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第23回 #書き出し祭り 第二会場感想

 第二会場の感想になります。タイあら時点で面白そうな作品がたくさんありましたからね、楽しんで読ませていただきたいと思います。


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第二十三回 書き出し祭り 第二会場

タイトル・あらすじ感想

第二会場

第二会場 タイあら感想

本文感想

2-01 汝は聖女なりか

 面白かったです。想像していたよりホラーテイストな人狼ゲームっていう印象を個人的には受けましたかね。
 始まりは雨の情景から。あらすじにもある通り、少子化が進んだ社会が舞台で、なんだか物悲しい空気感の中で進んでいきます。導入としてはホラーのような感覚を受けながら読んでいました。雰囲気づくりが上手いなぁと思っていまして。そこから死体と対面するところまで流れるように進んでいきます。良いですねぇ。
 そしてその空気のまま、重苦しく進行していく様子が本作の良い味ですよね。水面下では犯人が焦っているのか、それとも何かの目的を果たして満足しているのか。それと「愛を共有」というのも何やら意味深ですよね。逆ハーレム状態のような感じだとしたら、愛しているから「こそ」殺すというのもあるかと思うんですが、主人公もクラスメイトもその点を疑ってはいない。そういった謎めいた部分は、きっとこれから各々が愛を語る中で明らかになっていくのでしょう。
 あらすじでの印象の通り、人狼ゲーム的に話が進んでいくのかなぁと想像しています。それぞれが愛を語る中で何が見えてくるのか、語り手はどこまで信用できるのか、気になる作品でした。面白い構造のお話だったなと思っています。ありがとうございました。

2-02 戦国百魔絵巻ー修羅と羅刹

 これは良き和風ファンタジーでしたね。
 冒頭から、緊迫したシーンで始まります。羅刹を狩る修羅。その戦いの様子にいきなりグンと引き込まれました。最初からバトルで始めるのってなかなか難しいと思うんですが、本作はすごく引き込まれましたね。読ませる戦闘シーン作りが本当にうまくて脱帽です。すごかった。
 さて。アカネはめちゃくちゃ強いですが、ちょっと世間知らずな様子でもありますね。やはり修羅にも師匠などがいたりするんでしょうか。我流ではなかなかここまで戦えるようにはならないかと思いますので……印象としては、どこか閉鎖的な環境で修行を積んで、ようやく独り立ちして戦い始めたところ、みたいな印象です。刀も特殊なもののようなので、何かしら組織立って動いているような気はしています。
 そして、助けたテイは怪しげな様子。羅刹だとすると、修羅刀が彼女に反応しなかった理由はちょっと気になっているところですが、そういったものも含めて今後明らかになっていくのかなと思っています。そういうのを隠す能力が何かしらあるんでしょうかね。
 二人が今後どのような戦いを繰り広げて羅刹王に迫っていくのか、楽しみにしています。とても面白かったです。

2-03 魔王城直前で魔王軍に寝返りましたが、ゆるしてくださいますよね、勇者様?

 なるほどなぁ、これは復讐を成し遂げてほしいと願ってしまいますね。読者として全力で応援したくなる主人公です。
 最初のシーンは今後の暗示ですかね。勝ち誇った笑みを浮かべる勇者――これはザマァのフラグじゃないかなぁと思ってワクワクしました。クライマックスのワンシーンを切り取って冒頭に持ってくるのは良いですよね。おそらくここから大きくひっくり返して、ドーンとすっきりさせてくれるんだと思っています。たぶんそうですよね。
 さて、勇者があらすじで想像していたよりもかなり邪悪な感じでしたね。これは確かに心えぐられるなぁ。こんな会話をされてしまえば、主人公が寝返るのも当然というものでしょう。もう最初に召喚した時点から、こうなってしまう運命だったんだなぁと思います。荷物持ちに扮していた魔王もまた、色々と思うところがあったんでしょうね。まだ腹の中が読めないやつですが、傷ついた主人公をなんだかんだ甘やかしてくれるような素敵な男だといいなぁ、と願っています。
 ザマァには憎らしい敵役が欠かせないものだと思いますが、本作は勇者がしっかりとその役回りを務めてくれていて、今後に期待を持てる作品だったと思います。面白かったです。

2-04 まるまる

 やりとりと内心のギャップで楽しませていただきました。
 表面的な楽しい会話とは裏腹に、内面はちょっと闇深い感じでしたよね。冒頭にあったとおり、周囲に迎合して埋もれて「丸」になることを良しとしながらも、割り切れない鬱々とした感情を抱えている。きっと本作は、物語を通してそういった思春期の悩みのようなものを浄化していく話になっていくのかなと想像しています。二人ともおそらくそういったものを抱えているのだと思いますが、各自なりの答えを見つけられるといいですよね。
 不良のビースケが消えて、友達と二人でそれを調べに行く。状況としてはなかなかに怪しいですよね。散りばめられた情報から、可能性はいろいろとあると思います。あらすじからは怪奇譚らしいことがわかるので、事態はホラーっぽく進行していくのかなと思いますが、どんな風に展開が転がっていくのか楽しみになりました。
 さて、鏡の中の怪しい世界で冒険が始まりますが。二人のやりとりが気が抜けた感じで面白いですよね。けっこう大変な状況にはなっていると思いますが、いろんな方向に感情を揺らしながら進んでいってほしいなと思っています。面白かったです。

