ママ・パパのコミュニティ作りやコンセプト言語化は難しい。何から手をつけたらいい?
この記事の元となる音源「Morning House」は、音声SNSアプリClubhouseで毎朝6:50から配信しています。一週間で一人の人生が「劇的」に変わる、新感覚のライフチェンジング番組です。
https://www.clubhouse.com/club/morning-house
Before-Afterのような「劇的な変化」を起こすプロデュースで、一人の人の生き方を変える「Morning House」、今週のライフチェンジャー(=人生を変えたい人)は、シングルマザー・上田美雪さんだ。彼女の夢は今、実現に向けて急ピッチで動き出し、「新しいスタイルの保育園」や「移動型キッズクラブ」等となってかたちを成し始めている(構想の詳細はコチラの記事をご参照ください)。10/23には「子どもと大人のリトリート」というイベントを開催する予定になっている(於:軽井沢)。今日は、今後の活動の肝となる、人と人をつなぐコミュニティづくりに詳しい・西村創一朗さんの知恵をお借りしながら、彼女の「これから」について語り合った。
ママ友みたいな関係を築くのが苦手なパパたち
美雪さんは、コミュニティに関して2つの問題意識を持っている。
①ママやパパがざっくばらんに本音を語り合えるような場、コミュニティをつくるのに、どこから手をつけていけばいいか。
②全国各地を回れる移動型のキッズクラブを事業化したいのだが、コンセプトなどをどう言語化し、輪郭をはっきりさせていけばいいか。
この両方について、さっそく西村さんに聞いた。彼の見解はこうだ。
まず、①について。
「僕は学生結婚をして、19歳で父親になりました。パパになるのが早かったんですね。そんな僕が『自分は父親らしくできているだろうか』と悩んでいた時期に、偶然、ファザーリングジャパンというNPO法人に出合いました(以下「FJ」と表記)。男性の子育て・家事支援や夫婦のパートナーシップ支援などの活動を展開している団体です。いま僕はそこの理事をしていますが、パパをつなぐコミュニティづくりをFJで学びました。男性って、ママたちのように、すぐに懇意になってママ友関係みたいになることが苦手で(笑)、プライドのせいか悩みごともうまく吐き出せなかったりするんです」
これは、昨日行われたパパぶっちゃけの座談会でも出た話だ。そんなパパたちをうまくつなぐにはどうしたらいいのだろうか。
「弱みをさらけ出す=かっこいい」という空気が大切
「僕は、『空気づくり』が大事だと思っています。僕がFJに参加した当初驚いたのは、『何でも話していいんだ』というその空気だったんです。FJのパパさんたちは、たとえば毎朝、家族のお弁当をつくったりしているんですけど、彼らは大手総合商社の子会社の社長だったり公認会計士だったりするんですね。その彼らが『実は今、妻ともめてまして……』って普通に切り出す空気がFJにはあって、彼らがかっこよく僕には見えた。『さらけ出す=かっこいい』という価値観が空気のようにできていたんです」
これは重要な指摘だと思う。いわゆる世間的に「デキる男」と見られる男性たち(=パパが憧れるようなビジネスマンたち)が弱みを平気見せ合う様子、その姿は、ロールモデルになるかもしれない。FJのパパが「今日、お弁当つくるの失敗しちゃって……」と語りだせば、そこに初参加したパパも共感して、「俺もこういうふうにしていいんだ」と確信が持てるだろう。特に、子育ては失敗の連続でもあるから、失敗談は共感フックになる。そこで「つながり」を生み出せれば、それがコミュニティ形成につながっていく。
ママとパパ、コミュニティは別個にした方がいい?
