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公園リノベーションの時代はすぐそこに!公園は公園だけでは成り立たない.周辺にカルチャーを持つ街があってこそ.ポイントはエッジデザイン.instagramの写真から公園を考えてみる.

台北レポから少しはずれて、今回は「公園」について考えてみたいと思います。近年、都市や建築に関わる人のなかでは、ニューヨークにある「ハイライン」や「ブライアント・パーク」といった公園が、人気があったりします。

「ハイライン」は高架貨物線跡を空中緑道として再活用した長さ1.6kmの公園で。

「ブライアント・パーク」はニューヨークのミッドタウンにあるオフィスビルに囲まれた公園です。

「日本にもニューヨークの『ハイライン』みたいなのが欲しいよね。」「『ハイライン』ってのは、こういう都市政策のもとにできたらしいね。」「『ハイライン』のリノベーションってこんな工夫があるんだよ。」「『ブライアント・パーク』には自由に動かせる椅子があって、だからこんなステキな使われ方をするんだね。」「『ブライアント・パーク』て民間が運営をしているんだね。」といった話を、よく聞くことがあります。

「公園」のことについて話してるのだけど、そこにとっても違和感があるんですよね。(もっともこの違和感は「公園」だけではなく、「パブリックスペース」「建築」「水辺」といったテーマで交わされる会話に対する違和感にも通じる部分があります。)根本的に「公園」の見方に抜け落ちていることがあるんじゃないだろうかと思うわけです。

instagramの写真から「公園」を観察する.

では、何が抜け落ちているのか、ってことで、ここでinstagramを見てみたいと思います。intagramでは位置情報をクリックすると、その場所(エリア)で投稿された無数の写真たちを見ることができます。

さて、ここで問題です! 「ハイライン(The High Line)」や「ブライアント・パーク(Bryant Park)」をクリックすると、どんな写真たちで溢れていると思いますか?

各々が公園で豊かに過ごす写真たち...と、想像してしまいますよね。

ところがそこに広がるのは、公園だけの写真ではないのです。(よかったら見てみてくださいね↓↓↓)

「ハイライン(The High Line)」
https://www.instagram.com/explore/locations/3001573/

「ブライアント・パーク(Bryant Park)」
https://www.instagram.com/explore/locations/3002869/

もちろん公園で過ごす写真も多いです。けど、公園の外側に広がる街で撮られたさまざまな写真もあることに気付きます。食からファッションまで、実にさまざま。「ハイライン」にしても「ブライアント・パーク」にしても、周辺にこんなに多様なカルチャーが広がっているだなぁと、そこに多様なライフ(生活)が見えてきて、ワクワクしてしまいます。

つまり、周囲にカルチャーを持つまちが広がっているからこそ、魅力的に公園が存在できている。その関係は表裏一体。だから逆に、周囲に殺風景グランドレベルを持つ街しか広がっていなかったら、同じ公園が存在していても、賑わうことはできないのですね。

さらにこのような都市型の公園は、単に自由が保障されていたり、単に居心地がよかったり、単に楽しいイベントごとが多かったり、というだけでは本当の意味で魅力的な公園にはなり得ない、ということもわかってきます。

ちょっと図解.公園はもっと俯瞰して見るべし!

今日本でも、公園をどうにかしよう!的なムーブメントが起きつつあって、行政もいろいろと動きはじめ、公園づくりに関わる人も、いろんなアイデアを実践しはじめています。

けどその多くが、基本的に公園を公園としか捉えていないと思うのです。

多くの人がこんな感じで見てる。既存の公園をじーっと見つめる。さらにじーっと見つめる。そして考える。どうしようか?と。考える。そして思いつく! カフェをつくれば、イベントをすれば、椅子を置けば、人にもっと使ってもらえるんじゃないか。もちろんそれで成功する場合もあるでしょう。けどこれってダメな公園、病気を持つ公園に対する「対症療法」でしかないのです。

