第23回 #書き出し祭り 第一会場感想
こんにちは。優雅にカフェオレを飲みながら感想を書いてます。まさかミケ猫です。優雅に???
さてさて、第23回 #書き出し祭り がついに始まりましたね。このNoteでは #第一会場 の感想を書いていきたいと思います。それと、この会場は私の作品もある場所なので、ステルスしつつ感想を残していければと思います。どんな作品があるか楽しみです!
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タイトル・あらすじ感想
第一会場
本文感想
1-01 最凶魔王の弟子になりまして
世界の半分ってそういう……!!!
あらすじを読んだ限りでは、魔王様がそれほど最凶とは思えなかったので、むしろ善人側の魔王なんじゃないかなーと思っていたのですが……とんでもないですね、これは最凶で間違いないです。笑っちゃいました。
勇者と魔王には召喚前の世界から何やら色々とあったようですね。こういう形の復讐をするということは、恋愛絡みでも一悶着あったんでしょうか。そのあたりは、続きの中で明かされていくといいなぁと思います。
構図として面白いなと思ったのが、サルマンの立場からすると魔王様は名君とも言える尊敬すべき存在で、勇者は侵略者になるじゃないですか。客観的には勇者可哀想なんですが、サルマン目線だと絶対に排除しないといけない対象になるという。でもサルマン自身は良い子なので、善悪の構造がぐっちゃぐちゃなんですよね。
さてさて、ここからどのように物語が展開していくのか、とても楽しみになりました。お祭り第一作目から面白い作品でしたね。ありがとうございます。
1-02 淫魔の子を身ごもりました
わー、これはかなりシビアな状況に置かれていますね!
ルシエーラが淫魔に縋ってしまうのも状況としては分かりますよね。全てを奪われて愛はなく、婚約者の顔で優しい言葉をかけられたら……これはもう、身を委ねてしまっても仕方のない環境だと思います。
物語をちょっと引いて眺めると、婚約者は良い奴なのかなと思っています。ルシエーラが淫魔だと思っている存在も、婚約者が何かしらの魔法や何かで彼女のもとを訪れたのかなぁと読みました。そして、冷たい態度を取っていることにも何かしらの理由があってのことだとしたら、婚約が破談にならないのにも納得できるかなぁと思ってまして。
従妹に妊娠がバレたということは、町医者とも何かしら繋がりがあるということですかね。義家族が色々と黒そうなので、そういうのをバシッとひっくり返して、最終的にはハッピーエンドになるのかなぁと期待しています。そこまでの紆余曲折が色々ありそうで楽しみな作品でした。面白かったです。
1-03 さよなら、北極星の花唄(うた)
これは胸に突き刺さるお話でしたね。
冒頭から、弥生ちゃんがショックを受けて何も手につかなくなっている描写がありますが、後々を読んでいくとそれも無理はないなという気持ちになります。笑ちゃんは本当にパワフルで、みんなを引っ張っていく中心人物だったんだなと思います。彼女だけではなく、他のメンバーもそれぞれ思うところがあったんだろうなと。
復活の奇跡がなぜ起こったのか……あたりは、本作の中でそれほど掘り下げられないかもしれませんね。復活の仕組みうんぬんではなく、それによって巻き起こる人間ドラマの方が作品の主軸だと思うので、その点は最後まで謎のままなのかなぁと想像しています。
