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BlenderとUnityではじめてのQuest対応VRChatワールド作り_思想編
はじめに
このページはVRChatのワールドを作る際に、技術面以外で考えていたことを残すために書きました。
BlenderとUnityではじめてのQuest対応VRChatワールド作り_技術編
https://qiita.com/masaki_nire/items/c27173d311354670e52e
発端
月に1~2回ほどイベントを開いています。会話がメインのイベントなので、環境を問わず参加できるようにしたいと考えています。
これまでクロスプラットフォームのワールドは『VRChatの世界(β)』のOculusQuest対応ワールド(https://www.vrcw.net/category/detail/oculusquest_ready)からひとつひとつ探したりしていました。いくつかのワールドにはお世話になりました。
イベントを何度かやると欲が出てきます。このイベント内容にこのワールドはちょっと明るいなあとか、持てるアイテムがほしいなあとか。
そしてワールドのぼんやりとしたイメージと、悪魔のワード「ないなら作る」が浮かんでしまいました。もう作るしかありません。
設計図を書く
ワールドを作るときに重視したのは以下のことです。上から重視した順に並べています。
クロスプラットフォーム(必須)
収容人数が多い
とにかく軽い
ほどよく広く、ほどよく包まれた(閉じた)空間
持てるアイテムがたくさんほしい
床に模様(立ち位置を見失いにくい)
イメージだけだと、実際に作る際に困ることが起きそうです。なので設計図を書きます。つまりゴールの設定です。
(書いた紙を紛失したので残っていた写真から)
ここではおおよその形や色、入れたいアイテムを決めます。書くと形や色が定まっていくので、設計図を書くのをおすすめします。
また、アイテム(ミラー、カレンダー、持てるアイテム、入場者数など)も場所を考えておきます。
スポーン地点もここで決めておきます。いきなり輪のなかにスポーンするのはつらいとか、入場してすぐ全部が視界に入ると重いとかを考慮します。ねころさんのツイートがとても参考になります(コクリコさんのツイート探せませんでした)。
以前にコクリコさんも作ってたと思いますが、
— ねころ@VRC (@tsubasa9317) November 27, 2019
ワールドを作るにあたって、個人的に考えてるVRC民の習性と導線のポイントをまとめてみました。#VRChat pic.twitter.com/0rJv7CfKzM
floating starではスポーンした地点が一番暗く、前に行くほど明るくなるようにしました。
スクリーンの隙間からメイン広場が見えるのが気に入っています。
好きなもの、おそらく影響を受けたもの
2018年に番匠カンナさんを知ってから建築や空間に興味が出て、いつか自分でワールドを作ってみたいと思っていました。この思想編・技術編というのも番匠さんのnoteを参考にしました。
ワールド作成中によく思い浮かべていたのは、オスカー・ニーマイヤー、市川春子、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(アニメ)、ロバート・マッカーター著『名建築は体験が9割』、ずっと真夜中でいいのに。『蹴っ飛ばした毛布』のMVなどです。
建築以外にも影響は受けるし、本屋や図書館に行くと意図しないものを見つけられるかもしれません。X-Knowledgeの本が面白くて楽しい。別に読んでいるから高尚とかはぜんぜんないです。
わからなかったこと
わたしはなにもわからない状態だと手を動かすことができません。作りはじめる前にワールドの作り方の記事や動画を見ました。すると大まかな流れと、調べるための単語を知ることができます。
・コライダー・ピックアップ・カレンダーなどの導入の仕方
・questにどう見えるか
・シェーダー・ベイク
ワールドを作るのは初めてで、わからないことばかりです。ぜんぶ一度には対応できません。わたしは無地のA5ノートにぜんぶ書き出しました。忘れるからというのと、わからないことがこれだけある、と把握できるからです。
ほかに使用したもの
◇Google翻訳(スマホアプリ版)
カメラに写っているテキストをリアルタイムで翻訳してくれます。Unityは全部英語なので、ひとまずなにを言っているのか知りたいときに使用しました。
また、スマホなのでモニターと別に置くことができ、取り回しの点でも便利でした。
◇Rapture
https://freesoft-100.com/review/rapture.html
画面のほしい部分だけをキャプチャしてウィンドウとして置いておけるソフトです。ウィンドウは最前面に固定されるため、横断して参照して、などのときとても便利です。
◇無地のA5ノート
わからなかったこと、やったこと、愚痴、ぜんぶこれに書きます。手でペンを持って書くのが好きだし速い、ぐちゃぐちゃにも書けるので重宝します。
◇affinity designer
Adobe Illustratorより軽くて使いやすいです。技術編の解説画像もこれで作りました。
名づけ
さて、名前です。名前は大事です。「floating star」という名前は制作の最後、アップロード直前に考えました。ワールドの印象がどう仕上がるか、わからなかったためです。
関連して思いつくものをひたすらノートに書き出します。そうして浮動小数点数(floating point number)という単語に行き着きます。
C言語で小数を扱う変数はfloat型、double型があります。float型は桁数が小さく精度が低いため、誤差が生じやすい。わざわざfloat型を使うシーンは少ない。そこが気に入りました。
説明文は「white point star」です。このワールドには1つだけ白い星があります(これも持つことができます)。1つだけなら点たりえるため、pointという単語を使ってもよいことにしました。
※ミラースイッチは床の模様と一緒なため、白い星の唯一性は保たれていると判断します。
おわりに
ワールドテストに付き合ってくださった皆様、ありがとうございました。わたしはOculus Questを持っていないので、Questでjoinしていただいて本当に助かりました。
この記事を書いている最中、Oculus Quest 2が発表されました。今はまだ不便さがありますが、技術が進んで、どんな環境でもどこへでも行けるようになってほしいと思います。
参考にしたサイト
UnityのUの字もわからないレベルから始めるVRChatのワールド作り(応用編)
https://qiita.com/tamsco274/items/dfb66e8770b6ed65d025
2倍製作所 技術室
https://plaza.rakuten.co.jp/twicelapis/
【Unity】入門ライティング設定!
https://qiita.com/Nekomasu/items/8845d076c4356809f0ff
VRChatのQuest用ワールドを雑に作る指針と、ライティングをいい感じにする話
https://omega.hatenadiary.jp/entry/2019/06/22/051445
UnityのSkyboxのテクスチャを自作する
https://bibinbaleo.hatenablog.com/entry/2019/08/12/220032
【VRChat】ワールドをOculus Questに対応させた話
https://rakurai5.fanbox.cc/posts/418277
[VRChat] PCアバターをQuest対応化するための最低限の設定
https://qiita.com/hirakichi/items/dcecd282808003a6ba01
UnityやBlenderの先の世界の話
https://note.com/hirakichi/n/nef90e4841298
VRChat ワールド作成:ギミック編
https://note.com/01mi0/n/n2dce6144ac31
[2.8]Rectifyの無い世界で私たちは
https://note.com/lab1092/n/nd46cdedc6a55
PlayerMods - Programming in VRChat
http://vrcprog.hatenablog.jp/entry/component-PlayerMods
今よりもっと「クロスプラットフォーム」なVRChatを作りませんか?
https://narazaka.hatenablog.jp/entry/2019/12/08/%E4%BB%8A%E3%82%88%E3%82%8A%E3%82%82%E3%81%A3%E3%81%A8%E3%80%8C%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%8D%E3%81%AAVRChat%E3%82%92
浮動小数点数型と誤差
https://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~yamada/programming/float.html