見出し画像

岸田総理の『新しい資本主義』は失敗する(ZATSUDANコラボ_堀江貴文&藤野英人③)

ビジネスのプロフェッショナルをお招きするFM番組「ビジプロ」は、今回、堀江貴文さんが運営する音声アプリZATSUDANとのコラボ企画。

レオス・キャピタルワークスの創業者、藤野英人さんをゲストに迎え、堀江さんと三戸政和の 3 人で、日本経済の低迷の理由や、岸田首相が掲げる「新しい資本主義」への評価、今後の社会の見通しなどについて、縦横無尽に語り合いました。

前回は日本社会はアメリカの占領政策がいまもなお影響を及ぼしているというお話をしましたが、今回は「岸田総理の『新しい資本主義』は失敗する」という題名にて、岸田首相の経済政策につき、堀江さんや藤野さんがどう評価しているかというお話をご紹介します。

この記事はFMラジオ、InterFMで毎週日曜20時30分からお送りしている番組ビジプロで放送された内容と、未公開部分を併せて記事化しています。ビジプロは、サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさいなどの書籍や、個人M&A塾サラリーマンが会社を買うサロンで知られる事業投資家の三戸政和が、さまざまな分野の先駆者をゲストに招いて話を聞き、起業や個人M&Aなどで、新たな一歩を踏み出そうとしているサラリーマンを後押しする番組です。番組は三戸さんとの鼎談ですが、記事はゲストのひとり語り風に再構成しています。
音声アプリVoicyでは、ノーカット版「ビジプロ」を聴けますので、こちらもお楽しみください。

民主党政権が戻ってきた感じがある

(藤野)岸田さんは「新しい資本主義」を掲げていますが、その内実はすごく古いもので、昭和の匂いのする価値観を「新しい資本主義」だと言っています。どの辺りが昭和の匂いがするかというと、分厚い中間層を作るとか、自社株買いは制限すべきというところなどです。

いま岸田さんがやろうとしていることが、実を結ぶとは思えません。でも岸田さんの意図せざる結果として、省力化が進むなどの本当の新しい資本主義がでてくるかもしれません。岸田さんの望む方向ではないところに本当の新しい資本主義があるということです。

(堀江)岸田さんは経営者をコントロールしようと思っているんですね。でもいま、僕も含めて、経営者が何をやるべきかというと、もう完全に省力化で、人を減らすことです。なぜかというと、いまの解雇規制では人を取れる状況ではないからです。

解雇規制に加えて、人を取らなくてもいいような状況にどんどんなっています。できるだけいまいる人を減らしたいし、新規も絞ろう、契約社員も取りたくない、できるものは全部、外注やクラウドを使おうという感じになっています。

そして今後は、さらに沈みゆく日本になるかというと、そうではなく、沈まない会社は必ず出てきます。でも分厚い中間層はできませんね。

経済格差が広がることは悪ではない

(堀江)本当の新しい資本主義では、格差がもっと大きくなります。僕がいうところの格差とは金銭的な格差のことです。ライフスタイルはますます多様化しますから、金銭的な格差が広がることが悪いことだと一義的に決まるものではありません。

SNS、とくにインスタグラムが普及したことによって、みんな単純労働にいかなくなりました。若者たちは、単純労働より、17LIVE やゲーマーをしていた方がいいと考えるようになっています。

とくに若い女性なんて、17LIVE で簡単に稼げますからね。それは僕はいいことだと思っています。ただそのために、いまは本当に人手不足になっています。とくに地方がひどい状態です。

三戸さんが投資していた北海道のキノコ製造会社では、働き手は高齢者と外国人実習生だけで、おじいさんおばあさんと外国人の 200~300 人でキノコを摘み取っていたそうです。デフレも進行していましたから、そういう人たちに頼ることで、あの値段でスーパーにシイタケが並んでいたわけです。

人手不足は今後、価格上昇圧力という形になってきます。単純労働はどんどん DX やロボット化していって、それで対応できないところは、人にお金をあげてやってもらうようになるでしょう。

(藤野)幸福度はお金だけで測るべきではないというのは重要です。格差というとき、みんな、お金の話ばかりします。とくに、「お金がすべてではない」という人に限って、格差の話をするときはお金の話ばかりです。