やはり気になるのは、笑ちゃんが投身自殺をした理由でしょうか。読んでいるととても自殺しそうにはない彼女ですが、現在はその理由も忘れており、現世に未練を残している。ここが物語のキーポイントになると思っています。全ての真実が明らかになると同時に、今は復活に向けて進もうとしているポラリスがどうなってしまうのか。そういったあたり、今後の展開を読ませていただきたい作品だなと思いました。ありがとうございます。
1-04 君が望む嘘を1つだけ叶えよう
なるほど、かなり実験色の強い作品でしたね。
No.10までの様々な事情が絡み合う中で、誰かの嘘を選んで、それを叶えるという。条件が四つあるなかで、みんな何かしら達成が困難そうな事情があるような気がします。嘘は嘘のままだから本当になってはいけないし、誰にも知られてはならない。なかなか悩ましい気がしますね。
そもそも「希望が叶う」ではなく「嘘が叶う」というのがポイントなのかなと思います。嘘はあくまで嘘のまま、希望に沿って周囲の認識を歪めてくれるみたいな感じの進み方になるんでしょうかね。けっこう具体的な嘘から、漠然と世界に対する不満まで、みなさん色々とあるようですね。
今後はたぶん、短編集のような形で、主人公は様々な人のもとに現れて嘘を叶えていくって作品になるんじゃないかなぁと思います。「笑ゥせぇるすまん」みたいな雰囲気でしょうか。主人公の存在自体が何かこう妖怪じみていると思うので、そういう点も楽しみになる作品でした。
1-05 俺と猫又彼女とリフォームライフ
猫又との異類婚姻譚(になるのかな)、これは良きでしたね。
あらすじではミケの手のひらでコロコロと転がされていく感じに読めましたが、本文を読む限りだと渉はミケにとってけっこうな恩人で、今の段階でも良い関係のように思えます。凍死しかけのところを助けてくれますし、単純に騙してリフォームさせるってだけではないような気がしますかね。
また、作品を通して渉の内面の問題、具体的には「弱男」だと少し捻くれた性格になってしまっているところが、どうなっていくかですよね。この点がミケとの交流を通して成長していくと良いなと思っています。けっこう自信なさげですからねぇ。
今後はミケ以外の妖怪も色々と出てきたりするんでしょうか。あらすじにある通りにリフォームが終われば、嫁に来てくれそうな気がしていますが、他の妖怪たちなんかも絡んでわちゃわちゃしても楽しいかなぁなんて思いました。私も同じ化け猫として、ミケの今後を楽しみにしています。面白かったです。
1-06 たのしい カードゲーム
なるほど、これはまた面白い作品を持ってきましたね。
舞台背景はSFで、地球に侵略してきた銀河連合に対して世界が混乱している状況。参加の意思を示さなかったもの……乳幼児なんかはどうなってしまうのかなぁと私としては心配になってしまいますが、それはともかく。世界の人々があれこれと悩んでいる中、一人の男が出てくると。
ケイスケはかなり変な人間ですよね。おそらくは何か腹に抱えている人間な気がします。今はまだその実体までは見えていませんが、けっこう危うい精神をしていますからね。ゲイルと一緒にどんなゲームを作り上げるのか、楽しみと同時に恐ろしくなりました。
ラストの展開はまだちょっと読み切れていないんですよね。デッキを命に見立てる……これはカードゲームで敗北するとそのまま誰かの命が失われるということでしょうか。それとも、単純に「ライフとして扱うよ」くらいの意味合いで言っているのか。どうなるか読めないぞとワクワクしました。
地球人類の存亡をかけたカードゲーム作り。どんな風に話が転がっていくのか楽しみな作品でした。ありがとうございます。
1-07 きっと月の子供たち
思春期! 圧倒的に思春期ですね……!
