#医師も人間です
2/16 《緊急》医師の働き方シンポジウムで講演した。
その4日後、第19回医師の働き方改革に関する検討会で
これまでの1,920時間から”1,860時間”と3%減の時間外労働の上限設定が
事務局案として出された。
このまま医師は、過労死水準の2倍近くの数字で決まってしまうのか?
産婦人科になりたての若手医師を失ったばかりなのに
このまま、長時間労働の環境が容認されても仕方ないのか?
医師と国民がフラットに、広く、この議論をすべきではないのか?
参考になればと、先日のシンポジウムのスライドを共有する。
産婦人科医のリアルと全体像を理解してもらえれば幸いである。
労基署の介入を経験した友人の実例を元に、今回のプレゼン内容を作成した。
まずは
時間外労働180時間/月(年間2,160時間)を
80時間/月(960時間)に下げられる方策を検討した。
キーになるのは、この3つ。
実際のケースをいくつか見てみよう。
大学病院で勤務する場合の一般的な勤務形態。
週に1回は外勤(大学の関連病院での勤務)
→大学からの給与は多くないため、生活のためにも必須。
20時に帰れる時ばかりではなく、翌日のカンファ準備で
0時を回ることもある。
結果、およそ年間1,440-2,000時間の時間外労働が起こり得る。
こちらは、常勤4名での地域周産期センターでの事例。
大学からのサポートがないと、当然ではあるが
2日に1回は夜勤か、オンコールとなる。
年間およそ2,400時間の時間外労働。
常勤が増えて、夜勤の回数が減っても、時間外労働はなかなか減らすことが難しい。
年間1,440時間以上の時間外労働となる。
これって、労働基準により過労死ライン(年間960時間)を大きく超えている。
全くもって、持続可能な労働環境ではない。
ここで、産婦人科の特殊性に触れる。
2つの特殊性から
産婦人科では、より良い働き方が求められる!!!!!!!
若手の女性医師の割合がすごい!の図。
というわけで、産婦人科は、働き方改革に力を入れている科になっている!
(まさに、ピンチは大チャンス!!!!)
医療改革委員会の海野先生(北里大学産婦人科教授)をはじめ、多くの上の先生方が積極的に活動!
「医師の働き方改革に関する検討会」に対しても、すぐに提言を行ない、学会の考えを述べた。
産婦人科の常勤医師数はほぼ横ばい。
医師の全体数は、これほどまでに増えているのに、、、
ただし、平成28年を境に産婦人科医を専攻する人間は上昇へ
個人的には、時期が若手委員会(リクルートを目的に発足)が
未来委員会の中に発足された時期と合致しており
産婦人科学会が思い切って、若手を起用した効果が出ていると思っている。
来年を見てみないとわからないが、、、
(解説)
医師の約5%が、産婦人科医になる。
緑のラインが産婦人科を選んだ医師(産婦人科専攻医)が
受験した年の医師国家試験合格者数(医師になった人数)
ピンクの棒グラフと緑が接すると、ちょうど5%
平成26-29年は5%を下回っていたことがわかる。
(参考)
医師の門戸は急速に広がっている。
増加分の多くは、医師の地域格差を是正するために作られた地域枠。
驚くべきは、分娩施設のうち
一般病院が、1,003(2006年)→635(2018年) 37%の減少
診療所が、1,818(2006年)→1,314(2018年) 28%の減少
と、お産ができる場所はどんどん減っている。
ただし、周産期センターが、404(2006年)→531(2018年) 31%の増加
と、減少した一般病院から、周産期センターへアップした施設もある。
いずれにしても、分娩施設はこの12年で、大幅に減少。
はじめの3ケース
たくさん夜勤をやっていました。
ちなみに、一般的によく使われる「当直」という言葉がありますが
医師として診療行為を行わないような勤務が本義。
というわけで、我々産婦人科医は、全員"夜勤"をやっていることになる。
(すべて、労働時間)
そもそも、労働基準法では、週1回の夜勤が上限とされている。
月にすると、"4.3回"!!!
産婦人科医は、他科と比較しても多そう。
先ほどのスライド
時間外労働がグッと減った!
以上より
1人体制では、"8人"
2人体制では、"16人"
の産婦人科医が必要!!!!!!!
(イメージ補足)
週1回の夜勤体制を作るなら、単純に7人必要。
土日の日勤を考慮すると、8人必要。
夜勤が1人で回らない(業務量が多い、緊急帝王切開を迅速に行う環境構築)
場合には、2人体制や3人体制があり
2倍、3倍となる16人、24人が夜勤をできる人員として必要となる。
(夜勤のルールを)
守れている地域周産期施設は、数少ないのが現状。
(補足)
今後は、外勤についても時間外労働にカウントされるとのことなので
大学人事は、どうなるのか?
忙しい時間帯に、余裕のある時間を渡す。
(通常勤務とインターンとの中間的な働き方)
通常の労働時間。
週1回、夜勤をしていると月64時間もアップ。
変則労働時間制を用いると、一部の常勤時間を広げてくれるツール。
時間外労働時間をもっと下げるには
「変形労働時間制」!
時間外労働を極力少なくし、やっと「80時間」!!!!
事実、夜勤以外の時間外労働はげ
ただし、若手に限定して考えると、労働時間はまだまだ長そう、、、
ここからは、2つの施設ヒアリングから。
変形労働時間制の亜型。
「変形労働時間制」に欠点があるとすると、翌日夜勤明けに帰宅するため
日中の産婦人科医が少ない
鍵は
チーム医療、タスクシェア・タスクシフト!
ラスト!!!!
子育て中の医師の活躍!!!!
本当に助けられる。
女性医師も、本当は働きたい!!!!
例えば
分娩施設の重点化(集約化)によって
分娩施設は少なくなり、アクセスが悪くなる
例えば
変形労働時間制により、夜勤後には医師が帰宅するようになると
主治医が毎日いる世界は終わり
完全チーム制へ
(いつも同じ先生に診てもらうことは難しくなる)
これは、みんなの医療の関わり方が変わるという話。
ぜひ、みんなできちんと話をしていきたい。
1,860時間!!!!
と、数字だけが(ある意味、勝手に)決まってしまうだけでなく。
なぜ、これだけ医師が働く必要があるのか?
本当に、それだけの医療提供が求められているのか?
#医師も人間です
#医師の過労死を防ごう
#1900時間は違法です
#過労死か患者安全か
参照
そもそも、勤怠管理がきちんとされていない
オンコールの手当なし(タダ働き)
何回でも、夜勤!(10回とかすることも!)
4.3回を超えるのは、労働基準を超えることに
夜勤明けに帰宅しているケースは、まだまだ少ない