「お金がすべてではない」という人の方が、実はお金が大事だと思っていて、お金が欲しくて欲しくて仕方ないところがあるんですね。

岸田総理の新しい資本主義は弱者をより弱くさせてしまう

(堀江)物価も上がってきました。吉野家の牛丼はついに 400 円を超えました。牛丼 1 杯が200 円とか 250 円で食べられるのはやっぱりおかしい。400 円でも安すぎます。小麦の価格も上がってきたので、小麦の奴隷のパンも値上げします。

いま起きているのは、下がり過ぎた価格を是正するプロセスで、適正価格に戻っているところです。

新型コロナウィルスという意図しない形で DX が進みましたし、インフレも進行しつつあります。でも賃金は上がっていません。それはいまの解雇規制があるからで、さらにそこに、新しい資本主義とか言う人が出てきました。

岸田さんは、利益を株主に分配せずに従業員に分配しろと言っています。そういう規制を掛けようとしているんですから、逆に、経営者としては身構えて、できるだけ人を雇わないでおこうとなってしまいます。

企業が人を雇わないとどうなるかというと、仕事をしないニートみたいな人が増えます。これまではデフレで、生活コストも安かったですから、とくに地方ではなんとなくやっていけました。

でもこれから先、デフレは続きません。でもハイパーインフレがくるわけではなく、徐々にインフレになります。

(藤野)岸田さんというのはたぶん真面目な人で、良い社会人だと思いますが、昭和の価値観で育ち、その後、知識や意識のアップデートが足りなかったかもしれません。

日本人の身長は低くなり江戸時代に回帰する

(藤野)日本人というのは凄まじい根性の持ち主だから、日本はデフレによって、江戸時代に戻るかもしれないという仮説を先日Facebookに書き込みました。

日本人の身長は、右肩上がりで伸びてきたと思うでしょうが、実は江戸時代にちょっと止まっています。江戸時代はひどい飢饉などもありました。日本人はそういうとき、根性を発揮して、時代に即して身長が伸びなくなるのです。

いまも本当はもっとインフレになっていいはずですが、なかなかデフレが止まりません。それも日本人が持つ根性のせいで、過剰に我慢したり、節約したりするからです。

いま、インフレが来そうだとなったら、生活情報雑誌には、さまざまな生活防衛策が紹介されます。それも、ポイ活というポイントの活用法だったり、栄養価が高くて比較的安いモヤシのおいしい調理法だったりと、とても細かい話です。でも日本人というのはそうやって対応するのです。

日本人は根性を「なんとか道」という道のレベルにするんですね。そういう無限の力がありま す。有名な話ですが、有名なお菓子メーカーのクッキー大袋の個数はどんどん減っています。値段は同じですが個数を減らすことで、表面上、値上げをしないようにしているわけです。

日本人は、根性でそうやって時代に対応していって、100 年くらいしたら進化して、10 個で満足していたクッキーを 3 個で満足する身体になるかもしれません。日本人が根性で身体を変化させて、よりカロリーを使わない身体になるというのも、半分冗談ながら、あり得るのではと思っています。

次回は「学校や義務教育はもういらない」というお話などをお伝えします。

※この記事は、日曜20時30分からInterFMにて放送しているサラリーマンの挑戦を後押しするベンチャービジネス番組ビジプロの内容をまとめています。

画像1

三戸政和(みとまさかず) 事業投資家、ラジオDJ
1978年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。ベンチャーキャピタリストとして日本やシンガポール、インドのファンドを担当し、ベンチャー投資や投資先でのM&A戦略、株式公開支援などを行う。2011年兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選。2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行っている。また、ロケット開発会社インターステラテクノロジズの社外取締役も務める。
著書に『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)、『資本家マインドセット』(幻冬舎NewsPicks)、『営業はいらない』(SB新書)、『サラリーマンがオーナー社長になるための企業買収完全ガイド』(ダイヤモンド)、『サラリーマン絶滅世界を君たちはどう生きるか?』(プレジデント)などがある。Twitterのアカウントは、@310JPN