猫の心臓病~肥大型心筋症~
2021年の論文を参考に書いています。
【臓器の写真を載せていますので抵抗のあるかたは閲覧をお控えください】
ねこちゃんを飼育している方なら聞いたことがある『肥大型心筋症』。
肥大?心筋??心臓の筋肉が肥大するの???
・実際のところ心臓はどうなっているのか?
・心筋症になるとどんな症状がでるのか?
・どうやって診断するのか?
・治療法はあるのか?
みていきましょう!!
実際のところ心臓はどうなってるの?
肥大型心筋症は主に左の心臓の筋肉が内側へ肥大し、内腔が狭くなることで血液を十分に送れなくなる疾患です。
実際の写真
心臓の壁(心筋)が厚くなり、1枚目の写真では血栓が形成されており、
2枚目の写真では心臓の内腔がとても狭くなっています。
ここまで心筋が厚くなると正常な心臓の機能は果たせないとわかります。
どんな症状がでる?
心筋症のステージにより様々で、多くの子は無症状ですが、
突然死するねこちゃんもいます。
また、家猫全体の約15%で発症している可能性があります。
ほとんどが高齢で発症することが多いですが、若齢でも発症することがあります。
飼い主さんが気付く主な症状は『呼吸が荒い』や『疲れやすくなった』です。
病状が進行すると肺に水が溜まったり(肺水腫)、胸腔内に水が溜まる(胸水)ことで呼吸が苦しくなり、呼吸速度が速くなります。
ねこちゃんの呼吸が荒いようであればすぐに病院を受診することをおすすめします。
また、上の写真のような血栓が血管に詰まってしまう(血栓症)と激痛を伴い、急に足が立たなくなったりします。
最悪の場合、手足が壊死してしまうこともあります。
このような怖い病気でありながら、原因はまだわかっていません。
しかし、メインクーンとラグドール、スフィンクスは遺伝子の変異で肥大型心筋症になりやすいと言われています(好発品種)。
診断は?
肥大型心筋症の診断の要は『超音波検査』です。
心臓を超音波でみることで、心筋が肥大しているかを判断します。
臨床症状がないねこちゃんでも肥大型心筋症に罹患している場合もあるので大事な検査ですね。
また、左心房に負担がかかっていないかの確認も病気の進行の把握には重要ですね。
血液検査で心臓のバイオマーカー(NT-proANP、BNPなど)も測定し、『どれほど心臓に負担がかかっているのか』を数値化できるので飼い主さんへの説明に便利です。
ただし、心臓バイオマーカーのみで心臓病を診断できるわけではないので注意が必要です。
甲状腺機能亢進症や高血圧症は肥大型心筋症の悪化要因と言われていますので、これらの疾患の検査も必要です。
治療することで肥大型心筋症の臨床的改善が期待できます。
治療法は?
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