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015 気持ち悪い共感を提供してしまう

【曲】蝋人形の館 【歌】聖飢魔Ⅱ


015 気持ち悪い共感を提供してしまう

私は、NVCと並行して、いくつかの学びを深めていました。そのひとつがシステムアウェアネス(プロセスワーク)。

プロセスワークでは、1次プロセス、2次プロセス、エッジという概念があります。(詳しくはここを参考に)

意図している行動、「自分だ」と認めている自分、アイデンティティに近い体験を一次プロセスと呼びます。一方、二次プロセスとは、意図されていない行動、アイデンティティから遠いもの、意図していないのに起こってくること(病気や事故を含む)、自分にとって未知のものです。

一般社団法人 日本プロセスワークセンター

私は2次プロセスを見る練習を続けていました。
人が語るときの身振り手振り・声のトーン等から、無自覚な「感情」や未知のものを見るようになったのです。
そして、それが、私の「共感」に影響を大きく与えることになります。

架空の田中さんと私の対話として具体的に書いてみます。

まずは、通常の共感バージョンから。

(田中さん)「私は、その人の依頼を、断りたかったんです。」
(私)「断りたかったんですね」
(田中さん)「ええ、とても。だけど、仕方なくその依頼を受けたんです。」
(私)「断りたかったけれど、仕方なく依頼を受けた。どんな感じですか?悲しいとか疲れた感じでしょうか?(感情の推測)」
(田中さん)「みじめな感じがしました。」
(私)「みじめな感じだったんですね。その時、尊重されることや、自由であることが大切でしたか?(ニーズの推測)」
(田中さん)「そうですね・・・・・自分で決めたいって思ってました」
(私)「その時、みじめな感じがしたのは、田中さんにとって、自分で決めるという事が大切だったからですね?」
(田中さん)「はい、そうです」

・・・・・

とまぁ、普通の共感は、安全に進むわけです。

ところが、ここに、素人の生兵法で、2次プロセスを見るというのをぶっこむと、とんでもない「システム」が出来上がったのです。

(田中さん)「私は、その人の依頼を、断りたかったんです。」
(私)「断りたかったんですね」
(田中さん)「ええ、とても。だけど、仕方なくその依頼を受けたんです。」(声が小さくなる)
(私)(身体と五感をフルに使って・・・・ん?何か変な感覚があるな。尋ねてみるか)
「田中さん、ひょっとして、「人の依頼を断ってはならない」とか「空気を乱してはいけない」みたいな感覚がありませんか?」
(田中さん)(ぎょっとした顔になる)「・・・ええ、はい・・そうかもしれません」(消え入りそうな小声)
(私)「なんか、エネルギーが通ってない感じがするんですよね、「びしっと断る」というのを聞いてどう感じます?」
(田中さん)「なんだか気分が悪くなってきました。」
(私)「たぶん、田中さんの幼少期とか、どこかで、「人の依頼を断ったり空気を乱したりしてはならない」って言うのが生まれてるような気がするんですよ。どうです?」
(田中さん)「ええ、そうかもしれません(顔面蒼白)」

これは、プロセスワークの2次プロセスを見る方法ではありません。
もちろん、共感でもありません。
私の直感(または「決めつけ」)で「人のトラウマをいきなり掘り起こす(宣告する)」という、「システム」が出来上がったのです。

この時期のことを思い出すととても辛い。自責の念に駆られます。

人の人生に土足で介入し、本人の同意も取らないまま、痛みをまざまざと見せつける。
なんとひどいことをしたのだろう。ほんとうに、申し訳なかった。

今は、過去の記事のように、共感するうえで、いくつか自分のルールを決めています。

ちなみに、この「システム」に似た「共感」を提供している人もいます。
※ちなみにこの「システム」が受け手の方に「ハマる」と、いきなりトラウマの癒しが起きるということもありましたので、「悪のシステム」ではないことも申し添えます。

NVCはいろんな人の講座が開かれていますので、ぜひ、皆さんご自分に合う共感を選択してもらえたらなと思っています。
※CNVC認定の日本人トレーナーの共感であれば、安心してお受けいただけると思います。

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まさ@有吉正樹
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