デザインミュージアムからコペンハーゲンの運河沿いを歩く!オペラハウスの夜の姿は、都市にきらめく明かりそのもの。
「すべらんなぁ〜」「豊かやなぁ〜」真冬のコペンハーゲンを歩けど歩けど、ずっとそう呟いておりました。この日は、例のルイジアナ美術館へ行った日だったこともあり、興奮もマックス。だから、あとはコペンハーゲンでゆっくりミュージアムでも流して、運河沿いを歩きながら帰るか、という軽い気持ちで歩きはじめたのですが...
まずは、Osterport駅から歩いてデザインミュージアムへ。
赤い旗が目印。
企画展がたまたま日本と関係のあるもので、タイトルが「LEARNING FROM JAPAN」。えっ、日本とデンマークって、何か関係があるの!? なんと、デンマークのデザインは、19世紀ごろから日本の伝統工芸に大きな影響を受けていたんだそうです。つまり今のデンマークデザインの根底には日本の影響が色濃くあると。展示は、建築、陶芸、グラフィック、デザインとジャンル別に展開していくのですが...(※オフィシャルサイトで展示写真を見ることができます。)
日本の陶芸が展示されている横で、
それにインスピレーションを受けたであろう、デンマークの作品が展示されています。厳密に直接的な影響を受けたということではないけども、できるだけ対になるように展示されているから、見ていくのが本当に楽しい!
柳宗理のバタフライスツールがあれば、その隣にデンマークデザインの椅子が展示されていたり。
畳の上にデンマークデザインの家具があると、どちらがどちらかわからなくなってしまいます。けど、この展覧会で読み取りが楽しいのは、デンマークが、ただ日本人が生み出す「かたち」に学ぼうとしたのではないということ。その奥にある技術はもちろんのこと、思想や原理までをも学び取ろうとしたことが、かたちの向こうに見え隠れすることなんですよね。
このミュージアムは、18世紀に王立の病院として建てられ、1926年にデンマーク近代家具デザインの父コーア・クリントによってリノベーションされたもの。全体がロの字型のプランになっているので、回廊をめぐるように展示室が続きます。こんないかした展示室があるかと思えば、
家具の常設展があったり。トーネットからザハの椅子まで、楽しすぎます。
ポールセンのPHシリーズの貴重な資料。光の反射について考察されている手描きの図面。
立面は図ではなく、紙を折り重なるように貼ることで検討されていたなんて!
ぐるっと一周すると、メインエントランスに戻ってくる。エントランス脇には、カフェスペースとその奥にミュージアムショップが。カフェスペースの照明も綺麗で。中庭をのぞきながら、ティータイムを。
しかし、企画展のこのポスターが格好良すぎる。迷わず購入。
デザインミュージアムから少し歩くと、ニューハン(Nyhavn)という港のエリア。コペンハーゲンといえばココ!的な場所のひとつです。夏はすごい人の賑わいで有名だけど、さすがに真冬なので... と期待していなかったのですが、行ってみたらこんなシーンが出迎えてくれて。自分たちの屋台持ってきたかったなぁとか。
それでも外席営業はきちんとやっているし、そこをちゃんと楽しむ人もいるんですよね。
この光景も満喫できる夏の再訪を誓いました。(photo=Ville-Matti Kaartinen)
港を運河のエッジまで歩いて行くと、左手登場したのは新王立劇場(Skuespilhuset)。この劇場は、クラシックからポップスまで、たまにカジュアルな催しにも使われているみたい。そして、ここにも水上バスのバス停が。デザインがいちいちわかりやすい。
運河に開いたロビー空間がすばらしく、もはや内か外かがわからないくらいで。この劇場は、クラシックからポップスまで、たまにカジュアルな催しにも使われているみたいでした。この日は、すべての催しは終わったところ。
ロビーに立つと小さな小さな光源の明かりが無数に空中に光っていて、それがガラスのファサードに映り込んでいるので、実に幻想的です。写真が非常に残念なことになってしまっていて、実際はこんなもんじゃない。その場にいくと本当にため息が漏れます。
こういう艶やかなデザインは、なかなか日本には取り入れられなくて残念なところ。上野の東京文化会館のような、半ば文化財になりつつあるような建築にも、あこういうエッセンスを取り入れればいいのいなぁとか。
少しお金を出せるなら、このエリアのホテルだと、ストロイエも近くて良さそう。ライトアップにしても樹木のライトにしても、いちいちオリジナリティがある。
新王立劇場から少し歩くと、アマリエンボー宮殿。西側には教会が。
こんな寒くても衛兵さんがしっかりいるアマリエンボー宮殿の広場。ん? 向こうに何かが!?
ん?
おぁっ!
うぉ。。。なんじゃこりゃ。。。ただただ呆然。。。
ヘニングラーセン設計のオペラハウス出現! 都市の水辺にこの現れ方は、感動しておしっこちびるレベルですよ! 光を放つ建物と水面に映り込みも含めたものが一体で、まさにひとつの明かりになっていて。水面が常に揺らいでいるので、ずっと見ていられるんです。
建物その脇を普通に市民が歩ていきます。日常にこういいう風景があることの効果ははかりしれないってことが、日本ではあまり理解されていないんですよね。市民の精神的健康や都市の観光的な観点からしても、こういったシンボリックな建築が都市の中に佇んでいることの効果は、単純なその施設内の収支とははずれたところで、きちんと価値付けされるべきなんです。
こんなオペラハウスが、隅田川沿いにあったらなぁ...と妄想がはじまると、もうとまりません(笑)。
この日はルイジアナ美術館へ行った帰りにこのルートだったので、もう完全に脳はオーバーヒート状態に。コペンハーゲン、果てしなく楽しい。。というわけで、今日はこの辺で!
おおにし・まさき(mosaki)