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間借り

ずっと自分の場所じゃないところにいる気がしている。
電子音が鳴る。
また客が自動発券機で注文をした。
牛丼と生卵のセット。

ボタンを押すと出てくる定量の米を見ながら、どこにいても自分の場所って感じがしないんだよなー、と今一度思ってみる。
いつでも他人の作った場にお邪魔している感覚なので、怒られる準備を常にしていて、ずっとビクビクしている。

間借り

と頭に浮かんだ。それは自分が非正規のアルバイトでこの牛丼屋にいるからかも知れないし、少子化のゆとり世代として社会から軽んじられているからかも知れないし、そのくせ下の世代はサトリなんて言われてインテリ扱いを受けていて自分達だけが時代の中にポッカリ出来た不良品のように普段からうっすらみられているからかも知れないし、それはわからない。

でも自分の場所だと確信できる場所を、生きてきてこの方手に入れたことがあるだろうか。

何にしても辛い時期が来た。
台風が残暑まで連れていった。
多少寝苦しいくらい我慢するから、あの熱気を返してほしい。

防御力0のところに、物悲しげな空気を肺いっぱい吸い込んでしまった。

冬眠と逆の作用で、寒さに反応して自分の中で冷たくじっとりした何かが起きた感覚があった。

世界から見た日本。
この会社から見た自分。
いろんな世代から見たゆとり。
家族から見た自分。

どれも、間借り、に見えた。

漠然と横たわる憂鬱は、間借り料金なのかも知れない。

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