大切な時をつくりましょう
年中のちびちゃんたちが卒園する年長の子たちへの贈り物として創った音楽劇を観るため、妻とふたり、幼稚園へ行ってきました。
それぞれの子のそれぞれの表現が見られて、幸せな気持ちでいっぱいになりました。
寄り添うように弾く先生のピアノの音がやさしくて、温かい毛布で包まれたような時間でした。
なんかいいなあ、こういうのがよかったなあ、とじぶんの子どもの頃を少しばかり思い返しました。
せっかくなのでいつもとは違うことを。
終わった後は歩いてすぐの美術館のカフェに3人で行きました。うれしそうにチーズケーキを食べるちびちゃん。きっと、妻とぼくも同じようにうれしそうな顔をしていたでしょうね。
良い日だったね、とその夜なんども言い合ったのでした。
さて、ちびちゃんの通う幼稚園には親たちが集まり、歌う、コーラス部があります。毎月2回ほど練習をし、子どもたちへ歌の贈り物として2月に幼稚園でコンサートをします。
妻はコーラス部で活動をしているので、毎回の練習のお知らせ看板に絵を描くのがぼくの役割でした。
そんなわけで、ちょこっと関わっていましたから、本番のコンサートを観たときには、ぐっと胸に込み上げるものがありました。
数日後、ぼくもやりたいという気持ちがだんだん膨らんできたのです。
といっても、歌うのではなく、以前から興味のある読書会です。
こんなのが良いなあ、というイメージを紙に書き、ひとりの先生にお渡ししました。
翌日、もう少し具体的なお話しをしましょうと言ってくれ、ぼくからも紙には書かなかった細部を伝えました。
実現に向け、動き出したのです。
はじまると早いもので、4月に打ち合わせをして内容を詰めて、1回目は幼稚園のあれこれが落ち着いたあたりの5月になりそう。
1年で計8回の予定です。
読書会には参加したことがないので、どんな時間になるのかさっぱりわかりませんが、大好きな、好きで好きでたまらない1篇について、集まった人たちで言葉を交わすなんて、想像しただけでも幸福です。
幼い頃からいつも傍にあり、バッグにはいつも読みかけの本が入っている。
ぼくにとってはごく日常的なことだったので、本が好き、だなんて意識したことがありませんでした。
でも、生活の変化から、以前のようにどっぷりと本に浸かるような読書時間は持てなくなり、ほんの10分、15分の読書によって、じぶんが回復するのを感じ、これまでひとりで楽しんでいた読書体験がかけがえのないものに思え、それを誰かと共にする時間があったら、そんなのっていいなと考えるようになりました。
ひとりだけではつくれない、対話から生まれるなにかに興味があるのです。
そういえば、お店や展示会でお客様とお話しすることも共通するものがあるかもしれません。
先日、インタビューをしてくれた中学生たちからお手紙をいただきました。
出会わなければ生まれなかった、それぞれにとっての豊かな時間をぼくは創出したい、そんな気持ちに動かされています。
雪が降り、雪が溶けてを繰り返し、庭のスイセンやチューリップが日に日に伸びて、松本も春に向かっています。