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十五歳、高校一年生。一年五組。彼とわたしは一年間、この教室で共に過ごした。出席番号が近く、同じ班でもあった。 班での活動は、授業のあとの掃除と、たまに総合学習の時間にグループでの調べものや発表があるときだけで、そこまで接点があるわけではなかった。 それでもわたしは、彼に恋をした。 四月の末の、体育館掃除のときだったと思う。出入り口の階段で足を引っ掻けて転んで、膝を擦りむいたとき。前方を歩いていた彼が振り向き、すぐにポケットから絆創膏を出して「大丈夫?」と声をかけ