舞台がSFで、人の社会が大きく変わっていく中にあっても、やっぱり人は人なんだと思わせてくれる作品でしたね。自己の証明。大人になることとは何か。自由とは何なのか。時代や舞台によらず、若者は若者らしい悩みを抱えるものなのだと思っています。
また、SFの世界観の描き方も良かったと思います。便利さや個人の自由がある代わりに、ある種の冷たさを感じさせる社会。主人公の思考も、こういった背景に自然と溶け込むようなキャラになっていて、リアリティを感じさせてくれましたね。
主人公は、この年頃には良くあることですが、人間関係について“閉じた”部分があるのかなと思っています。理想主義的で、少し潔癖な感じはするでしょうか。おそらくはまだ彼自身の内的課題に無自覚な状態から物語が始まっているので、何らかの形で、彼の納得できる「答え」を見つけて、前に進んでいってくれる物語だと良いなと期待しています。面白かったです。
1-08 十八禁乙女ゲーム転生 〜その性癖はいりません!〜
いやぁ、楽しいお話でしたね。笑っちゃいました。
乙女ゲーム転生モノよろしく、アンドレが気にしている黒髪黒目を気にしないことで悪役のポジションを逸脱して愛されヒロインになる……というのをさらに突き抜けて、十八禁にまで突っ走って大変なことになるという暴走アイデアがすごく好きです。
それと、驚きの展開で二度とひっくり返されたなぁと思っています。アンドレが思いのほかガンガン来るのでローザのキャラとあいまって翻弄されまくるのも愉快でしたし、原作ヒロインのステラが悪役ポジションではなくまさかのローザ狙いということで、意外なところを突いてきたなぁと思っています。
布一枚を許してしまうあたりから、けっこう主人公が隙の多い子だというのが分かりますからね。口が達者なタイプでもないので失言も多そうですし、何か隠しているのも全部読まれているような気がします。この後はもう大変けしからん展開が待っていそうな気がして楽しみになりました。ありがとうございます。
1-09 胎動
おっと、これはホラーじゃなくて推理かもしれないですね。
今のところかなり怪異チックで怪しい雰囲気ではあるんですが、本当に怪異モノだったら、警察も周囲も「怪異なわけないだろう?」的な前フリからズンと落とすと思うので、この話の流れ的には人為的な事件で、推理モノになっていくのかなぁと想像しています。色々と謎が散りばめられていますが、第一話ですので、まだ色々と繋がってこないですよね。
また、本作は書き方が色々と変わっていくのが面白いところですよね。手記だったり、インタビューテープを起こしたものだったり……この仕掛けはたぶん、叙述トリック的に回収されるものなのかなと思っています。今のところ、この手記を読んだりしている「主人公」が見えていないんですよね。面白い構造の作品だなと思っています。
探偵はコミカルで、今のところあまり頼りになりそうな描写はありません。依頼人や永入さんは怪しい気もしますし、色々と背景がありそうですが、まだ情報が明かされていませんからね。ここからどんな風に展開されていくのか、楽しみになる作品でした。アプリの文章にも仕掛けがあるのかなぁ。面白かったです。
1-10 光なる皇帝の愛した娘
これは綺麗な話でしたね……二人の姿にグッと来ました。
あらすじで示されている葛藤というのが、どうして起きるのか。そういった部分が第一話からほのめかされているのが印象的でしたね。オリウァは愛故に、アンゼリカを守るために強い皇帝になろうとする。一方のアンゼリカは「本当に? 何も変わらない?」の言葉ですよね。純粋に、村にいた頃と変わらない優しいオリウァを求めている。それが故のすれ違いがこれから起きるのだと思うと、切なくなるなと思いました。
しっとりとした文章で、美しくて読みやすく、気がついたら引き込まれている作品でした。二人の気持ちが繊細に綴られていて、感情が掻き立てられますよね。おそらく地の文が多めの作品にはなるんですが、そんなことは感じさせないほど読ませてきて、状況はシビアなんですが読後感は爽やかだったんですよね。これは、作者様の腕前だなぁと思っています。