2-05 僕が星を落とした日

 これはなかなかハードな作品でしたね。
 クルータシュの堕ちていく感情がありありと浮かぶようで、胸が締め付けられました。英雄から普通のサラリーマンになって、夫婦関係がうまくいかなくなった。その経緯がすごく切なかったですよね。冒頭の炎上シーンでは、奥さんと娘はどうしているんでしょう。終着点がダークなので、あまり良い予感はしていないのですが。
 構成としては、最初に結末のシーンを見せた後で、そこに至るまでの経緯を提示する形かと思います。ヒーローとしてたくさんの人を救い、結婚。本来ならめでたしめでたしで終わるところを、現実はその後も続いていきますからね。家族のために安全な職についたはずが、それが原因で気持ちが離れてしまう。ある種、よくあることと言いますか……たとえば、ギタリストを目指していたのを結婚を機に諦めて、サラリーマンに落ち着いたら妻が冷めてしまったとか。どうしてそうなっちゃうんでしょうね。なかなか難しいものですが、リアリティのある流れだったなぁと感じています。
 パーカスの口車に乗せられる。この後どうなっていくかは分かりませんが、気がついたら引き返せないところまで来てしまっているかもしれませんね。どんな風に英雄が堕ちていくのか、胸に突き刺さる作品でした。

2-06 敗北令嬢の立ち居振る舞い

 ベアトリス、めっちゃカッコいいじゃないですか。
 ともすると、状況としては本当に悪役に堕ちてしまっても仕方のないような境遇だったかと思います。婚約こそしていなかたですが、それに近しい状況の中で、自分の連れてきた令嬢に立場を奪われたようなものですから……そんな中、自分の敗北というのを受け止めた上で、二人のために敵を引き付けるような動きをする。いじらしくて泣けてきますよね。誇り高くて、とても素晴らしい女の子だと思いました。
 読者もそうですし、彼女に近しい人物はみんな、彼女に幸せになってほしいと思っているかと思います。こういう子は私も大好きなので、なんとか良い縁を掴んでほしいなと思うのですが……今はまだ、アデルバートの政敵をおびき寄せる役割を自分に課している状況ですからね。状況が二転三転するなかで、ようやく掴み取れるのかもしれません。
 このあとも色々と大変な出来事が続くのかなと思います。今は後ろ指をさしているような者たちが、手のひらを返すさまをぜひとも見てみたいなと思っています。彼女自身は特にそれを望んでいないかもしれませんが、読者としては優しい彼女には報われてほしいなと思っています。素敵な作品をありがとうございます。

2-07 明日は時より謎の予報

 すごいなぁ、これはビックリしましたね。面白かったです。
 前半、叔父さんとの関係はすごく良いなと思って読んでたんですよね。決して自分を父と呼ばせない育て親。ヒューマンドラマかなぁと思って、ちょっとしんみりした気持ちで読んでいたんですよ。いいとこ突いてくるなぁと思っていまして。主任も理解があって素敵だなぁと思って。
 そうしたら、まさかのSF展開でしたね。もうすこし掘り下げて、どういうことが起きていたのか考えてみたいと思います。私の大好きなやつです。
 叔父さんは戸籍上しっかりと存在しているため、両親どちらかの弟であるのは間違いないのだと思うんですよ。顔が似ていない話もあったので、物理的に主人公本人ではない。おそらくは精神だけ時間を遡り、どこかのタイミングで叔父さんのボディに憑依した、乗っ取ったのかなと思います。順当に考えるなら、2歳の頃の事故の時あたりでしょうか。そして、老衰で死ぬってことは、身体は60歳でも、精神的には90歳。約30歳差があったと仮定します。
 ちょっと高齢出産だったんでしょうか。主人公は高卒一年目=19歳になる歳で、叔父さんは還暦=60歳。2歳の主人公を拾った時に、叔父さんが43歳、+30して精神年齢は73歳ってことになりますかね。となると、主人公はこのまま通常の時間の流れを生きて、主任と良い関係になりながら幸せになり、73歳になって昔の叔父さんに憑依して自分自身を育てることになる。そんな感じになるのかなぁと推測しています。
 今の情報からはそう推測していますが、そうと思わせておいて色々とひっくり返してくるかもしれませんからね。何がどうなってこの状態に繋がってくるのか、この先の展開がすごく読みたくなりました。面白かったです。

