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【GAFA】検索サービスGoogleの未来創造

今まで上の書籍を参考にしAmazon、Apple、Facebookを紹介してきました。

これらの製品・サービスを使ったことがない人も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。

しかし、今回紹介するGoogleは、おそらくいないことでしょう。Googleは、世界の検索市場で9割のシェアを誇っています。

では、詳しく紹介していきましょう。

Googleの事業の実態とは?

Googleの本業とは、もちろん検索サービスであり、収入構造は検索サイトに付属されたりする広告収入が大半です。

しかし、現在では「検索サービスの会社」だけでなく多岐にわたる分野に手をかけています。

Google全体を見るには、全体を見ていく必要があります。

まず、全体像を知るために抑えておきたいことは、2015年に大規模な組織改革を行ったことです。

Googleの親会社に持株会社アルファベットを設立したことです。現在アルファベット傘下には、Googleと「Other  Bets」部門があります。

Googleが手掛けているのは検索サービスの他に、GメールやGoogle Map、YouTubeなどのサービス、ウェブブラウザ「Chrome(クローム)」、スマートフォン向けOS「Android(アンドロイド)」、クラウド事業です。

Other Bets部門では、自動運転車開発プロジェクトを手がける「ウェイモ」やスマートシティ計画を展開する「サイドウォークラボ」、アルファ碁(囲碁AIロボット)を開発したAI企業の「ディープマインド」などが名前を連ねています。

まず、Googleの柱である検索サービスについて見ていきます。

Google検索サービスは創業者である、ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンによって開発されました。

検索サービスにおいては、インターネット情に無数に存在するwebサイトの中から、検索ワードに応じてどのサイトを検索結果として表示させるのかが重要です。

Googleは、そのwebサイトが「どれくらいリンクを貼られているか」を重視して検索結果に反映する仕組みを取り入れたのです。

より多くのリンクが貼られているwebサイトほど重要であるという考え方は「民主的」であり、Googleの価値観としてずっと重視され続けてきるものです。

最初に導入したのは「アドワーズ」で、これはユーザーが入力した検索ワードに応じて関連する広告のリンクを表示するものです。

Googleは、広告リンクのクリック数に応じて、広告主から料金を受け取ります。この「アドワーズ」は現在「Google広告」という名称で展開されています。

Googleによって誰もがwebで広告を打てるようになったことと、クリック数に応じて広告料を支払えば良い仕組みが導入されたことは、まさに「広告の民主化」であります。

また、GoogleはGメールやGoogle Mapなど、検索サービス以外にも多くのサービスを手掛けています。スマホ向けOS「Android」や2006年に買収した動画投稿サイト「YouTube」も運営しています。

原則として、ユーザーに対して無料で提供されています。そして、Googleは、これらのサービスでも広告を表示し、広告収入を得ています。この鍵を握るのがAIと利用履歴です。

これらのビッグデータを活用し、AIで分析することによって、よりユーザーにとって関心が高い広告を表示することが可能になります。

Googleから配信される広告を表示して対価を得る「アドセンス」というサービスがあります。アドセンスを利用しているwebサイトでは、そのwebサイトに関連する広告のほか、ユーザーごとに最適化された広告を表示します。

このほか、Androidスマホで利用するアプリの画面に表示される広告、GメールやGoogle Mapの画面に表示される広告、YouTubeを視聴している時に表示される広告などは、基本的にユーザーに最適されたものとなっています。

2017年のアルファベットの売上高を見ると85%以上を広告関連が占めています。

検索ワードを入力する時点で、ユーザーはニーズを明確に意識し、そのニーズを満たすための目的を定めて検索ワードを入力し、検索結果を見たり表示された広告を見たりしていたわけです。

今後は、「ビッグデータ×AI」による検索と広告表示は、検索ワードを全て考えなくても良くなるだけでなく、表示する広告もより潜在的なニーズ、ユーザー自身が明確に意識していない欲求に対応したものになってくると予測されます。

Googleを理解する上では、スマホOSのAndroidについて押さえておく必要があります。

2007年にモバイル向けOS Androidの提供を開始し始めました。2017年には Android利用者が世界で20億人を突破し、世界のスマホOSのおよそ85%のシェアを誇っています。