二人のすれ違いは……おそらく、オリウァはアンゼリカを傷つけまいとしていることに起因するのかなと想像しています。花冠の仕掛けについては、きっと彼女にちゃんと説明して、本来なら一緒に警戒してもらうべきだったのでしょう。しかし彼は、共闘ではなく守ることを選んだため、アンゼリカは自分の危機に鈍感なまま変わりゆくオリウァを見ることになってしまうのかなと想像しています。愛ゆえに、すれ違ってしまう。そんな二人の切ない物語を楽しませていただきました。ありがとうございます。
1-11 AIとの踊り方
わー、これは面白いですね。妄想が捗るやつ。
AIが今よりも進化して、人権を持つに至った社会。おそらく現実世界よりもかなりAIが発達していて、ロボットの身体を動かし、しかも見た目では人間と変わらない状態(店員が二名扱いしたってことなので)になっているはずです。私が気になっているのは選挙権ですよね。AIに人権があるってことは投票者を製造できることになりますし。一方でおそらく人間の出生率はどんどん低下していくと思うので、AIの方が多数派になるのはすぐだと妄想してます。そういったことも踏まえないと、人権の話は本来なら時期尚早なんですよ。それを、AI人権屋みたいな人たちが暗躍して推し進めているのが本作の舞台だと思うので、裏側がどうなっているか楽しみですよね。
また作品の流れとして、ラストのどんでん返しにびっくりしました。豊橋だと思っていたのは遺言を伝えるAIだった。そして、仮想空間で話が進んでいたと……こういうことになるわけですね。これは、うまくひっくり返してきたなぁと思っています。予想していなかった方向に話が転がっていったので、この先どう転がっていくのかワクワクしました。とんでもない方向にどんどん転がっていってほしいものです。
あと個人的に気になっているのは、恋愛絡みでしょうか。ユカリは明確に女の子として描かれていますが、AIなので性別は本来ないはずです。また、生殖が必要ないのであれば、配偶者を見つける必要性も薄いので、恋愛に対する欲求も低いものと思っています。もちろん、それが全てではないので恋愛が皆無とは言いませんが、人間のものとはまた違った形になっていくんじゃないのかなぁと。このあたりが本作でどう語られていくかもひとつポイントかなぁと思ったりしています。すごく妄想を刺激されますよね。面白い作品をありがとうございます。
1-12 桜が舞う日
おー、これはSFサスペンスの香りがしますね。
本作はジャンルをどう括るかがけっこう難しいと思っていて、ミステリーというよりもサスペンスな気がしますし、SFというよりもローファンタジーに近いものがあるのかもしれませんが、そこは今後の展開次第で変わってくるのかなと思っています。どう転がっていっても面白そうですよね。
美琴が常に敬語なのは何か意味があるのか、それとも単にキャラ付けの一環なのか、私はちょっと気になっています。父親が敬語なのは、その後の展開で理由が分かった、つまり全部引き取った子たちだから、一定の線引きをしているような気がするんですが。そのあたりの謎も、今後明らかになっていくのかもしれませんね。
春樹君と雪乃ちゃんは今のところまだ本筋に関わってきてはいませんが、おそらくは何らかの能力者ってことになりそうなので、この後どんな風に展開していくのかが気になるところです。春樹君との青春もほんのりありそうな感じですが、どうなるだろうなぁ。ほろ苦い結末になってもおかしくない作風かなとも思うので、ちょっとドキドキするんですよね。二話からどうなっていくのか楽しみな作品でした。
1-13 落花流水 ~その運命は必然~
けっこう感情強めのヒーローが来ましたね。
これが再開して感動の涙を流すなら理解は用意なんですが、目に浮かべる感情は憎悪ですからね。色々とこんがらがってそうな気がします。ただ、水の精霊たち基準では大丈夫な人ってことにはなると思うので、最終的には問題なくなると思うんですけどね。憎悪の理由は何かな……自分が守ると言ったのに、それを信じずに命を投げ出したことへの怒り? それとも、自分の手の中で大事にするはずだったのにこぼれ落ちていった喪失感? このあたりはまだぼやかしている部分だと思うので、今後どう描かれていくのかを楽しみにしたいところですよね。
