執筆までの道のりとその後 その②
ゼミ生第一号出版の知らせ
原稿を一通り書き上げた頃、出版ゼミの仲間がゼミ生第一号として出版を決めたというニュースが飛び込んできた。
正直、「え、もう?私より先に?」と動揺(笑)。
ゼミ生は10人ほどいて、LGBTの方や風俗嬢、泌尿器科医など、性について独自の視点を持つ人たちばかり。濃いメンバーの中で、出版を勝ち取った仲間に拍手を送りつつも、内心「ちょっと悔しい!」という思いも。
それにしても、ゼミ全体が苦戦していたのは取材先探しと「10万文字の壁」。この壁の高さは尋常じゃありません。
師匠の激励と出版決定の瞬間
「10万文字を達成しました!」と坂爪師匠に報告すると、満面の笑みで「よく諦めずに頑張りましたね」と激励を頂いた。…その笑顔の裏には「自費出版を勧めた頃から本当によく頑張りました」と心のこもったおめでとうを頂きました。
そして次の言葉。
「で、どこの出版社がいい?」
え、出版社って選べるんですか?
とポカンとしている私に、師匠はサラッと「じゃあ、光文社新書にしようか」と言い切り。なんと、担当編集者が「ぜひ僕にやらせてください」と名乗りを上げてくれました。
…この時点では「光文社新書」という名前の凄さも知らず、ただひたすら「本当に出版するんだ!」という興奮でいっぱいでした。
タイトルと表紙の迷走劇
出版が決まり、発売日の目処が立つも、肝心のタイトルがまだ決まっていません。「タイトルは最後に決めるものなんです」と出版社の担当から言われましたが、内心「本当にそんなギリギリで大丈夫?」と不安になりながら待機。
最終的に「女性向け風俗」というキーワードを必須条件に、会議で『女性向け風俗の現場』と決まった。
そして次は表紙選び。以前お願いしていた漫画家さんに描いてもらう予定でしたが、スケジュールが合わず断念。代わりに写真表紙に切り替えることに。候補は5点。最終的に「渋谷のスクランブル交差点に立つ女性」と「女性の後ろ姿」の2択に絞られましたが、店頭での目立ちやすさを考慮して後者が採用となる。
コロナ禍、出版延期の悲劇
「さぁ、いよいよ出版だ!」と浮かれていた矢先、出版社からの連絡。「コロナ関連の本を優先するため、しばらく出版を見送ります」。
これを聞いた瞬間、「え、待って、そんなのアリ!?」と絶句。
コロナ禍の波に飲まれ、出版は1年先送りに…。悔しさとモヤモヤを抱えつつ、もう少し原稿を見直す時間ができたと自分を納得させることに。
発売と予想外の反響
そしてついに出版日が決定。なんとLINEニュースでの紹介が決まったとのこと。「LINEニュースで記事になるってどれだけすごいこと?」とピンときていませんでしたが、実際に記事が公開されるとAmazonランキング1位に。
一気にベストセラーの仲間入りを果たし、重版も決定。「え、これ本当に私が書いた本?」と信じられない思いでランキングを見つめていました。
さらに、プレジデントオンラインから取材のオファーが。
「え、あのプレジデント?40代・50代の男性読者が多いあのプレジデント!?」と驚きましたが、嬉しさのあまり「はい!ぜひ!」と即答。気がつけば漫画家さんや他のメディアからも取材が相次ぎ、「ちょっとした有名人?」と勘違いしそうな日々が始まりました。
葛藤と感想の数々
女性の性をテーマにした本を出すことには、少なからず葛藤もありました。「男性が女性の性について語ると荒れるよ」という師匠の言葉が、ずっと頭の片隅にあったから。。しかし、本を読んだ女性から「女性の性が男性のおもちゃにされる。との私の思い込みが変わりました」という感想をいただいた時、「やっぱり書いてよかった」と心から思いました。
また、男性からの反応も多く寄せられ、「本当なのか?信じられない」と疑問をぶつけられることも。とはいえ、さまざまな意見が飛び交うのも、多くの人に読まれた証拠。悩んでいる誰かの助けになることが、この本を通じて少しでもできたのなら、本望です。
出版から2年半後の今
「図書館で読ませてもらいました」という声を聞くこともしばしば。「え、図書館に私の本が置いてあるの?」と驚くたびに、自分のしてきたことの重みを感じます。この本が誰かの手に渡り、性について考えるきっかけになれたのなら、それ以上の喜びはありません。
読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!