 Androidが構築しているビジネスモデルは、AppleのiOSとは少々様相を呈します。

GoogleがAndroidを無償で提供するメリットは2つあります。

Androidのユーザーが増えればAndroidと合わせて提供されるGoogleのサービスの利用者が増え、それが広告収入アップに直結することです。Androidのうち「オープンハンドセットアライアンス(OHA)」と呼ばれるOSでは、Googleの検索、地図、動画配信などのサービスが利用できるようになっています。

もう一つは、Googleが運営するアプリストア「Google play」によるコンテンツ販売です。アプリ内課金は、Appleと同様に販売額の30%がGoogleの手数料収入となります。OHAでは、Google playが標準で使えるようになっています。

しかし、iOSで利用できるアプリがAppleのアップストアでしか入手できないのに対して、Android向けのアプリストアはGoogle play以外にも存在します。

2018年上半期のGoogle playのアプリダウンロード数はアップストアの2杯以上でしたが、収益はおよそ半分にしかなっていません。

これはGoogle play以外にもアプリストアが存在すること、Androidが格安の端末に多数搭載されていること、途上国で普及率が高いことなどが理由に挙げられます。

また、Googleが2010年に中国市場の検索事業から撤退していることもビジネスに大きな影響を与えています。

Androidには「アンドロイドオープンソースプロジェクト(AOSP)」と呼ばれるOSがあります。このAOSPでは、Googleのサービスはセットされていません。

そして、スマホの巨大な市場である中国で普及しているAndroidスマホが搭載しているものはAOSPです。

よって、Googleは中国のAndroidスマホから収益を得られていないのです。

モバイルファーストからAIファーストへ

Googleは2016年、開発方針を「モバイルファースト」から「AIファースト」転換すると表明しました。

GoogleのAIに関する技術力はメガテックの中でも優位性が高いと見てもいいと考えます。世界でもトップクラスの研究組織「グーグルブレイン」を持っており。AIの国際学会「NIPS」への論文提出数は2017年にはアメリカのマサチューセッツ工科大学を上回り首位になりました。

GoogleのAIを象徴するものの一つが音声アシスタント「グーグルアシスタント」です。Amazonのアレクサと同様のコンセプトで、グーグルアシスタントを搭載したスマースピーカー「Google Home」の販売によりハードウェアの販売にも本格的に乗り出しました。※下の商品は、アマゾンアレクサ

競争優位性のあるAIを存分に活用できるのが、完全自動運転です。Googleは2009年空自動運転の実用化に向けて動き始めました。2016年には、自動運転開発プロジェクトが独立しアルファベットの子会社としてウェイモが誕生しました。2018年2月までに行動で行った試験走行距離が実に800万kmにも達しているとされています。

Googleがカメラや高精度マップ、AIなどを搭載した車を走らせている様子には世界中が注目しており、メガテックの中でも次世代自動車への進出という点で抜きんでたポジションにいるのです。

自動運転にはレベル0からレベル5までの6段階のレベルがあります。

「レベル0は普通の自動車」「レベル1は、ハンドル操作・ブレーキやアクセルなどの加減速のどちらかを搭載した運転支援」「レベル2は、レベル1であげたものが両方を搭載」「レベル3は、特定の場所においてシステムが全て操作し、緊急時操縦者が対応する」「レベル4は、特定の場所においてシステムで全てを操作する」「レベル5は、いかなる場所でも完全にシステムが運転すること」

2010年に、自動運転のレベル4を目指して、自動運転自動車の開発を行っていることを発表しました。

2016年12月、それまで自動運転プロジェクトを進めてきた研究組織「Google X」による開発を終了し、ウェイモは、2018年12月にアメリカで自動運転タクシーの商業化を世界で初めてスタートさせました。

Googleが自動運転車においてオープンプラットフォームとしてのOSを広範囲に展開することで顧客接点を増やし、新しいサービスを提供し、最終的には広告収入を増やすことを狙っているのではないかと思われます。