文章としてはかなり詩的に綴られていたのかなと思っていまして、言葉のリズムを大切にしているように見受けられます。それでいて読みやすくもあるので、これは上手い作者さんだなと私としては脱帽しきりですした。作品としては異世界恋愛ファンタジーのジャンルになると思うんですが、面白さのエッセンスとしては童話に近いものも入っているような気がしていまして、こういう風に書けるのはめっちゃ素敵だなぁと思ってます。
とりあえず、騎士の憎悪がポイントになってきそうではありますが。どうなんだろうなぁ、ラブラブな感じでほっこりと着地してくれるといいなぁなんて思っています。面白かったです。
1-14 マイラ・スタイラの音箱
いい話でしたねぇ、心が洗われるようでした。
大切な思い出を込めたオルゴールを作ってくれる。しかしその代償として、込めたものの記憶は失ってしまう。オルゴールを開くとその記憶を思い出すことができて……思い出はずっと、色褪せない。とても優しいお話でした。忘れたくない素敵な思い出を、私も保存してもらいたいものです。
作品としては、短編連作型になるんでしょうかね。ミモリザのエピソードがとても素敵なものだったので、今後も期待できるなと思っています。また、今のところマイラとスタイラの正体は謎のまま進行しています。おそらくは様々なエピソードを通して、そういった部分も少しずつ明らかになっていくのかなと思っています。
店内のショーケースに置いてあったオルゴールの存在については、実はちょっと気になっているんですよね。ここにあるということは、今は持ち主の手元にない思い出たちということになります。単純に受け取り待ちって話であれば良いのですが、既に受け取れない状況だという可能性もありますし。そういったビターな話も、今後展開されていくのかもしれませんね。素敵なお話をありがとうございました。
1-15 使い魔ネモは今日もあくび~千年魔女と現代ダンジョン~
ほう、これはどうなっちゃうんだろうなぁ。
面白い設定でしたよね。異世界で活躍していた魔女が、転生の儀式の結果ダンジョンのある日本へとやってきてしまった。使い魔たちの様子が可愛くてほっこりしてしまうんですが、それはそれとして、イベリスはこれダンジョンに入れるんですかね。まさか、このままタダのヒトになっておしまいなんてことはないと思うので、どうにかするのかなと思いますが。もしくは、一度魔女じゃなくなってから再起するんでしょうかね。どうなっていくのか楽しみです。
それと本作は、使い魔目線で物事が進んでいくのが良いですよね。イベリスはある意味で達観しすぎているので、彼女の目線だと読者の共感はあまり得られないのかなと思います。しかしなんか可愛いらしいネモたちが、イベリスの姿をわちゃわちゃと眺めながら展開されていくという構造になるので、読者の親しみやすい作品になってるんじゃないかなと思います。
舞台となる現代ダンジョンがどういうシステムなのかはまだ明かされていませんが、ここも楽しみなポイントですよね。現代ダンジョンものは色々とあるかと思うんですが、十六歳にならないと弾かれるってあたりから、わりとルールのしっかりあるダンジョンなのかなぁと思っています。現代にダンジョンが出現してどういう流れで本作の舞台が仕上がっているのか、あたりも色々と気になるポイントだと思いました。面白かったです。
1-16 おじいちゃんは龍神様
おじいちゃん最高でしたね。いいキャラしてます。
まさか龍神様が配信をなさるとは予想していませんでしたね。しかもしっかり案件取ってくる人気VTuber。冒頭の描写からの落差が激しくて、めちゃくちゃ笑っちゃいました。自称孫と書いてとうろくしゃと読ませたりとか、挟まる小ネタが愉快で楽しかったです。
主人公は神様方面と馴染みすぎて、現実の人間側との関係をちゃんと築けているのかちょっと心配になりますよね。そういうのもおじいちゃんはわりとお見通しなのかなとも思っていますが。どうなんだろうなぁ、でも一度都会に行ってみるのも良いかもしれませんね。都会に馴染むのは大変だと思うので、結果的にはおじいちゃんのところに帰ってくるような気もします。
それと、過去にどういう経緯で龍神様がおじいちゃんになったのかは今後明かされていくと思うんですが、どんなエピソードがあるのかけっこう楽しみなんですよね。彼女は何か特別なものを持ってたりするんでしょうか。知神や友神なんかも絡んで色々と関係ができているあたり、主人公は今後も色々なことに巻き込まれながら楽しくやっていくんだろうなと思っています。とても楽しい作品でした。
