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小5のドラゴンエプロン

小学校5年生になると、裁縫道具箱とエプロンのデザインを選ぶ行事がある。

その時に無難にスポーツメーカーのロゴとかにすればいいのに、どういうわけか僕の心は激しくドラゴンが描かれた柄に惹かれる。

母親から「こっちにしといたら?」もadidasの柄をお勧めされた記憶が薄らあるが、そんなの聞く耳も持たずに「ドラゴン一択」という感じだった。

その選択をした人はみんな通る道だろうが、中学校で裁縫道具を使う場面が訪れると、恥ずかしい思いをしながらその箱を開けることになる。

しかも裁縫箱ならまだいいが、家庭科の授業でエプロンを身につけないといけないとなると、これはさらに苦痛となる。

アニメのキャラクターでもなんでもない、とにかく無名のドラゴンがエプロンに所狭しと舞っている。
大阪のおばちゃんの全身豹柄といい勝負である。
そんな状況でやれることはなるべく柄が露呈しないように、黙々とまな板に向かうことだけだ。

でもこのように、「ある時期でしか魅力を感じないもの」ってあると思う。

ちょうど5年生の時の僕にはその魅力がわかった。でも今は分からない。
それって感受性が落ちたのだろうか。いや、良い悪いじゃなくて、タイミングだろう。

その時その時にしか夢中になれないことや、良さが分からないものはとにかく大切にした方がいいなと思った。

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