shift innovation #2 (KYOTO Design Lab hack2)
今回、KYOTO Design Labの「kyoto Design Thinking EXPO2022」のミニデザイン思考ワークショップに参加してきました。
前回紹介した、ワークショップのミッション(テーマ)である「プレゼント体験をリデザインする」に基づき導出したアイデアとは、「みんなが欲しいものをプレゼントしあえるアプリ」となります。
プロダクト
そこで、今回は、ワークショップにおける反省を踏まえ、ワークショップのミッション(テーマ)である「プレゼント体験をリデザインする」に基づき、プレゼント体験の概念を変革できる、新たないアイデアを導出することとします。
ワークショップにおける反省として、一つ目は、ペアの方のインサイトからアイデアを導出できなかったこと、二つ目は、各フェーズの課題を確実に解決できていなかったこと、三つ目は、ヘンリーフォードの話より、今まで(馬)とは異なり、今までにないもの(車)で解決するということを踏まえていなかったことがあります。
それでは、これらの三つの反省を踏まえ、はじめに、インサイトから新たなアイデアを検討することとします。
【インサイトの概要】
はじめに、「お菓子を差し入れ(プレゼント)しあう」というプレゼント体験において想定されるインサイトとは、「毎回、お菓子を買いに行くのは手間であり、また、お菓子を選ぶのが面倒である」、「お菓子の差し入れが当たり前になり、有り難みがなくなっている」、「自分も差し入れしたお菓子を食べているものの、購入費用が負担になっている」などがあると想定されます。
これらをインサイトと捉えた場合、「毎回、お菓子を買いに行くのは手間であり、また、お菓子を選ぶのが面倒である」というインサイトは、ワークショップで導出したアイデアである「みんなが欲しいものをプレゼントしあえるアプリ」において、一部解決されているのではないかと考えます。
一方で、「お菓子の差し入れが当たり前になり有り難みがなくなっている」、「自分も差し入れしたお菓子を食べているものの、購入費用が負担になっている」というインサイトに関しては、「みんなが欲しいものをプレゼントしあえるアプリ」において、解決されているものではないため、これらの想定されるインサイトに基づき、新たなアイデアを導出することとします。
【インサイトの捉え方】
インサイトと想定される「お菓子の差し入れが当たり前になり有り難みがなくなっている」、「自分も差し入れしたお菓子を食べているものの、購入費用が負担になっている」に関して、「お菓子の差し入れが当たり前になり有り難みがなくなっている」というインサイトは、「意味的価値」と捉えることができ、「自分も差し入れしたお菓子を食べているものの、購入費用が負担になっている」というインサイトは、「経済的価値」と捉えることができると考えます。
そこで、「意味的価値」とは、感謝される、賞賛されるなど、承認に対する価値と捉えることができ、「経済的価値」とは、カバンをプレゼントする費用、花をプレゼントする費用など、対価性に基づく価値と捉えることができると考えます。
これらの「意味的価値」と「経済的価値」という視点があるということを踏まえた上で、新たなアイデアを検討することとします。
【新たなアイデアに関する概要・思考プロセス】
ミッション(テーマ)
プレゼント定義
インサイト
プロダクト
思考プロセス
【新たなアイデアの説明】
一般的にプレゼントというと、「バック」や「花」などの経済的価値を想像すると考えられますが、新たなアイデアとして導出した「SNSを活用した社会貢献スコアサービス」は、あえて「感謝される」や「賞賛される」などの意味的価値に関する新たなアイデアを検討することとしました。
はじめに、プレゼントの定義について検討することとし、プレゼントとは、「相手に喜んでもらえるモノやコトを無償で提供すること」と定義付けすることとしました。
そうすると、私が「プレゼント体験」と聞いた際、個人が個人に対してプレゼントするということを想像しましたが、この定義に基づくと、企業から個人であっても、また、その反対であっても、良いこととなります。
そこで、個人がプレゼントをする場合であれば、経済的価値と意味的価値の両方が想定されることとなり、例えば、誕生日にカバンをプレゼントする場合は、経済的価値となり、子供が父親の誕生日に手紙をあげる場合は、意味的価値となります。
一方で、企業がプレゼントをする場合であれば、一般的には経済的価値が想定されることとなり、例えば、懸賞品として空気清浄機をプレゼントする、ウォーターサーバーを購入した際に水がついている場合は、経済的価値となります。
ここで、企業がプレゼントする場合においては、一般的には経済的価値が想定されることから、あえて企業において「感謝される」や「賞賛される」などの意味的価値に関する新たなアイデアを検討することとしました。
企業における意味的価値として、例えば、感謝の言葉「いつも当社の商品をご購入いただきありがとうございます」というメッセージも、「プレゼント」の定義からすると、意味的価値に基づくプレゼントに該当するものと考えられます。
