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フランジバックという枷と新時代。なぜオールドレンズはワイド側が暗いのか

いつもオールドレンズを購入するときに疑問に思っていたことがある

なぜ現行のレンズに比べ50mm以下のレンズはF2.8ベースと暗いのだろうか。ということ

前回でのこの記事でも触れた様に昨今はとにかく開放値が明るく、というのが大前提となっており私がレンズを選ぶときに気にしている項目の一つである

もちろん深度を浅くしたいというのもあるが、ナイター撮影などで明るいということはアドバンテージであり
F2.8とF1.4のレンズがあったら同一絞りで撮影した場合も、レンズの限界を使っている前者より、後者の方が綺麗と言える

よく”レンズは開放値から1段絞った方がレンズの性能を引き出せる”と聞く。

だからとにかく明るいレンズを探しているのだけれども、オールドレンズにはなかなか存在しなくて疑問に思っていた。

今回改めて調べていくとなるほどなぁと思ったのでまとめる。


昨今ミラーレスが普及してきて大手スチール会社がフランジバックの小さいEやRF、Xマウント、M4/3といった新機軸を打ち出し
各社今後は過去のマウントから完全に乗り換えて新レンズラインナップを発表している。

このムーブメントはなにもスチールだけにかかわらず
ARRIもPLマウントではなくLPLマウントという規格に移り、現在はSupremeやSignatureといったLPLマウントのレンズがどんどん発売されている。
"PLは 52.00 mm、LPLは 44.00 mm"

聞くところによるともうPLマウントでは新機軸に対応していくことが難しい。らしい

ではなぜ?


そもそもフランジバックとはレンズとフィルム面の直線距離であり、フィルムカメラの中にはファインダーに映像を反射させるミラーが存在した。
このミラーとのクリアランスを考慮した値がそのマウントのフランジバックである。
(ここまでは分かっていた)

さらに光を受けるフィルムのサイズ(センサーのサイズ)によって焦点の位置が変わるためそれも考慮した設計を計算したマウントのサイズがある

早い話が大きいセンサーに光を通すにはレンズがどんなに大きくても小さいマウントでは通しにくい。ということだと思う

で上記2項目があって完成するのがレンズのマウントとフランジバックの関係性であって

同じフィルムサイズでもフランジバックが長いと、後玉から光を集光させる必要があるので、明るいレンズを作るためにはその前段階で普段よりももっと光を集める必要があって、大きくなっていく。ということらしい

PLマウントでいうと52mmという距離とLPLの44mmでは後者の方が光をセンサーに当てやすいので同じ明るさのレンズでも小型にできるということだ

またデジタルのセンサーが大型化してラージフォーマットが一般化した現在は、それに合わせてマウントも大きくした方が取り込む光の量を大きくできる。ということらしいです


で話を頭に戻すと、オールドレンズはフィルム一眼レフの時代のもので、マウントからフィルム面までの間にミラーがあったためにフランジバックを長くせざるを得なかった。

そしてワイドレンズになると焦点がフランジバックより短いために、そのまま設計しても物理的に不可能で、レンズ側で調整する必要がある。

そのための補正レンズがレトロフォーカスなどと名称される設計技法の一つで、光を取り込んだのちまず集光させずに並行に通す凹レンズを使い、その後後玉で集光させることによって焦点をフランジバックと合わせる。

そのため光の透過率が物理的に減るため暗くなる。

ということらしい


じゃあ原理的に最初の段階でさらに光を取り込めばもっと明るくできるんじゃ無い?

と思って調べて見たのだけどそんなレンズは存在しなかった

おそらく小型軽量ブームが来たり、写真機材として扱い難かったり、そもそもレンズの質が良くなかったりと不可能だったんだろう。

シネレンズは存在するんだけど桁が一桁違うだろうし・・・

またフルサイズなのかAPS-Cなのかということでも大きく考え方が変わっていく。

フランジバックの距離が焦点に影響するため各社の基準レンズが50mmなのはフランジバックが軒並み40-50mmのため小型で明るい基準レンズを作りやすいということもあるし、ファクターの関係で50mmが標準とされるからだ。

中盤のカメラが80mmぐらいのフランジバックなのも標準が80mmぐらいだとされるので中盤の世界で24mmとかがあまり存在しないのもそのレンズを設計する意味と、物理的に難しいからだと思う。

ということはフランジバック18mmのEマウントでは基準が18mmになるので50mmは望遠に振れば良いので作りやすいし、ワイドも18基準なので余裕がある。

またAPS-Cに限れば集光させるべきセンサーは半分で良いので全体の小型化と明るさに余裕が出る。というわけだ。と思っている

ではcineの世界ではS35をAPS-Cと同等と考えるとPLマウントのフランジバックは52mmのため明るい値で統一させるために全体の大型化に繋がり、さらに大きなラージセンサーに今後対応していくために、新しい機軸を打ち出す時がきた。ということか

そもそもS16というさらに半分のサイズのフィルムカメラも同じマウントだが、S16からS35に切り替わったときはデジタルセンサーではなかったはずなので、フィルムに対する解像度がまだそんなに必要ではなくそのまま使っていったのだろうか?


ということで現行のレンズがワイドまで明るいのはそういうことなんですね。

勉強のために色々調べて自分なりの結論をまとめました

間違ってるかもです



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