見出し画像

【刑事事件】児童ポルノや性犯罪関連のご相談について

1.はじめに


 私は、専門が知的財産法(特許、トレードマーク、デザイン、著作権、営業秘密など)で、仕事の大変が特許紛争です。

 私は理科系出身(工学部航空宇宙工学科)ということもあり、弁護士の中では少数派ですが、技術的な紛争(機械、電気、情報、化学、薬など)を多く扱っています。最近は宇宙法も扱っています。

 一方で、私のキャリアの中で極めて偶然だったのですが、司法試験の勉強をしているときに、刑事系の科目が異常に得意でした。しかも、修習生(弁護士等になる前に1年間ほど研修生として勉強する立場)の時に、刑事事件を多く扱う公設事務所で研修をさせて頂いた関係で、刑事事件実務が好きになり、また、できるようになりました。
 ですので、弁護士1年目から現在に至るまで、定期的に刑事事件を扱っています(事務所のHPとかには書いてませんが)。
 なお、大半の弁護士は、刑事事件は(お察しのとおり、色々とと大変ですので、)あまり扱いたがりません。儲かりませんしね(笑)。

 それで、はてなブログに刑事事件ネタを書いていたこともあり、飛び込みで(アポなし直電で)、相談が来ることが結構多いのです。

 そのような相談について、あらかじめお伝えした方がよいこともあるかと思い、本記事を書くことにしました。

2.相談内容


 一番多い事例は、児童らしき者とSNSなどで接触し、児童ポルノ(らしきもの)を貰う(ダウンロード)してしまった。逮捕されるのではないか、どうしよう?というものです。

 以下の規定等に関連します。

 児童買春・児童ポルノ禁止法の7条1項

自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。」

 児童買春・児童ポルノ禁止法の2条3項

「3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。

一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態

二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」

 次に多いのが、男女間のトラブル(「同意」があると思ったのにそうでないと言われたケースや、あとで関係が拗れ、それ以前の行為を問題とされるケース)です。
 最近、テレビでも話題のやつで、これは、永遠に尽きない事件ですね。
 不同意わいせつ罪、不同意性交等罪(改正法前の強制わいせつ罪、強制性交等罪)が問題となります。

3.よく回答するポイント


 上記のような場合に限らず、一般的に言えることは、(1)そもそも、児童買春・児童ポルノ禁止法が規定する犯罪に該当するのかです。

 なお、その他、事案により、児童福祉法違反、刑法が規定する強制わいせつ罪等(現在は、「不同意わいせつ罪」等となりました。最近「同意」の有無が話題ですね。あと、忘れてならないのは、都道府県の迷惑防止条例違反、ごく最近、性的姿態撮影等処罰法も規定されています。

 なんとなく、犯罪になりそうだということでも、性犯罪関係は色々と法律・条例が規定があり、わかりにくいところです。
 もっとも、犯罪該当性は、専門家(弁護士)に相談すれば、ある程度分かることですね。

 次に、(2)何らかの犯罪に該当するとして、①警察沙汰にまでなるのか、②検挙されるとして「逮捕」・「勾留」(身柄拘束)までされるか、③更に「起訴」(裁判)にまでなるのか、という手続きの問題です。
 捜索差押(いわゆるガサ入れ)があるかどうかという点も気になるようです。
 家族、勤務先に知られたらどうしようと不安になる方が多いです。

 警察沙汰になるかどうかは、ケース・バイ・ケースですので、具体的な事情を詳細に聴く必要があります。

 経験上、専門家(弁護士)によって回答が、変わっている場合もあるようです。というのは、私のところに相談してくる方は、心配過ぎて、複数の弁護士に相談に行ったりしているようです(絶対に逮捕されるといわれたり、まず、検挙されることはないと言われたりして、困惑するようです。)。私はセカンドオピニオンのみならず、サード、フォースオピニオンだったりします(笑)。

 この点は、発覚可能性(サイバーパトロール、被害者の申告可能性)や、事件の重大性(警察も忙しい)などを総合的に判断し、どれくらいの可能性で検挙(更に)逮捕されるかという回答をするのが限度です。

 私が相談を受けたケース(児童ポルノ関係)は、大半は、おそらくは逮捕までは至らないであろうと答える場合が多いです。安心感が欲しいと言って相談に来る方が多いです。事案によっては、安心感を与えられないケースもありますが。

 もっとも、そうでない場合(事件化される可能性が高い場合)には、場合によっては、自首も含めた対応が必要となるかもしれません。
 ただし、世の中には、不安をあおって何でも弁護士を伴って自首しなければいけないとアドバイスして、不必要に多額の報酬を得ようとしているケースもあるらしく、注意が必要です。

 男女間のトラブルについては、被害者(とされる者)の対応次第ですが、被害届を出される前の対応が特に大事です。もちろん、出された後の対応も重要となります。

4.弁護士への相談は無料ではない


 性犯罪系の相談に限らず、世の中には、一定程度、弁護士への相談を無料だと思っている方がいます。
 いきなり電話してきて長々と話し、「無料でしょ。」みたいな人が結構います。
 違います。弁護士はボランティアではなく、生活のための仕事です。
 
 法律相談は、有料です。「原則としては」(知財のような専門的な相談等は除きますが)、30分まで11000円(税込)、その後、30分が経過する毎に5500円(税込)です。

 もし、無料が無料がよければ、無料相談に行ってください。

 あと、電話で相談を受けておきながら、その後、支払わない方も当初結構多かったです(私の貴重な時間が奪われました)。ですので、ある段階で、私は考えを改めました。原則として、直接お会いします(その際、本人確認も必要なので、身分証のコピーも頂きます。当たり前ですが、守秘義務はしっかりと守ります。)。

 やむを得ず、遠方ではあるものの、相談をしたいという方は個別に対応します(ウェブや電話もありますので)。


5.最後に


 先にご説明したように、児童ポルノや性犯罪といっても、①犯罪該当性や、②検挙可能性(立証される可能性)など結構難しいです。
 最近では、児童ポルノに関し、AIなどで作成したもの(仮想児童ポルノ)についても規制されるのかという問題もあります。
 私の理解では、他国では規制している国もありますが、日本では現実の児童に限られると考えます。ただ、今後、法解釈・法改正も含め、どうなるかは分かりません。最近は、AIにより作成されたポルノ画像も増えているようですしね。

 技術系のバックグラウンドと刑事事件を扱っている関係から、先にご紹介したような事例(ネットワーク関連の性犯罪)での相談も受けますが、くれぐれも、ボランティアではありませんのでご了承ください。
 有料ではありますが、誠実にご回答致します。




 

いいなと思ったら応援しよう!