Googleの戦略分析

Googleは、自社の使命を「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」としています。

そして持株会社であるアルファベットは、「あなたの周りの世界を利用しやすく便利にすること」を指名にしています。

Googleが整理しているのは、webサイトだけでなく、Google Mapやストリートビューは世界中の都市の地図や風景を整理し、Gメールは電子メールデータを整理し、Googleブックスというサービスでは書籍の中身を整理しています。

よって、これらの情報に誰もが簡単にアクセスし、便利に利用できるようにすることを目指しています。このように多様な情報を整理しアクセス可能にすることは、ユーザーに対して広告を表示できる場面を増やすことになります。

Googleにとって、「情報の整理」と広告ビジネスは表裏一体の関係にあると言えます。

しかし、今のGoogleを理解するには、情報の整理や広告のビジネスだけではできません。

モバイルファーストでは、Androidが実現したのは、モバイルによりいつでもGoogleが整理した情報をアクセスできるというカスタマーエクスペリエンスの向上でもあります。

AIファーストでは、自動運転やスマートシティの実現できるのは、自然かつ快適に行える世界を作り出そうとしている。

Googleの使命である「世界の情報を整理し、世界中の人がアクセスでき使えること」の先に、進化系としてアルファベットの使命「あなたの周りの世界を利用しやすく便利にすること」へと繋がっていきます。

Googleは、広告事業以外で主たる収益を作れていません。これは、クラウドやエンタープライズなどの分野で、同じGAFAに先行されてしまったことを意味します。

この背景があり、2017年にGoogleがAIに注力しました。これによって、Googleをテクノロジーカンパニーとして生まれ変わらせるために必要なことであると考えています。

また、AI用半導体の自社開発に乗り出したことも見逃せません。通常、半導体を独自に開発するには数年を要すると言われています。しかし、Googleは設計から運用までにたったの1年で完成させました。

もちろん、私たちの周りでもGoogleのAIが多くの場面で利用されています。

AIスピーカーのGoogle Homeやビデオ通話アプリのGoogleデュオ、翻訳サービスのGoogle翻訳などAIを搭載された製品やサービスが多くリリースされています。今後ももっとAIが搭載された多様なプロダクト、サービスが展開されると思われます。

Googleの事業を言葉でまとめると「世の中の膨大な情報やコミュニケーション、行動等をデジタルデータ化し、、それらを広告収入として収益化するビジネスモデルやプラットフォームの構築」です。

事業領域は、全てを把握することが難しいほどに事業拡大が進んでいます。

自社のAI技術活用などにより「利用しやすく便利に」なるものにはほとんど参入していくのは自然な流れであると言えます。

アルファベット傘下の サイドウォークラボが手掛けているスマートシティプロジェクトの一部を紹介します。

未来の道路は、スイッチ一つで時間帯によって用途やライトアップが変化する。朝のラッシュ時にはバス専用道路であった場所が、日中は子供が利用できる遊び場に変わるかもしれない。月曜日には通勤用の自転車レーンだったところは、日曜日には農産物の直売所になるかもしれない。道路は刻々と変化して柔軟な空間であるべきで、決して交通量が激しく、思いやりに欠ける危険な車が行き交うような場所ではない。これがサイドウォークの考え方である。

まさにGoogleの事業領域の広さが窺えるプロジェクトであります。

最後に収益構造を見ていきましょう。

Googleはあらゆる情報をデジタルデータ化し、それら全てを広告ビジネスにより収益化しています。

具体的な収益構造は、2017年の実績を見るとアルファベットの売上高は1,109億ドルで、このうちGoogleの売上高は1,097億ドルと99%を占めています。このうち、広告関連の売上高は954億ドルで約86%、 その他の売上高は12億ドルで1%となっています。

強さの源①〜存在価値を定義した「Googleが掲げる10の事実」〜

①ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
②1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
③遅いより早いほうがいい。
④ウェブ上の民主主義は機能する。
⑤情報を探したくなるのはパソコンの前にいる時だけでない。
⑥悪事を働かなくてもお金を稼げる。
⑦世の中にはまだまだ情報があふれている。
⑧情報のニーズは全ての国境を越える。
⑨スーツがなくても真剣に仕事はできる。
⑩「素晴らしい」では足りない。

①ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。

「当初からユーザーの利便性を第一に考え、新しいウェブクラウザを開発するときも、トップページの外観に手を加えるときも内部の目標や収益ではなく、ユーザーを最も重視」してきたと説明しています。

これは、検索結果として合わせて表示されるGoogle広告では、広告であることを明示しており、検索結果を見るのに邪魔にならないようシンプルな表示に留めています。

②1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番

検索問題を解決することだけを焦点を置いた世界最大級の研究グループを有するとし、検索分野で培った技術は、Gmail、Google mapなどの新しいサービスにも応用されており、検索技術を活用することでユーザーが世界のあらゆる面において様々な情報にアクセスして利用できるよう努力を続けていく。と宣言しており、今後「ビッグデータ×AI」統一技のステージに進み、広告の最適化の先鋭化を達成し、潜在的なニーズに応えるレベルに到達することになるでしょう。

③遅いより早いほうがいい。

Googleはいかにユーザーの貴重な時間を無駄にしないことを目指しています。目指しているところとして、「必要とする情報を」「瞬時に提供すること」であり、「自社のwebサイトにユーザーが止まる時間をできるだけ短くすることを目標としている会社は、世界中探してもGoogleだけ」と自負しています。

これは他の会社のサイトでは、できるだけ長い時間を閲覧してもらいたいと考えるがGoogleは、いかにユーザー志向を徹底しています。

④ウェブ上の民主主義は機能する。

Googleの検索では「ページランク」という方法が採用されています。webサイトが「どれくらいリンクを貼られているのか」を重視して検索結果に反映するのです。Googleはページランクについて「ページ間のリンクを『投票』と解釈し、どのサイトが他のページから最高の情報源として投票されているかを分析」しているとし、新しいサイトが増えるたびに情報源と投票数が増えることからwebが拡大すればその効果が高まると説明しています。

Googleは、インターネットを通じて「一人ひとりに力を与えること」を目指しているのです。

⑤情報を探したくなるのはパソコンの前にいる時だけでない。

世界はますますモバイル化し、いつどこでも必要な情報にアクセスできることが求められています。Androidによって、Googleはよりユーザーの選択肢が広がり、先進のモバイル体験が可能となるだけでなく、携帯通信事業者、メーカー、デベロッパーにとっては、新しい収益機会を生むものとして展開しています。

GoogleがモバイルファーストからAIファーストへと方向転換したとはいえ、今後もさらにモバイルに力を入れていくと考えられます。

⑥悪事を働かなくてもお金を稼げる。

Googleの検索結果ページには検索内容と関連性のある広告が表示されています。また、関連性がない広告が出た場合、ユーザーに関連性がないなど×ボタンがついていたりします。Googleは、「ユーザーはGoogleの客観性を信頼しているのであり、その信頼を損なって短期的な収益が増加しても意味がない」としています。このような姿勢がユーザーにとって好ましいものであるだけでなく、広告の最適化という観点でGoogleにとっても好ましいのです。

⑦世の中にはまだまだ情報があふれている。

ニュースアーカイブ、特許、学術誌、数十億枚の画像や数百万冊の書籍を検索する機能に挑戦し、今後も世界中のあらゆる情報を検索ユーザーに提供するために開発を続けていくと宣言しています。また、「ビッグデータ×AI」によって今後もっと後押しされていくと推測されます。

⑧情報のニーズは全ての国境を越える。

検索結果の半分以上をアメリカ国外のユーザーに提供されています。2010年に中国市場から撤退しており、今後アメリカと中国のハイテク戦争の動向や政府の関係性を見る限り再参入することは考えられません。しかし、中国の人口14億人をユーザーに取り入れられるかどうかでGoogleがさらなる成長が見込められるでしょう。

