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【Some Flowers制作日記 その12】
■Chapter11 ボーカル録り二日目
先週の4月14日から始まったぼくのボーカル録音。
本日21日に第二弾の録音をしてきました。
今回も玄ちゃんこと、レコーディングエンジニアである玉井さんの自宅スタジオへ。
またしても午前中に玄ちゃん宅に着いてしまった。果たしてこんなに早い時間から声が出るのだろうか?
でも今日も6時過ぎには目が覚めてしまっていたので、おそらく大丈夫であろう(笑)。
今日の歌入れはバラード曲の「Stay blue」からスタート。
この曲はBricksの3rdアルバムに収録されていた作品で、作曲編曲はぼく、作詞は秋谷銀四郎さんに書いていただいた。
自分でもすごく気に入っている曲で、いつかセルフカバーしてみたいと思っていた。
今回その夢が叶ってとてもうれしい。
まずはマイクの前に立って、ウォーミングアップも兼ねて軽く通して歌ってみる。
ちなみにレコーディングで使用するマイクというのは、普段ライブ等で使っているマイクとは全く違うものである。
ライブやカラオケボックス等に常設してあるマイクは、ダイナミックマイクと言って、比較的安価で耐久性に優れているマイクのことを言う。
レコーディングのボーカル録音の際に使用されるマイクは、コンデンサーマイクと言って、ダイナミックマイクに比べ、高音質に音を拾う事が出来るマイクのことを指す。
コンデンサーマイクは感度が高く、幅広い周波数の音を拾う事が出来る反面、マイクに電源を供給してあげる必要があったり、感度が高い為にハウリングを起こしやすく、ノイズや様々な雑音を拾いやすいといったデメリットもあります。
実際レコーディングで歌っていると、自分の意志とは裏腹に「ボスッ」とか「ボフッ」とか言う、息から発生するノイズが被ってしまうことが多々起きる。
これを俗に「吹く」と言う。
気持ちよく歌っていると、ブースの向こうから「板さん、吹いてますよ〜」とかヘッドホンの中に聞こえてくるのである。
それを軽減するために「ポップガード」という、金魚すくいの網のようなものをマイクの前に立てます。
この「ポップガード」皆さんも写真等でご覧になったことがあるかと思います。
そのポップガードの写真がこれっ↓
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このポップガード、ぼくの歌入れの際にも使用しています。そして使用しているマイクは、もちろんコンデンサーマイク。
余談ですが山下達郎さんはこのポップガードが嫌いで、ご自身の歌入れの際には使用していないという話を聞いたことがあります。
それだけボーカルのノイズを出さないで歌える自信が、きっとあるのでしょうね。
そして歌入れの際には「キューボックス」という簡易ミキサーのようなものも使用します。
キューボックスは、レコーディング時に装着するヘッドフォンで聴いている様々な音の中で、自分の声の音量や、各楽器のバランス、クリック音の調整等を自分で操作出来る便利な代物です。
自分が歌いやすいバランスで、モニターしながらレコーディングが出来るとても便利な機材なのです。
このキューボックスが自分の手元に置いてあって、各チャンネルのつまみを自分で調整して、歌いやすいバランスにしてようやく歌入れが始まります。
これがそのキューボックスだ↓
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前置きが長くなった(笑)。
で「Stay blue」の歌入れ開始。
この曲はバラードで、ものすごく遅いテンポの曲。BPM68というバラードの中でも遅い方に属するテンポ。
実際に歌ってみると、テンポが遅くて息が続かない(笑)。
なので、ワンフレーズをブレス無しで歌うのがとっても大変。まずはそのことに慣れることから始めることにする。
何回か歌ってようやく息継ぎのタイミングも分かってきた。
しかし自分で作った曲なのに非常に難しい。それでも何テイクか録ってどうにか終了。
しばし休憩の後、本日二曲目の「明日になれば」の歌入れに取り掛かる。
この曲はThe Fuseのレパートリーだった曲で、浜田省吾さんのコンサートツアーでも、The Fuseのコーナーを設けていただいて歌っていた曲だ。
個人的にも思い入れの深い曲である。
ところで、この「明日になれば」を真剣に歌のは何十年ぶりだろう?
以前、Bricksのレパートリーとしても演ってはいたけど、自分でリードボーカルをとるのは浜田さんのコンサート以来?いや、違うな、多分この曲をThe Fuseでレコーディングした時以来だ。
ということは41年ぶり??年も取るわけだ(笑)。
41年ぶりに歌う「明日になれば」は、やっぱりキーが高かった。
Bricksでレコーディングした時には、オリジナルキーよりも一音下げたキーで演っていた。
でも今回はオリジナルのキーにこだわった。オジリナルキーにはうるさいぼくなのである(笑)。
よくライブでキーを下げて歌う方がいるが、もうそれだけでぼくは興醒めしてしまう。
極端に言えば、キーが変わると違う曲のように聴こえてしまう。
人のことはさておいて、オリジナルキーの「明日になれば」は、結論から言ってしまえば、今のぼくにとってはエベレストの登頂に挑むぐらいハードルが高かった。
年齢とともに高音域を歌うのはやはり辛くなってくる。ライブでキー下げしたくなる気持ちも痛いほど分かる。
それでもなんとか頑張って歌うことが出来た。
実はThe Fuseで演奏していた時は、後半のサビの箇所になると転調して更に高いキーで歌っていたのだが、流石にそれは今のぼくには無謀なことなのが分かっていたので、今回のバージョンは後半の転調は無しにした。
66歳になって歌う「明日になれば」は、結構いい感じにイケてる気がする(笑)。
完成をお楽しみに!
続く。