長い休暇
長い休みに入った。
文字通りのゴールデンなウィークだ。
日本は、明日から休みなんだって?
祝日がたくさんあって、いいよね
海外からメッセージが飛んでくる。
おいおい、きみたちだって、つい最近までイースター休暇だったじゃない。
日本は、こんなにたくさんの祝日があるのに、なんでいつも忙しい感じがするんだろう。
腹が立つというより、純粋に、不思議だ。
祝日がある分、仕事が集中するからかな?
いいや、違うだろう。
だって、自分は、そんなにたくさんの仕事をかかえているわけではない。
でも、朝、目が覚めたと思ったら、もう夜だ。
パソコンで渇ききった、シバシバした目で眠り、さほど回復しないまま朝を迎える。
その繰り返しだ。
なんでなんだろうか。
ボーっとしながら、お風呂につかり、じいっと水面を見ていたら、ある考えが浮かんだ。
「仕事しかしてないから」
そうだ、そうだ!
こんな当たり前のカラクリにも気がつけないほど、摩耗した自分の頭に気づき、少しがっかりした。
そう言えば、最近、遊んでいないや。
働く以外の時間は、全て、「生活」に費やされている。
掃除や洗濯や、光熱費の振込みや、要らないダイレクトメールの廃棄やら、キリがない。
自分にとって「遊ぶ」って言うのは、自然にどっぷりと浸かることだ。
あいにく、今の暮らしは、緑が少ない。
広大な自然に会うためには、混んだ電車に長く乗らないといけない。
それは、そうしょっちゅうはできない。
代わりに、小さな観葉植物や花を買ってきて部屋に飾ったり、いい香りのオイルをお風呂に入れてみたりする。
でもそれは、なんていうか、仕事と生活に人生を費やしていることへの、「お詫び」みたいなもので、「努力」とか「償い」みたいに感じてしまうんだ。
少なくとも、遊びの代わりには、なっていない。
この休みはしっかり「遊ぼう」
そして、見ている景色と自分の境がわからなくなるくらい、頭を空っぽにしよう。
そんな風に思いながら、駅のホームで空を見上げた。
羽のような小さなふわりとした形、大きめの筆でサッと点をうったような雲が浮かんでいる。
ああ、空のことが好きだ
その時、じんわり胸のあたりが温かくなったような気がした。
長い休暇が始まった。