⑨スーツがなくても真剣に仕事はできる。

Googleは自律性や多様性を重要にしており、社員を尊重するという意味を持つだけでなく、イノベーションを生み続けられるためのあり方であるという考えなのです。

⑩「素晴らしい」では足りない。

Googleは、「まだ達成できないとわかっていることを目標に設定する」ことによって「目標達成に向けて全力を尽くし、期待以上の成果」を残すことができるとしています。そして「現状に満足しないことがGoogleのすべての原動力となっている」と述べています。これがどのようにしてイノベーションを追い続けているのか、その秘密を読み解く鍵になっています。

強さの源②〜Googleの開発力の秘密「OKR」〜

Googleがイノベーションを起こし続けているのは、大胆なビジョン、野心的な目標を実現する手段として「OKR」が機能しているからと考えられます。

「OKRとは、様々な組織が目標に向かって前進するのに役立つシンプルなプロセスだ」「OKRを使うとリーダーにとって組織の可視性は一気に高まる。また建設的な反論の材料となる。例えばこんな具合だ。『なぜユーザーはYouTubeに瞬時に動画を投稿できないんだ?その方が君たちの次の四半期目標よりも重要なんじゃないか?』」「OKRは僕たらが十倍成長を遂げ、しかもそれを何度も繰り返す上で重要な役割を果たしてきた。『世界中の情報を整理する』というとんでもなく大それたミッションが、もしかすると手の届くものになったのもOKRがあったからだ」

と創業者のラリー・ペイジは、述べています。

OKRとは、「目標(Objectives)」と「主要な結果(Key Results)」の頭文字ををとった言葉で、かつてラリー・ペイジらGoogle幹部にOKRについて講義したジョン・ドーアによれば「会社内のあらゆる組織が、同じ重要な課題に全力で取り組むようにするための経営管理手法」のことです。

ジョン・ドーアは、OKRでいう目標について「重要で、具体的で、行動を促し、人々を鼓舞するようなもの」、主要結果については「目標を『どのように』達成しつつあるかをモニタリングする基準」「具体的で時間軸がはっきりしており、意欲的であると同時に現実的」「何より重要なこととして、測定可能で検証可能でなければならない」と述べています。

(今回参考にした本にはOKRの実例が記載されていますが省略させていただきます。)

実例を見るとOKRとは、ただの目標管理制度だけではなく、野心的な目標を実現するための手段です。

OKRの本質として「スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスのような天才的な創業者を複製する方法である」と考えられます。

強さの源③〜Googleの価値観の象徴「マインドフルネス」〜

Googleの象徴ともいえる、他のメガテックには見られない要素が「マインドフルネス」です。Googleでは、マインドフルネスを社員研修においてEQ(情動的知能)育成プログラムで取り入れています。このプログラムは、「Search Inside Yourself(SIY:己のうちを探れ)」と呼ばれています。

元GoogleフェローでSIYを開発したチャディー・メン・タンは、著書の中でSIYの3つのステップを次のように紹介しています。

1.注意力のトレーニング

注意力は高度な認識的能力と情動的能力の基礎である。よってEQを鍛えるためのカリキュラムはどんなものであれ、注意力のトレーニングから始めなければいけない。その狙いは、注意力を鍛え、穏やかであると同時に明瞭な心を生み出すことにある。そのような心がEQの土台になる。

2.自己認識と自制

鍛え上げた注意力を使い、自分の認知的プロセスや情動のプロセスを高い解像度で知覚できるようにする。そうすれば、自分の思考の流れや情動のプロセスをとても明瞭に観察できるようになる。それも、第三者の視点から客観的に。それができれば、最終的に自制を可能にする深い種類の自己認識を生み出せる。

3.役に立つ心の習慣の創出

誰であろうと人と会ったら必ず「この人が幸せになりますように」とまず反射的に思う慣習が身についているところを想像して欲しい。そんな習慣があれば、職場が一変する。このような誠実な善意に他の人が無意識のうちに気付くし、とても建設的な協力関係につながる種類の信頼をあなたが生み出すからだ。そうした習慣は、自分の意思で身につけられる。

Googleはリーダーに対して「有能であってしかも人に愛される」リーダーシップを求めているのですが、これもマインドフルネスの考えから生まれています。

そして現CEOのピチャイがこのようなリーダー像を体現する人物であることは、Googleにとってマインドフルネスがただのお題目でないことが窺えます。

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