育ってるね
ご無沙汰しております。
久しぶりに書いてみます。
まず、ちびちゃんが6歳になりました。
このところ、毎朝見るたびに大きくなっているような気がします。
誰からも教わることなく思いのままにピアノを弾くことが好きな、
毎日絵を描き、そこに言葉を添えた手紙を母親にあげることが好きな、
ちょっと長い本もゆっくりと声に出しながらひとりで読むことが好きな、
なにより話すことが好きな、彼。
朝起きてくると、もう話しはじめ、夜寝入る直前まで話し続けています。
さて、松本に暮らして2回目の夏を過ごしましたが、今年は「白糸の湯」という近くの日帰り温泉へよく行きました。
毎日通っている方も多いので、言葉を交わすようになります。
皆さん子どもにやさしく、ちびちゃんは声をかけられ、手を振られ、居心地が良いのか、お気に入りの場所になりました。
ちいさかった頃、じいちゃんに連れられて度々温泉へ行きました。
人間はマナーが大事、という考えを持つひとでしたから、幼いぼくをいろいろなところへ連れて行き、その場での相応しい振る舞い方を教えることを自分に課しているようでした。
温泉もそのひとつ。
まずは体を洗うこと、洗うときには周囲のことを気にするように、湯船にはゆっくりと入り、出るときには体の水をよく拭いてから。
こういった当たり前のことを、じいちゃんは大袈裟に教えるので、ぼくはまじめにやりました。すると、大袈裟に褒められるのでした。
では、ぼくもちびちゃんに教えた方が良いだろうか、どうしようかなと考えました。
体を洗ってから、入ろうねー。
と言って洗っていると、見知らぬおじさんがやって来て、言います。
ぼく、もうあったまったか?まだ?あーそうか、
きれいにしてからかー、えらいなー、いい子だなー。
ちびちゃんは、頭を撫でられました。
出るときには、ちびちゃんの体をよく拭きました。
濡れたまま上がると、床が濡れて危ないから、よく拭いてから出ようね。
なんてことを、言ってたら、また別の見知らぬおじさんが近寄ってきて、言います。
あったまった?え?そーかそーか、偉い子だ。ちゃんと拭いてもらってなー。また、おいで。
こんな風に、皆さんから褒められるので、ちびちゃんはすっかり、みんなが気持ち良く過ごすための温泉マナーを心得たようです。
ときどき、濡れたまま上がるひとを見かけると、大きな声で言います。
パパみて!あのひとちゃんとふいてなかったよ。すべってころんじゃうひとがいたらどうするんだよー。
ということなので、上がってから部屋の隅に立てかけてあるモップで床を拭くと、ちびちゃんがいいねーと褒めてくれました。
それからは床が濡れているときには、モップを持ってきて拭くのがちびちゃんの習慣になりましたが、そんなことをするひとはなかなかいないので、出くわした大人は驚き、ちびちゃんに礼を言ったり、褒めたりします。
そんなときの彼は誇らしそうなのでした。
近所の温泉に集う町の人たちとの交流から、
ちびちゃんはいろんなことを感じ取っているようです。
そんな彼と、大人たちのやりとりを見るのも、
ぼくにとっては楽しみのひとつなのでした。