1-17 今夜、親の仇に嫁ぎます
なるほど、これは面白かったですね。
時代としては、明治あたりになるでしょうか。閉ざされた村を舞台に、ホラーの方向ではなくファンタジーに向かって展開していった作品だったと思います。閉鎖的な小村ですから、両親を殺したのが村ごとグルになっていた可能性もありますからね。なかなか怪しい舞台設定だったなと思います。また、主人公や弟くんが村を離れられれば良かったんですが、調査のために移住までしてきてしまったってことなんでしょうね。
渓華には少々オカルトめいた何かを感じる才能があるようで、当初から神様の存在を確信している様子でした。おそらく村人はそういったものを感じることができないまま、ちょっとズレた感じで神様を信仰している感じなのかなと思っています。百年に一度の生贄というのも、本当のところはどうなのか分かりませんからね。殺すための口実というのも考えられるので、何かの情報を隠したい事情があったのかもしれません。
かなり追い詰められた状況ですが、滝神様はお優しい神様みたいなので、悪いことにはならなさそうかなと思って少しホッとしました。ここから、謎を追っていくターンになる感じでしょうか。弟くんの状況もあまり良いものではないと思っています。加護を与えられたことでどうにか生き延びられると良いのですが、どうなっていくのか。面白い作品でした。
1-18 キャンディー・キャンディー
なるほど、ループしながら好きな男子を落とすために頑張ると。
冒頭では三度目のループの始まりを見せてから、一度目から二度目の途中までの話を見せてくれたと思っています。ものすごい勢いで時間経過していくわけですが……私はこれ、ゲームの世界か何かなんじゃないかなーと思ったんですよね。重要イベント以外はスキップされているような感じで。小春の語り口がそうだからなのかもしれませんが、現実世界よりもかなりフワフワしているような気がしています。風磨が何かしらループの鍵を握っているような感じはあるんですが。
それと本作は、キャラの置き方が上手いなぁと思っていて、メインとなるヒーローと、ライバルになるだろう女の子、友人、それと蓮は当て馬的な男子になるのかなぁという感じはしています。こういった配役を自然と理解しやすいよう置いてくれているので、今後の展開も色々と妄想が広がって楽しみになりますよね。
ループしているのは小春だけなのか、そして何がどうなったらループを脱出できるのか。恋愛的に風磨と結ばれればループが終わるっていう確証もないですし、そもそも小春はループを脱したがっているようにも見えませんからね。そのあたりも絡めて、まだまだ謎の多い作品だなと思っています。面白かったです。
1-19 少女、のちに魔術体系を変える。
これはワクワクしますね。とても良いです。
髪を伸ばすのが魔術師の常識。身分なんかもある中で、出る杭は打たれるというのはよくあることだと思いますが……それを、常識を打ち破ることで打開しようというアニスの決意には、胸が踊ります。かなり危険ではあると思うんですけど、権力者側のライオットが味方というのは心強いです。
狭い範囲の損得で言えばアニスの存在は目障りなんだと思いますが、帝国全体からすると優秀な人材は大事ですからね。そういう人材を拾い上げるためにこそ、平民であっても入学できるように取り計らっているんでしょうし。そこで首席を取っているのであれば、帝国のお偉いさんとしては、今回のいじめは看過できないものじゃないかなと思ってるんですよ。身分だけの無能貴族は害悪なので、たぶん帝国としてもサクッと処分したいんじゃないかなぁと想像しています。
二人の恋愛模様は先に進むんでしょうかね。あらすじからするとなかなか進まない感じですが、気持ちは互いに通じ合っていると思うので、だいぶニヤニヤできる感じですよね。もちろん身分差があるので簡単にはいかないと思いますが……もしかすると、ライオットの周辺の恋愛絡みの事情も今回の件に絡んでくるんでしょうか。色々と想像が広がって、楽しみになる第一話だったと思います。
1-20 敵は本能寺に、あり?