次に、「ママとパパのコミュニティはそれぞれ別個につくった方がいいですか? それとも一緒のコミュニティにした方がいいですか?」との問いに西村さんはこう答えた。
「僕は正直どちらも大事だと感じています。ママだけの集まりでしか言えないこともありますし、パパだけの場でしか言えないことがあるのは事実です。一方で、ママ目線・パパ目線を双方学び合う場も重要です。別個も一緒もどちらにもメリット・デメリットがあります。ここは美雪さんがコミュニティで何を実現したいかによって選んでいいと思います」
美雪さんは、ママとパパが同じ場にいるようなコミュニティをつくりたいと考えている。たとえば「今回この場は、発言する権利はママにしかないけど、パパも話を聞けますよ、みたいな場にしたいんですね。スレッドではないですが、ママは発言可、パパは閲覧のみ可、みたいな(笑)。その逆もやりたいです」と彼女は言う。互いの価値観を知ることに重きを置くのが美雪さんのスタイルである。
もっといえば、その場でママ・パパが自身のロールモデルを見出せればいいとも彼女は考えている。「昨日おとといのママ・パパ座談会で『やっぱり夫婦のデートが大事だ』って話が結論的に出たんですけど(笑)。デートのことをシェアし合って、デートのロールモデルや、デートするのが自然っていう空気をつくったりできたらいいなって思っています」
"夫婦定例会議"という取り組みが話題に
ここで、西村さん夫婦が現在進行形で取り組んでいる"週一の夫婦定例会議"について紹介したい。美雪さんがこの会議の話に触れて、「私のコミュニティにも絶対取り入れたい」と感激していたからだ。
"週一の夫婦定例会議"とは何か。
「基本、週末ですけど、子どもたちが寝たあとのリビングで、テレビも消してスマホも手放して、完全アナログな状態で話し合いをしています。『会議』というような形式ばった感じではないですよ。語りだすのが自然と定例化していったような感覚で、いまも継続しています。そこでは、おおまかに『この一週間を振り返ってよかったと感じたこと』『逆にいやだと感じたこと』『それらを受けて来週やっていきたいこと』の3点について語り合います。これが定着したのは、『不満は爆発する』っていう前提があったからです。不満って『たまる』じゃないですか。でも、『不満があるならその都度言ってよ』というわけにもいかない(不満を感じた瞬間は、いやな感じや怒りがあるから)。爆発した時はなおさらですが、不満を感じた瞬間や直後って、冷静で理性的な話ができなくなるんです」
うなずく参加者たち。
「それを防ぐために、会議が始まりました。怒りを感じた時に言うでもなく、また、不満を長くためこむのでもない、一週間とか隔週みたいな『定例』にあえてしながら、不満の小出しをしていく。そうすると、不満を感じてから吐き出すまでに一定の冷却期間みたいなものもできるので、落ち着いて話せていいんです。もう、かれこれ7年くらい? 続けています」
この視点は筆者にはなかった。「定例」のようなある種の拘束力がないケースだと――たとえば「話せる時に話そう」といったかたちだと――どうしても「不満をためる」方に偏っていきがちだ。そこを防ぐ力が「定例化」にあるのだろう。
"週一の夫婦定例会議"のさらなる詳細については、ぜひ西村創一朗さんのオンラインサロンやSNS等をフォローして確認してほしい(リンクは下方)。夫婦のパートナーシップ構築の文化として定着させたいくらいの知恵が、彼からどんどん出てくる。
コンセプトなどを言語化することが苦手
さて、では冒頭の問題意識②「全国各地を回れる移動型のキッズクラブを事業化したいのだが、コンセプトなどをどう言語化し、輪郭をはっきりさせていけばいいか」についてはどうか。具体的な話として、美雪さんは「企画書の書き方の難しさ」を取り上げた。これに対し、西村さんは語る。
「言語化ってたしかに難しいですよね。僕も、自分の専門性みたいなものが何もわからなかった時は、とにかくいろいろやってみました。企画書の書き方であればそれをド直球で学んで書いていく、みたいにです。ただし、明らかに苦手意識があって、それを克服するのに楽しさが感じられないのであれば、餅は餅屋的に、得意な人に任せるのがいいと思います。おそらく今日のオーディエンスの中にも、言語化が得意な人って何人かいると思うんです。『この指とまれ』的に声かけをしていっていいと個人的には思います」
何か事業を起こそうという時に、あふれる思いはあるけれど、それをうまく一般に伝えられないというケースは多い。その場合は、言語化能力に特化した人に素直に任せるのも手だ。その上で、何らかのコンセプトを言語化していく時に西村さんが大切にしていることはあるのだろうか。
「ご質問ありがとうございます。参考になれば、ですが、僕が感銘を受けた本に『1分で話せ』(SBクリエイティブ)というものがあります。伊藤羊一さんという方が書かれた書籍ですけど、そこで紹介されていることがわかりやすいです。いわゆる三段論法みたいなものですが、まず『結論はこうです。私はこうしたいです』という話を語り、次に『なぜなら~』で理由を続けるんですね。で、さらに続けて『たとえば~』で例示をする。美雪さんが体験したこと、感じたことを例にとって言葉にしてみるんです。これを意識すると、力もつくかもしれません」
苦手意識から自分にブレーキをかけないで
でも――と西村さんは次の句を告げる。
「ただ、セオリーはあっても、そもそも『伝わってない』みたいなことを考えすぎて、臆病になって話すのをやめてしまっては、元も子もないと思うんです。チャレンジし続けて、『あ、ここはこうすればいいんだ』『次はこうしよう』って手書きのメモでもいいので振り返る瞬間をつくって、自分を責めないであげてほしいです。僕からすれば、美雪さんは十分いまのままでも伝える力はあると感じています。苦手意識から自分にブレーキをかけてしまってはもったいないです」
これを聞いて、美雪さんが一言。
「ほんとうにそうですよね。やっぱり苦手意識があるので、ここ『Morning House』でも最初は手をあげられなかった(=スピーカーになるための挙手ができなかった)です。とても勇気が要りました。でも、今は、あのとき手をあげてよかったって思っています。それに、言語化が苦手で『ライフチェンジャーになんて、挙手していいんだろうか』ってさんざん迷ったくせに立候補までして、今があるんですもんね。『ブレーキをかけてしまってはもったいない』って改めて自身について思いました。ありがとうございます」
続けて「とりあえず書くことを始めて、みなさんにさらしますね(笑)」とも彼女は決意した。
「これから」の方向性が輪郭をはっきりさせつつある。
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