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ランドセルを置き安酒をシンクに流す(A)

欲求段階説

アメリカの心理学者、マズローが唱える「欲求段階説」によれば、人間の欲求は5段階に分けることができる。

(1)生理的欲求

(2)安全欲求

(3)社会的欲求

(4)承認欲求

(5)自己実現欲求

優先順に並んだ(1)~(5)の欲求が低いものから現れ、その欲求が満たされて初めて、次の欲求が現れるとされています。


ちんげも生えてない時代、オレの小学校時代は、マズロー的に言うと二段階目の安全欲求を満たすだけでギリな生活だった。



バトルフィールド

「にいちゃんばあちゃん」に作ってもらったエメラルドグリーンの毛糸の輪っかに鍵を括り付けて首から下げた鍵っ子なオレは、木造二階建ての昭和なアパート1階玄関で、コソドロの下手なピッキングでも開くような我が家の鍵を解錠することすら毎日躊躇するぐらい家庭内トラブルを多く抱えていた。

トラブルの定義を詳しく知らないが、10歳前後のオレには友達とのお遊びの時間以外は、火曜サスペンスそのものだった。
いや、あなたの知らない世界かもしれない。
いや、どのジャンルにも属さない、誰にも言いたくないパラレルワールドだったのかもしれない。


多次元的な我が家は玄関から敷居が高い。
バブル期に流行ったアップフロアで構成されていて、、、というより単なるパイプスペース確保の床上げで、50センチ以上の段差を乗り越えて、ようやく四畳半の赤絨毯がひかれたバトルフィールドにたどり着く。

薄暗く陽が入らない部屋の中は湿気を帯びていてカビ臭く、まともに子供が育つ環境とは思えない。

4畳半の部屋にある台所の横には、狭い部屋に似つかわしくない大きさの昭和ならではのゴツいサイドボードに、使わないグラスと夫婦のおきあがりこぼし、旅行で集めた置物のお土産など、少し年期の入ったダルマ(ウィスキー)などが置かれていた。ダルマにも手を付けていただろうが瓶はそのまま残っていた。今だったら高く売れそうなレトロなグラスや、涼し気なお茶出しのセットなども置いてあった。

そのサイドボードの上には、藁にもすがる思いで父親が入信した創価学会の御本尊様が置かれた仏壇があった。
毎朝、父親は祈る祈る、、、この話はおそらく今まで1人にしか話していない。
都営住宅に引っ越すタイミングで御本尊様を返却してきた父親
そんな話を他所から聞いたことないが、父親は数年間学会員だった。

母親は祈る父親をなじったり、気持ち悪いとか、意味がないとか、ブツブツ俺によく愚痴をこぼしていた。

<TOP写真>2013年10月・千葉県匝瑳市


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福岡雅樹
苦しんでいる人に向けて多くのメッセージを届けたい。とりあえず、これから人前で話す活動をしていきます。今後の活動を見守ってください(^^)