なるほど、そういうからくりになってくるのかぁ。
いやぁ、面白かったですね。めっちゃ頭はいいけどクセの強い明智くん。一方で、歴史大好きな女の子羽柴ちゃん。二人のもとに現れるのが、友里アンヌと本郷猛……完全にウルトラとライダーで脳内再生されてしまいましたよね。しかも猛さんはお歳を召していらっしゃる感じで。どっからどうツッコミを入れればいいんだ! とても愉快なシチュエーションだったなと思います。楽しかったです。
明智光秀がばっくれるというのはまた新しいですが、それを子孫である二人が元に戻さなきゃいけないというのも面白い設定だったなと思います。普通にしていれば歴史がズレることはないと思うので、光秀が逃げたのは誰かしらの干渉があってのことなんじゃないかと思います。そのあたりの敵対する人物なり組織なりが今後出てくるってことになるでしょうか。
幼馴染同士の二人がくっついたりするのは、どうかなぁ。この雰囲気だとあんまりそっち方向には発展しなさそうな気はしますが、ほんのりとそういう何かが始まっても面白いのかもしれませんね。どんな感じでお話が展開されていくのか楽しみになる作品でした。ありがとうございます。
1-21 落日の大地に響く時の鐘 ~紫の姫と銀の盾~
これは面白い作品でしたね。表に残っている歴史をシャルロット側から見ると、やはり違ったものが見えてくるんでしょう。
エドモンは堅物の軍人。政治的なあれこれについては疎く、実直ではあるものの少々世間知らずのような部分はあるのかもしれません。一方でシャルロットは、まだ色々と裏がありそうですよね。エリジュ帝立病院の運営をしているくだりから有能さが透けて見えているので、婚約破棄には事情があったんでしょう。彼女を逃がすためなのか、それとも別の作戦か何かの一環なのか。辺境伯の態度からも、何かあるんだろうなと思っているのですが、そういった部分が今後少しずつ明らかになっていくのも楽しみです。
作品の雰囲気から、帝国の状況がかなりシビアであることが伝わってきますよね。戦記ものに近い雰囲気ではあるかと思います。時代背景としては近代に移り変わっていく最中でしょうか、特権階級の支配が崩れつつあり、もしかすると民主化の流れなんかもあるのかもしれませんね。そんな中、帝国の末期におけるある種の悲壮感が漂っている様子が、作品全体を一つの方向にまとめ上げているのが上手いなぁと思いました。
エドモンとシャルロットのロマンス展開はあるんでしょうかね。状況によってはそうなってもおかしくないような気はしますが、今のところ何かが始まりそうな感じではないので、これから少しずつ展開されていくのかもしれません。そういった期待感なんかもほんのりと持ちつつ、楽しませていただきました。ありがとうございます。
1-22 サクラバ・センチメンタル
なるほど、これは面白い作品でしたね。
明かされていない謎が色々とありますが、主人公はどんな過去を持っているんでしょうかね。おそらくは美緒さんがらみで色々とあったんでしょうが……素直に読むと主人公=旦那、嫁さん=美緒なんですが、ミスリードの可能性もありますからね。わざわざ『嫁さん』とカッコ付きで表現しているあたり、そう単純ではない事情があるのかなと思っています。
ともするとハードになりすぎる世界観を和らげるのが、甘味のあたりの描写なのかなと思っています。《キュンとラブハピネス》の字面は強かったですよね。そのアンマッチが部分からも、色々と想像を掻き立てられて面白かったです。あらすじにあるのが彼の本性なのだとしたら、今の仕事はかなりストレスのたまる不本意な環境なんじゃないかなと思います。
動画を「おぞましい」と表現するなど、おそらくは配下たちとは違って自分を偽ってこの仕事をしているであろう主人公の、目的は何なのか。追い求めている「ブツ」とはなんなのか。最後に出てきた知らない男とは、いったいどんな関係なのか……いろいろと展開の余地のある材料が並んでいると思いますし、まだ明示されていない情報もたくさんあると思います。面白い作品でした。ありがとうございます。
1-23 幼馴染みしか勝たん!~いつしか疎遠になった僕と彼女は、異世界で絆を育む~
