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非常ベルは突然に!
みなさんは、非常ベルが鳴る瞬間を体験したことありますか?しかも、それが――ラブホだったら?
これは、そんな修羅場をくぐり抜けた男の物語です。
その日、私はCさんと某駅前のラブホにチェックイン。夜9時から翌朝8時までのお泊りコース。最上階の5階でした。
施術は順調そのもの。Cさんは何度も絶頂を迎え、最後には完全燃焼。まるで電池が切れたかのように動かなくなり、深い眠りに。私はそれを見届けて満足気に添い寝につきました。
静寂の夜――
その瞬間は突然訪れた。
「ジリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!」
耳をつんざく非常ベルの音!廊下からは機械音声が、延々とこう叫んでいます。
「火事です!逃げてください!火事です!逃げてください!」
「……な、なに!?」
飛び起きた私は一瞬状況が理解できず、目をこする。隣のCさんも混乱しながら目を覚まし、二人で顔を見合わせる。
「え?これ夢?いや、リアルすぎない?」
廊下では相変わらず機械音声が叫び続けている。夢ではない――現実だ!
しかし、こんな時、人間はパニックになるもので。冷静に動くどころか、二人とも硬直状態。
「え、僕たち死ぬやつ?」とテンパる二人。
「ど、どうする!?逃げる?どっちに!?」
ベランダ?いや、廊下?非常口?頭がぐるぐる回りながら、とりあえず服を着ることに。
午前2時。急いで着替えを済ませた私たちは、意を決して廊下に出ようとしたところ…。
――突然!
「あれ?これどうやって消すの?」
館内スピーカーから聞こえてきたのは、火災報知器をいじる誰かの生声。
「誤作動して止められないんだけど~!消し方わかる〜?」
はぁ!?非常ベルの騒音と、「火事です!」の機械音声が続く中、ラブホのスタッフらしきおばちゃんの声が全館放送で響き渡りる。
二人の脳内はさらに混乱。
「誤報ってこと!?いや、でも万が一火事だったら!?」「どうする?逃げる?いや、でも外誰もいないよ?」
「火事です!逃げてください!」がエンドレス再生されるホテルの中
結局、非常ベルと「逃げて下さいアナウンス」が止まったのはそれから30分後。窓から外を覗いても、避難している人の姿はゼロ。誰も外に出てない――これは誤報だったのか?でも、そんな安心感なんてどこへやら。こちらはドキドキが止まらず、そのままベッドで戦闘服(逃げる準備万端の格好)のまま、スタッフのアナウンスを待つ二人。
待てど暮らせど放送は入らない。
さっきまでの修羅場が嘘だったかのように、ホテルは静寂に包まれる。
そして待ち疲れた二人は、いつの間にか力付き眠りについていた。
翌朝、チェックアウトの時に声の主らしきおばちゃんがフロントの中に立っていた
そしておばちゃん――笑顔!完璧な笑顔!鍵を受け取る手も震えず
「ありがとうございました~♪」と声に一切の迷いなし。
いやいやいや、そこ!?非常ベルの件、スルーなの!?昨日あんなに騒いだのに、まるで**「非常ベル?何それおいしいの?」**みたいな態度!
逆にこっちが恥ずかしいわ!パニックになって廊下に出る準備してた自分を思い出して、内心穴があったら入りたい。
それにしても、あのおばちゃんのメンタルは鋼どころかダイヤモンド級。「火事でも爆発でも、受付では動じない」が彼女の美学か!?
このおばちゃん、ただものじゃない。むしろ、次回からは非常ベルじゃなくて彼女に緊急対応してほしいくらいだ。
教訓:あのおばちゃんの鋼のメンタルはすごい!