見出し画像

shift innovation #1 (KYOTO Design Lab hack1)

今回、KYOTO Design Labの「kyoto Design Thinking EXPO2022」のミニデザイン思考ワークショップに参加してきました。

ワークショップでは、京都工芸繊維大学のスシ・スズキ先生がファシリテーターとなり、デザインに関わる様々なお話も交えて、色々なことを学ぶことができた、大変貴重な体験となりました。



【ワークショップのミッション・概要】

ミッション

 「プレゼント体験をリデザインする」

ワークショップ概要

《ペアの人が体験したプレゼント体験をリデザインしましょう。相手に対する深い共感から始めます》
  1.インタビュー(4分)
  2.掘り下げ(4分)
《問題をリフレーミングしましょう》
  3.状況把握(3分)
  4.問題表現の設定(3分)
《テストのための代替案を考えます》
  5.ペアのニーズを知るため突拍子もないアイデアを最低5つ絵にしましょう 
  6.解決策を共有してフィードバックをもらいましょう(4分)
《フィードバックを参考に繰り返し》
  7.フィードバックを反映させた新しい解決策を考えましょう(3分)
《プロトタイプを作って試してみましょう》
  8.解決策のプロトタイプ作り(12分)
  9.解決策を伝えてフィードバックをもらいます(4分)


【ワークショップにおける体験の概要】

ワークショップの内容は、「スタンフォード大学d.schoolにて考案されたデザイン思考の世界を体験できる入門講座」ということで、社会人から京都工芸繊維大学の大学院生、学生服を着た方(中学生)も途中から参加していました。
デザイン思考のプロセスには、「共感」「問題定義」「創造」「プロトタイプ」「テスト」がありますが、まさに上記フェーズ1〜9はデザイン思考のプロセスであり、スタンフォード大学d.schoolにて考案されたデザイン思考の世界を体験することとなりました。
今回のワークショップは、「プレゼント体験をリデザインする」というミッション(テーマ)に基づき、ペアを組んだ相手の方にインタビューをしつつ、個人ワークによりアイデア出しをし、プロトタイプを作成した上で、ペアの方にプレゼンをしたのちに、アイデアに対するフィードバックを得るという内容となります。
しかし、1時間30分という短い時間ということもあり、進捗が大変早く、私の場合、実はフェーズ3あたりから設問の内容が十分理解できなくなったこともあり、追いつくこともできず、どう挽回すれば良いのかと思いつつ、また、ペアの方がいるので、自分の問いをじっくり考えることもできず、終盤に差し掛かってしまいました。
一方で、ペアの方は、インタビューした内容から、いくつかの体験を概念化することにより、「創造」のフェーズで上手くまとめた代替案を提示しておられました。


【ワークショップにおける体験の内容】

今回のミッション(テーマ)は、「プレゼント体験をリデザインする」ということで、ペアの方とお互いのプレゼント体験をインタビューするところから始めました。
ペアの方は、京都工芸繊維大学の大学院生の方で、インタビュー(4分間)をしたところ、引き出すことができた情報は、「gain」としては、研究室にお菓子などを差し入れ(プレゼント)しあっているという話があり、誕生日や記念日などではないものの、これもプレゼント体験として捉えることとしました。
一方で、「pain」としては、ガジェット好きの友人からスマホの充電器をもらったようですが、その充電器がワイヤレスの充電器であり、保有しているスマホはワイヤレスに対応しておらず使うことができなかったという経験があったようです。
そして、ペアの方が、プレゼントを選定する際、プレゼントする方が喜んでもらえるように心がけていることは、初対面の時であれば、プレゼントする方を知る上で、色々と聞きやすいということで、その時収集した情報を活用してプレゼントをしているようです。

とりあえず、収集したこれらの情報に基づき思考しようとするものの、フェーズ3〜7は設問の言葉自体に引っかかってしまったこともあり、言葉の意図を十分理解できなかったため、まさに思考が停止した状態が続きました。
しかし、せっかくの学びの機会であり、何か学びはないかということで、ペアの方の話を聞いていると、私のプレゼント体験として、子どもが幼稚園の時にプレゼントしてくれた、メッセージの入ったシオリを大切に使用しているという話から、「大切な人からもらったものであること」、「金額でははかるこことができないものであること」という概念化したことを抽出した上で、「他の人にとって価値がないものでも、二人の間では大きな価値があるもの」というコンセプトに基づき、フェーズ5において新たなアイデア(代替案)を出しておられましたので、このようなプロセスを経ることは大切であるという学びがありました。

一方で、私の方はというと、フェーズ8でプロトタイプを作る段階まできて、代替案はもちろん、何のアイデアもない状態で、とりあえずプロトタイプを作るための色々な道具がある場所へ行き、道具を見ると何かアイデアが出てくるのではないかと思ったものの、道具の前で立ち尽くすこととなりました。
これはまずいと思っていた時、「白紙の紙もあります」という声が聞こえたことから、とりあえず白紙の紙とペンを持って、自分の席に行き、もう一度、インタビューをした内容を確認することとしました。
インタビューの内容のキーワードとして、プレゼント体験として捉えた「普段のお菓子の差し入れ」ということから、手元にある白紙の紙とペンでできるプロトタイプを考えた結果、キーワードに基づいた何らかの「アプリ」を作ることはできないかと考えました。
そこで、アプリのコンテンツとして、ペアの方は、研究室でお菓子の差し入れ(プレゼント)をしあうということで、アプリ上で、メンバー同士のグループを作り、グループメンバーをアプリに登録した上で、メンバー個々人が欲しい商品(お菓子など)をリストに登録します。
そして、グループ内において、複数のメンバーが共通する欲しい商品(お菓子など)がある場合、その共通した商品をシステムが選定した上で、指定した場所、指定した時間にアマゾン等から自動配送されるというシステム(アプリ)となります。
例えば、リストの中にある商品のうち、複数のグループメンバーがリストにした「●●スナック」「■■チョコ」「▲▲クッキー」「◆◆せんべい」という商品のうち、共通した「●●スナック」「■■チョコ」をシステムが選定した上で、指定した場所、指定した時間に、アマゾンより自動配送されます。
このアプリを利用することにより、個々人が欲しいものを勝手に持ち寄るのではなく、みんなが欲しいお菓子などを差し入れ(プレゼント)をしあうことができることから、みんなが喜んでお菓子などをシェアできるのではないかと考えました。