いやぁ、じれったいですよね。ほうほう。
冒頭の二人の亀裂は、まぁあるあるですよね。思春期になり、昔は仲の良かった男の子の何かが気に障って疎遠になってしまう。彼女の「昔はよかったな」には、本来ならキツい言葉をかけるのではなく仲良くしたいって気持ちもあるのかもしれませんね。おそらくは些細なすれ違いだとは思うんですが、それが解消する前に、殺されることになってしまうと。
紗愛がだいぶグロテスクな目に遭っているのは衝撃的でしたね。両足を失ってしまうというのは、この厳しそうな世界において致命的とも思える状況だと思います。これはちょっと私の想像にはなるんですが、彼女がちょっと幼児退行気味になっているのは、彼に見捨てられないために必死で演じてるんじゃないかとも思ったんですよね。だって、普通に考えればお荷物になってしまうわけですから。
おじさんについては、最初は良い人だったと思うんですが、回復した紗愛を見て魔が差したんでしょうかね。ただ、ひーくんの能力的にはおじさんの末路はちょっとだいぶアレかなぁと思います。少なくとも、大人しく紗愛を差し出すような真似はしないはずなので、逃げるか殺すかだと思うんですよね。で、足のことを考えるとたぶん逃げるよりも殺すって選択になると私は思うんですよね。さて、ここからどう転がっていくのか……二転三転する展開を楽しませていただいたと思います。面白かったです。
1-24 今日もなんだかんだ生きている
いいですねぇ、地球はどんなことになっちゃってるんでしょうか。
ジャプアニーセ文明の研究を世に認めてもらうため、なぜか小説を書いていたところ……物語の中の「ミノル」が現実に現れた。少なくともヒストリアやジルは人間ではない(「生きた人間初めて見た」ですからね)ので、宇宙人じみた存在なのかなぁとは想像しているのですが。それか、AIが発展していった先の人造生物かといったところでしょうか。いずれにせよ、地球はだいぶヤバいことになっていて、過去の日本がジャプアンとしてコアな研究者がいるような感じになっているのでしょう。
さて、ミノルはどういう存在なんでしょうね。ヒストリアの妄想にしては、彼の発言が日本人すぎるというか。ヒストリアを見て「バケモノ」と慌てたり、ジャプアン語ではなく「日本語」と言ったり、胴を伸ばしたら気絶したりしている。とはいえ、ヒストリアの創作の世界の人物であると思うので、何がどういうカラクリになっているのかが気になるところです。
ヒストリアとジルのロマンス展開はあるのかなぁ……ジルからはだいぶ矢印が向いていると思いますが、それはそれとして、ヒストリアはひたすらジャプアンに夢中ですからね。かといってミノルと進展するかと言われればそれもまた違うんだと思いますし。そういったあたりもちょっと気になるところですよね。尖っていて面白い作品だったと思います。ありがとうございます。
1-25 亡き王女のためなどではないクソッタレのレクイエム
なんとも悲しい物語でしたね。歴史の背景には、こういうやるせない物語があるものだと思っています。
王女は本当に素敵な王女だったんだと思います。ライセが回想しているとおり、気高く、そして民のために自らの運命を受け入れて、断頭台に立つ。どんなに恐ろしくても、皆の幸せを願って……そんな彼女だからこそ、ライセの胸の内には割り切れない感情が沸き起こり、今回の凶行に繋がったんじゃないかなぁと思っています。
ライセが暗殺者として動いていた背景はわかりませんが、かなり優秀だったんでしょうね。おそらくはまともな感情を育てる余裕もなく、仕事をしていた。きっと彼女に心をくれたのは王女だったんだろうなと思うので、そういう意味でも王女を失ったのは辛かったでしょう。そして、暗殺者の時の知識や技術を持って国を滅ぼした。ライトな語り口にはしていますが、内心はかなり濃い殺意が渦巻いていたものと思います。
そうして、ライセは新しい人生を歩み始める。王女の「自分のために生きてね」という言葉を、どう解釈するのか。これまで自分というものを殺して生きてきたライセには難しいのかもしれませんが、どうか彼女なりの平穏を見つけて生きていいってもらいたいものだと思いました。素敵な作品をありがとうございます。