ボーディング・ブリッジ
新幹線の駅に降り立つ。終電が迫っている時間ではないが、概ね店舗は閉まっている。
あとはどこか目的地へ経つのではなく、居場所へ変える人たちの柔らかい雰囲気に包まれていた。
シャッターが閉まった旅行代理店の前に、パンフレットが並んでいる。
旅に行くのも良いかも
と今までの自分だったら全体に思和ないことを思ったりした。
億劫であるし、第一金が勿体無い。
そんな散財をしてしまったら、この先生きていけないのではないか。極端な心配性が旅行に行くあらゆる貴重な体験や温かみや得することを消し去ってしまう。
でも今日に限ってはいくつかのパンフレットを手に取り、地上へ向かうエレベーターのボタンを押した。扉の向こうを想像してみる。
今機械からの指示を受けてワイヤーが箱を引っ張り上げている。もしくは頭上から下降させている途中だろう。
静かなエレベーターだと思ったが、よく見ると押したはずのボタンは区的の方向へ矢印が点灯する造りをしているが、なんの色も灯していなかった。
そういえば自分の他に利用客も周りに見当たらない。僅かに稼働時間を過ぎているのだろうか。振り返って階段を探す。
化粧室の横に殺風景な階段があった。
従業員用の通路のようだ。多くの人がここを利用しているわけでは無いだろうが、鍵もかかっておらず、立ち入り禁止の看板もない。
解放されているので通っても差し支えないだろう。とにかく地上に出られれば良いのだ。
その時は特になんの考えもなく、その階段を登り始めた。