬な説得→甲が渋々了承→○
② 基づく実行
共謀通りの売買契約→○
③ 正犯意思
・今後の値上がりを期待→自己の利益
・執拗に働きかけた→甲の意思決定に重大な関与
→○
⑵ もっとも、乙は占有者の身分を有さない。
65Ⅰは真性身分犯の成立と科刑について定めた規定だから、乙は65Ⅰにより、共同正犯として可罰。
⑶ 以上より、乙の行為には横領罪の共同正犯が成立し、乙はその罪責を負う。
以上
(本問の大テーマは横領後の横領だったようですが、抵当権設定につき横領を検討しなかったので大きく沈んでいると思います。)
刑訴 23点
(2.4頁)
1. 訴因
⑴ 訴因の機能→公訴事実の明確化、防御機能
⑵ 256条の書き写し→捜査の初期段階だから、すべてを明示しなければならないとすると真実発見が困難→捜査の進展と防御機能との均衡を考慮したうえで、相当程度の特定があるか。(よくわからなかったから、独自の規範をでっち上げた)
⑶ 傷害の主体、日時、場所、方法、死因が曖昧(問題文を書き写して評価。ここにだいぶ紙面を使った)→特定が足りず違法。
以上
(本当に書くことこれしかないのか???なにか論点を落としてる気がする…
訴因の機能は、審判対象を確定する機能=識別機能と、防御対象を明確化する機能=防御機能です。訴因の変更でも必要な知識なのでちゃんと覚えましょう。Twitterでは公訴権濫用を大展開したという方もいたので、この筋が正しいかは定かでないです。)
結果としては刑訴が一番の敗因っぽい。多分、+5点くらいで合格最低点を超えていたようなので、刑訴がもう少し良ければ合格もあった。もうちょい典型的な分野出してくれよ(笑)
全体を通してみてみると、憲法や民法は北大ローで出題されたのと同じ分野が出ていたりと運も味方してくれていただけに、これで合格できないならば仕方ないなとは思えますね。
運が良くてこれなのだから、実力はそれより遥か下ということです。R7司法試験に向けて少しでも差が縮められるように努力しないといけませんね。
最後に
最後になりますが、京大ロー受験生の方へ。僕は学部4年次に受けた予備短答が終わってからようやく勉強のやる気が出始めたという非常に体たらくな人間で、4年の7月まで憲法、商法、民訴、行政法の論文答案は書いたこともないレベルでした。そんなやつでも4か月弱あればこの程度の答案が書けるようになります。
今まで努力されてきた皆さんですから、この先努力を怠らなければきっと結果はついてくると思います。周りは就職先が決まって旅行に行ったりしているかもしれませんが、惑わされずにあとちょっとの間駆け抜けてください。受験直前期こそが最も学力が伸びる期間ですから。
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