じゃあ、公園についての「根本療法」は、どこにポイントがあるのか。それは単純に、純粋な使用者である市民の目線をリアルに考えていけばわかること。市民の目線で突き詰めていくと、そもそも市民にとって大事なのは、公園そのものだけではないとうことがわかってきます。先のinstagramの写真から浮き彫りになったこともそういうことですよね。

公園ってのは、市民にとってその街で過ごすさまざまな「ライフ」の一部でしかない、しかし、その「ライフ」同士をつなぐための媒介として大切に機能しているです。(「ライフ」ってのは、たとえばinstagramに見られた1枚1枚の写真と言い換えることができます。)この視点が大事。

だから、公園ってものを捉えるには、こんなイメージを持つほうが正しい。

グランドレベルの視点を持って公園の外に目をやると、そこには大小さまざまなカルチャーを持ったエリアが地続きに広がっています。そういう周囲に寄り添うように公園が存在するからこそ、カルチャーを携えた人々が公園に引き寄せられる。カルチャーを携えた人々が、公園で過ごすからこそ、それがまた良い風景となる。まさにこれが公園おける「根本療法」的ポイントなのです。

周囲に多少なカルチャーを持つ街が広がり、それらに寄り添うように存在できているからこそ、「ハイライン」も「ブライアント・パーク」も理想的な賑わいを持つまでになっているんだと。

ダメな公園を良くする「根本療法」は、エッジデザイン

さらに周囲に寄り添うように公園を存在させることは、まちと公園とが接するエッジデザインの問題なのです。上の絵のサークルの部分を、どうつくるか、どうデザインするか、で公園の使われ方が全く変わってくる。簡単に言えば、「ようこそ!」「おいでよ!」というデザインがきちんとできているか。人を心地よく公園内にアフォードさせるデザインがされているか。これが、公園の生死を左右します。

日本の多くの公園、そのエッジデザインは、人を心地よくアフォードさせるデザインがされていないことが多いです。

たとえば、こんな風に人を拒む石段とツツジの角刈り大王。この写真はまだ良い方で、もっとヤバイ公園のエッジデザインを、そこかしこで見ることができます。公園内が見えない鬱蒼とした樹木、やみくもに設置されたフェンス、意図的に少なくされた公園入り口、三角コーンだらけ......

しかし、かく言う「ブライアント・パーク」も、昔は実はダメ公園だったものを、1988〜1992年に公園全体を改修しました。そのときにエッジデザインも大幅に変更されました。だからこその今の賑わいなのですね。(photo=Stacy)(リンク先のページでは、今回取り上げた公園を含め、さまざまな公園のビフォア・アフターを見ることができます。

1.周辺の街やカルチャーを含めた俯瞰した視点を持ち
2.街に寄り添う効果的なエッジデザインをつくり込む

このことが、これからの公園づくり、特に今の日本には必要なことだと思います。それはまさに“公園のリノベーション”

“公園のリノベーション”とは、カフェ、イベント、椅子といった「対症療法」ではなく、エッジデザインを含めた「根本療法」を公園に施すというもの。

と、この記事を書きはじめた先週、ふと銀座の宝くじ売り場前に広がる「数寄屋橋公園」を通りかかったら、見事に公園リノベーションが施されていました。隣に立ち上がった「東急プラザ銀座」と合わせて改修されたようで、既存を活かしながら、テーブルやベンチ、カウンターがそこかしこにつくられ、小さい公園なのに以前と全く変わってしまって、老若男女がまさにいろんな過ごし方を展開しているんです。まさに生まれ変わった公園!

グランドレベルでは、そんな“公園のリノベーション”にも取り組んで行きたいと考えています>http://glevel.jp/idea4.html というわけで、今回は公園の話でした。

次回は公園つながりで、台北レポートに戻ります。台北と大阪のある公園について。もちろんポイントは、1階づくりはまちづくり!とエッジデザインですよ。

それでは!

大西正紀(おおにしまさき)
http://glevel.jp

http://mosaki.com

世界の日本の公園の話、グランドレベルの話を
もっと聞きたい方は、気軽にご連絡をください(^^)/



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