【Some Flowers制作日記 その5】
■Chapter4 選曲とCarry onのこと
今回ぼくが作っている(録音している)セルフカバー・アルバムは、その名の通り今まで自分が作って発表した曲の中から、自分が歌いたいと思った曲をチョイスして収録するというコンセプトの作品だ。
すでにこの日記でも触れた「明日になれば」と「Heart of gold」の二曲は当確、あと浜田省吾さんとの共作「Harbor lights」と、仮面ライダー・クウガのイメージソング「Carry on」も当確。
これですでに4曲は決まりである。
あと何曲入れるかまだ全然決めていないが、他にもぼくが人に提供した曲をいろいろと調べてみた。
真っ先に声優の中川亜紀子さんのシングルとして発表された「微笑みのSoldier!」という曲を思い出した。
それと歌手の智原嘉穂さんに提供した、ぼくが曲を書いてRarezaが詞を書いてシングルカットされた「Ring〜絆〜」という曲とか、中村あゆみさんに提供した「Sayaka’s boy」や、シンガーソングライターの野辺剛正くんとの共作曲「朱橙(オレンジ)」や「日曜日の恋人」もすごく好きな曲だった。
異色なところでは俳優の水元秀二郎さんに提供した、ぼくが作った唯一のド演歌の曲「男道」なんてのあったなぁ。
でももし今回ぼくが演歌をカバーしたら、どんな感じになるんだろう?
東京都葛飾区亀有出身、気鋭の新人演歌歌手「亀有 雅二郎」とかいう芸名を頂戴して、髪をオールバックにして、ド派手な着物の衣装かなんかを着て、振り付けもあったりして歌うとか(笑)。
それはそれでオモシロイ気もするけど。オモシロクないか(笑)。
ほかにも多分誰も知らないと思うけど、地下アイドル的な人気を誇ったカルトアイドルである、恵美奈マコちゃんに提供した「Cherry talking」なんてのもあった。
あとは未発表曲だけど、声優で歌手の佐藤朱美さんに提供した「つま先でKissをして」という曲も大好きだったりする。
The Fuseのレパートリーの中にも、鈴木俊二くんとの共作曲「Heartache」や「夏の日の夢(だったかな?」といった曲もあった。
まだまだあるけどキリがないので、もうこれ以上チョイスするのはやめた。実際に今聴き直してみてもキレイサッパリ忘れている曲もあるし。
そんな数々のアーティストに提供した曲の中から、自分で歌ってみたい曲もあるけどどうなんだろう?
先にも触れた権利関係のこともあって、何だか大変そうだなぁ。
などといろいろと考え逡巡した結果、残りの曲は全部Bricksの曲の中から選ぶことにした。
自分で歌ってみたい、歌えそうな曲というのが今回の最大のテーマなので、そう思ったら自然とBricksの曲の中からが一番多くなった。
Bricksのどの曲にするかは、これからじっくりと考えることにしよう。
それよりもまずは「Carry on」のトラックを作ることが先決だなぁ。
この「Carry on」という曲は、ぼくと葛山信吾くんのユニットである「Bricks」のシングル曲として、2000年11月18日に日本コロムビアから発売された。今ではすでに絶滅した8cmCDシングルのフォーマットでの発売だった。
A面の「Carry on」は仮面ライダー・クウガのイメージソング、カップリングの「勇気をくれた人へ」は、家電量販店DEO DEOのCMソングに採用された。
「Carry on」のジャケットのデザインとアートワーク、写真はカメラマンでデザイナーの田島照久さんが担当した。
田島さんと言えば、浜田省吾さんの殆どのアルバムやシングルのジャケットを担当している方で、他にも尾崎豊さんやハウンドドッグ等、数々のジャケットデザインを手掛けている、泣く子も黙る巨匠である。
そんな田島さんにBricksのジャケットデザインをしてもらえることになって、ぼくはとても嬉しかった。
撮影は田島さんのオフィスの中庭で行われた。
大理石のポールの上に立たされたり、床に寝転ばされたり、水泳の飛び込みのようなポーズを要求されたりと、実際にジャケットが出来てくるまでは、なんでポーズを要求されたのか意味がよく分からなかったのだが、完成したジャケットを見てようやく田島さんの意図することが分かった。
出来上がって来た「Carry on」のシングルCDを手にとって、ぼくはなんだか感無量だった。
いわゆるメジャーデビューってヤツである。全国のCDショップの店頭に並ぶのである。
しかも仮面ライダークウガのイメージソングである。ところでイメージソングって何だ??
自分でもよく分からなかったけど、とにかくイメージなソングなのである。CDの帯にもそう書いてあったのである(ような気がする)。
かくしてぼくが作詞作曲編曲した「Carry on」が発売された。
オリコンチャートにも登場した。初登場96位かなんかだった。かろうじてオリコンチャートの右ページに載った(笑)一応赤丸付きだった。
赤丸というのは、その先もチャート上昇が期待できるぞ、という水戸黄門の印籠のようなめでたい印だった。
「Carry on」もその栄誉ある赤丸付きの称号を貰った結果、次週のチャートにも登場した。たしか94位だった。二位だけ上がった(笑)。
その次の週にはHot100の圏外に消えていった。まるで地球の引力から解き放されて、あっという間に宇宙の彼方に消し飛んで行ったような気分だった。
そんなほろ苦い思い出の曲である「Carry on」を今回セルフカバーすることは、ぼくにとってはこの上ない喜びでもある。
「Carry on」に関してはまだ何も手つかずの状態ではあるけれど、良い作品になるよう頑張るぞー。
続く。