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闇で息を潜める時...
あたりは完璧に近い ❛闇❜ だ
か細い光なら簡単に飲み込んでしまうだろう
周りを取り囲む闇はまるで一つの生命体のように音を立てずに流動し続ける
どこか大きな鍾乳洞のような空間のようだ
微かに水の流れる音や水滴が地面を打つ音があたりにこだまする
静かにゆっくり息を吐きだしながら、
闇に横たわる少女は傷ついた体に再び力を入れた
どれくらいの時間ここにいたのか思い出せない
何かを考えようとすると頭が割れるように痛む
うつぶせに倒れた状態で目を覚ましたが
極度の疲れとケガのせいでしばらく動けずにいたのだ
洞窟の低い温度で体温も奪われまるで死後硬直しているみたいに体が硬い
『だめだ、そろそろ行かないと...』
顔は泥にまみれ、短いボブの髪も得体のしれない汚れにまみれている
今ほど熱いシャワーを望んだことは無いな、と心の中で思いながらも
なんとか上半身だけでも起こす
動きがぎこちない
油の切れたブリキ人形みたいだなと自嘲する
少し動くたびに激痛が走り無意識に声が漏れる
血まみれの細い指で、気を失う前に床に落とした拳銃を無意識に探しながら
もう一方の手で通信機を起動させる
微かな電子音とともに液晶画面化から陰気な緑の光が点灯した
その光は真の闇の中では効果的で半径2mくらいのあたりをボーっと照らす
その時だった
気配...!
見えはしないが自分から数メートル離れたところから
確実にこちらに ❛意識❜ を向けてくるものがいる...!
そして自分のものとは明らかに異なる浅くて速い呼吸音がする
それと同時にズルリ、ズルリと何かを引きずりながら這い寄ってくる気配
やれやれ、私もとことんついてない、、、
あの状態でまだ動けるとは、、、
とどめを刺したつもりでいたがまだ足りなかったようだ
足にまだ感覚が戻ってこない
立ち上がるのは難しそうだ
少女は今しがた拾った愛用の銃の残数をチェックする
残り4発、、
大きく息を吸い込んで音のする方へ銃口をゆっくり向けた。
通信機が発した光の中に
5つの形の違う歪な眼球が鈍い光を発しながら浮かび上がった