これに関して、企業における感謝の言葉は、プレゼントされる側である個人が有償でしたことに対して、プレゼントする側である企業が無償でするものでありますが、ここでは、あえて、個人において無償でしたことに対して、企業においても無償で意味的価値をプレゼントする新たなアイデアを検討することとしました。
そうすると、個人において無償でしたこととして、例えば、個人におけるボランティア活動と捉えることとし、一方で、企業において無償で意味的価値をプレゼントすることとして、例えば、SNSにおいて承認される機会を提供することと捉えることとしました。
これらのことから、新たなアイデアとして、個人が行った社会貢献活動を数値化し、SNS上において社会貢献に対するスコアを表示することにより、社会より承認されるという意味的価値がプレゼントされるアイデアを導出しました。(「SNSを活用した社会貢献スコアサービス」)
この「SNSを活用した社会貢献スコアサービス」は、社会より承認されればされるほど嬉しくなり、また、金銭的なものが関わるものではないことから、「お菓子の差し入れが当たり前になり有り難みがなくなっている(意味的価値)」及び「自分も差し入れしたお菓子を食べているものの購入費用が負担になっている(経済的価値)」というインサイトを解決したアイデアであるのではないかと考えます。
【プレゼント体験の新たな概念】
ワークショップのミッション(テーマ)である「プレゼント体験をリデザインする」を、プレゼント体験の概念を変革することと捉えた上で、既存の概念を変革することとしました。
既存の概念を変革するとは、例えば、個人が個人に対して、「バック」や「花」などの経済的価値があるものをプレゼントする体験、「手紙」や「感謝の気持ち」などの意味的価値があるものをプレゼントする体験、また、企業が個人に対して、「懸賞品」や「ポイント」などの経済的価値があるものをプレゼントする体験を変革するということとなります。
そこで、プレゼント体験の新たな概念として、社会が個人に対して、社会貢献活動に対する「評価」も意味的価値となり、例えば、プレゼントを「もらうことにより嬉しくなる」を、社会貢献活動を「承認されると嬉しくなる」と読み替えた場合、「評価」もプレゼントと捉えることができるのではないかと考えられます。
これらのことから、承認による「評価」をプレゼントと捉えることにより、SNSは社会性が高いこともあり、個人ではなく、企業でもなく、社会から個人に対する「プレゼント体験」と捉えることができることから、今まで想定していたプレゼント体験の概念を変革できるものではないかと考えます。
よって、これを具象化した「SNSを活用した社会貢献スコアプサーピス」は、今まで想定していたプレゼント体験の概念を変革することができるアイデアではないかと考えます。
そして、「SNSを活用した社会貢献スコアサービス」は、SNS上に社会貢献スコアを表示することにより、個人は承認欲求が満たされると共に就職活動等におけるソーシャルグット指標として活用できるシステムであると考えます。
また、SNS事業者においては、SNS上に社会貢献スコアを表示することにより、個人が積極的に社会貢献活動をするよう促進することとができることから、SNS事業者においても、社会を利他の精神にあふれた世界にできるシステムであると考えます。
【まとめ】
はじめに、ワークショップのミッション(テーマ)である「プレゼント体験をリデザインする」における「プレゼント」を定義付けし、プレゼントを概念化できたことによって、ミッション(テーマ)を俯瞰的に捉えることができたのではないかと考えます。
ワークショップで導出したアイデアである「みんなが欲しいものをプレゼントしあえるアプリ」は、一般的に想定されるプレゼント体験である、誕生日や記念日などに、バックや花をプレゼントする体験、また、感謝の気持ちを示した手紙をプレゼントする体験という具象化された視点で捉えた上で、アイデアを導出したことから、現状のプレゼント体験をより効率的・効果的に体験することができるアイデアが導出されたと考えます。
一方で、「プレゼント」を「相手に喜んでもらえるモノやコトを無償で提供すること」と概念化したことによって、個人から個人だけではなく、企業から個人、さらには、社会から個人へ視点を広げることができたと考えます。
また、インサイトを複数捉え直したことにより、インサイトを構造化することができたことによって、アイデア導出の方向性を見極めることができたのではないかと考えます。
今回捉えたインサイトより、プレゼントを「経済的価値」と「意味的価値」に分類したことによって、一般的に想定されるプレゼント体験である「個人から個人」や「経済的価値」ではなく、「社会から個人」や「意味的価値」に関するアイデアを導出しようと試みることができたのではないかと考えます。
なお、このような方向性として進めることを選択した事由としては、ワークショップにおいて、スシ・スズキ先生のヘンリー・フォードの話より、相手の方が気付いていないインサイトから、今まで(馬)とは異なり、今までにないもの(車)で解決するということが、意識の中にあったからではないかと考えます。
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