プロトタイプ「みんなが欲しいものをプレゼントしあえるアプリ」


【ワークショップにおける思考プロセス】

プロダクト

「みんなが欲しいものをプレゼントしあえるアプリ」

思考プロセス

(アイディエーション) ※プロダクト全体
「白紙の紙とペンだけではプレゼント体験のプロダクトが何もできない」
「白紙の紙であれば平面のプロダクトしかできない」 (制約)
「アプリであれば平面でも問題なく、情報量をたくさん盛り込んだプロダクトができるのではないのか」 類推・転移

(アイディエーション) ※プロダクト詳細
「研究室のメンバーへのお菓子の差し入れのプレゼント体験をアプリにできないのか」 (機会)
「確かグループで使えるアプリで割り勘できるアプリがあった」 類推
「個々のメンバーがお菓子を注文してみんなで割り勘するアプリはどうか」
「個々人が好きなお菓子を注文しても、グループで利用するアプリの意味がないのではないのか」
「個々のメンバーが欲しいお菓子をリスト化したもののうち、共通した欲しいお菓子を注文するというのはどうか」
「注文はアマゾンにすることにより自動的に配送されるようにすれば良いのではないのか」 結合
「メンバーみんなが欲しいお菓子であれば、みんなが喜んで食べることができるのではないのか」

(プロトタイピング)
「アプリのインターフェースをプロトタイプとして一枚の紙でどう見せれば理解してもらえるのか」
「欲しいものを入力する画面をプロトタイプとして作れば理解してもらえるのではなのか」
「はじめにグループで利用できるアプリを示すためグループの画像を埋め込んではどうか」
「個々の欲しいお菓子を入力する欄を設ける必要がある」
「メンバーが集まる時に差し入れするのであれば、配送される時間・場所を入力する必要がある」
「出すことができる金額も入力する必要がある」
※思考プロセスは、対面で実施されたワークショップであったため、端末を使用できなかったこともあり、振り返り記録したものとなります。


【ワークショップにおけるアイデアのブラッシュアップ】

プロダクト

「ホームパーティ幹事・らくらくサプライズ・アプリ」

アイデア

ワークショップで導出したアイデアを発展させたアイデアとして、ホームパーティーなどで、洋食・和食・中華など、どのジャンルにするのか、幹事が迷い出席者に確認するという場合、幹事は時間と手間がかかるなど面倒であるため、ホームパーティーの出席者が、このアプリに登録した上で、食べたいジャンル、食材などをリストに登録することにより、多くの出席者が選定したジャンル、食材を予算の範囲において、システムが選定した上で、指定した場所、時間に自動的に配送します。

そして、配送システムとして、Uber eatsと業務提携することにより、個別のレストラン等と提携することなく、より多くのレストラン等から食品を調達することが可能となり、アプリの利用グループのニーズを満たすことができます。

なお、どのジャンルのどの食材が選定されたかは、ホームパーティー当日ではないと誰も知らないというようなサプライズがあり、ホームパーティーの楽しみの一つにもなります。


【ワークショップの感想(反省)】

今回のワークショップにおける各フェーズを十分こなすことができず、最後にドタバタした状態でアイデアを導出することとなりましたが、やはり、はじめのインタビューで相手のインサイトを捉えた上で、コンセプトを設定し進めることが重要である中で、特に、フェーズ5に関して、「ペアのニーズを知るため、突拍子もないアイデアを最低5つ絵にしましょう」という設問が気になると共に重要であるのではないかと思いました。
本来の意図するところを理解していないかもしれませんが、勝手な解釈として、極端なアイデアを提示することにより、ペアの方の本音を引き出すと共に固定観念を抽出することによって、これまでとは異なる視点のアイデアを導出するヒントを得るためではないかと思いました。
これに関しては、スシ・スズキ先生より、デザインに関わるお話の中で、ヘンリー フォードは「顧客は何が欲しいかわかっていない。もし顧客に、彼らの望むものを聞いたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えただろう」と言ったように、顧客が気付いていないインサイトから、今まで(馬)とは異なる、今までにないもの(車)で解決するということが、デザイン思考のプロセス(フェーズ5)に組み込まれているのではないかと思いました。
そういう意味では、今回導出した「みんなが欲しいものをプレゼントしあえるアプリ」は、ペアの方のインサイトではなく、ニーズと思われることに基づき導出したアイデアであり、今までにないアイデアではなく、面白みに欠ける普通のアイデアであったと反省すると共にデザイン思考のフェーズの行き来はあるものの、各フェーズを確実に進める、特にインサイトを捉えることが重要であると改めて思いました。

KYOTO Design Lab

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?