2-08 奈落の宿 ~煩悩まみれの怨霊娘を、セレブ霊能者が搾り取る~

 あらすじからどう始まるのかと思っていましたが、まさかオーナー側からの切り口で始まるとは思いませんでしたね。
 最初の民泊を始める流れのところは、なるほどと思いました。ひょんなことから資産を手に入れ職を失い、不労所得を手に入れる。納得感のある流れでスムーズに展開されていったと思います。この流れのとこだけでもけっこう興味深かったですからね。そしてそこから、不動産屋のファンキーな女性と知り合い、問題のアパートを手に入れると。ワクワクしますよね。
 一年でなかなかの成功を収めている主人公。悠々自適の隠居生活って感じで良いですね。しかしそこから事態は怪しい方向へ。宿泊しているのがセレブな祈祷師や呪術師という展開には驚きました。いえ、あらすじでは確かに言っていたんですが、こんな感じなのかと。そしてその目的が、一部屋に一人、怨霊が取り付いていて、霊能者が使役しようとしていると。なかなかぶっとんだ状況で笑っちゃいました。
 ここからどうなっていくんでしょうね。霊能者側と関係を築いていくのか、怨霊側と関係を築いていくのか、それとも主人公はある種の淡々としたスタンスを崩さないのか。いろんな転がし方があるので、どうなるか楽しみにしたいと思います。

2-09 逃亡勇者と腹黒王女、世界の真実に触れた二人による大大大逆転劇!!!

 コミカルで楽しい作品でしたね。
 導入としては、よくある勇者召喚から。そこから本作の捻り方が愉快で、あらすじにもありましたが、『魔物の味方』というスキルをゲットすることで人類の敵扱いをされてしまうと。レティのあからさまな色仕掛けが効果抜群になっちゃう遊馬には笑っちゃいました。めっちゃ色々言葉に出ちゃってる。それと、レティの人望がなさすぎて残念な感じがすごくいいですよね。
 あらすじからはちょっとシリアスな展開も想像していたんですが、コミカルな展開になっていって笑っちゃいました。ギルティですわーからの転がるような展開、ちゅーするぞに対する微妙な空気感、レティに対する雑な扱い、そういうもろもろが楽しい作品だったなぁと思います。
 ここからはあらすじにある通り、レティを連れての逃亡生活をすることになると。魔物側と仲良くなることで、世界の真実を知っていく――ということですが、第一話での愉快な雰囲気のまま今後も展開していくのかなと想像しています。軽い読み味でさっぱりと楽しめる、愉快な作品でしたね。面白い作品をありがとうございます。

2-10 神様と契りを交わすこと

 神様との結婚。これは大変なことになりましたね。
 幼い頃のよく分かっていない「結婚する」の言葉を神様は真に受けてしまう感じですよね。人間は嘘をつくっていうのは割と真理で、私としては嘘をつくからこそ人間なんだろうなと思っていたりもするんですが、それはそれとして、神様も神様でいろいろあったんだろうなと思います。
 由里ちゃんは二十年ぶりに帰ってきたということは、今は二十六、七くらいということでしょうか。恋人がいないのか、などは気になるところですが、どうなんでしょうね。割と人間には抗えない感じのガチの神様感があるので、どうしようもない感じはしますけどね。これで「子どものころのあれはノーカン」なんて言おうものなら大変なことになってしまうでしょうから。もはや逃げようがないような感じはします。
 佐恵子さんはどうなんでしょうね。うっかりしているだけのただの伯母さんなのか、それとも神様にそれとなく誘導されているのか……いずれにしろ、状況としてはもう詰んでいると思いますが、ここからはどうなってしまうんでしょうね。神様のところに閉じ込められるのか、それとも現世に帰ってきた上で神様がついてくるのか。色々と想像が膨らむ第一話でした。

2-11 私は鬼退治なんていたしません!

 これはワクワクする導入でしたね。
 ほぼバトルシーンの第一話ではありましたが、不本意ながら鬼と戦うことになってしまった静音の感情であったり、彼女を巻き込んだ花蓮との関係であったり、そういうキャラや状況がしっかりと伝わってくるのでこれは上手いなと思いました。私はバトルはバトルだけで書いてしまいがちなんですよね。勉強になります。
 おそらくは、静音と花蓮のまだ落ち着いていない関係性が構図としてあるので、会話の中に情報を混ぜ込むのも自然になっているんだろうなと思っています。今のところ、静音は無理やり巻き込まれたような形で鬼退治をさせられている状況で、花蓮の持っている情報は隠されていますからね。「先週」と言われた通り、まだ二人の関係も日が浅いと思うので、これから色々と知っていくことになるのでしょう。
 刀や御札といった物で戦うという設定から、この世界において鬼という存在はおそらく昔から存在していて、それを退治する人間がずっといたという背景があるんじゃないかなと想像しています。和風の現代ファンタジーという感じですよね。すごく面白い舞台だと思うので、例えばですが過去の歴史上の出来事なんかとリンクして、裏側に鬼の存在なんかがあったりすると、個人的にはワクワクするなぁと思ってます。面白かったです。

2-12 僕の『スタンド・バイ・ミー』

 これはなかなか、心にくるお話でしたね。
 琉星はすごく生きづらい状況なんじゃないかと思います。父親はナチュラルに彼を見下してきて、母親は既に出ていっていますが、描写から碌な人間ではなかったように思われます。姉は優秀ではありますが、ちょっと厳しくもありますよね。親愛の裏返しかもしれませんが、彼が今欲しているものはそれじゃないんだろうなと思わされます。まぁ、中学二年生ですからね。
 そんな走馬灯とともに、彼は死にかけてしまう。なんとも可哀想な状況なわけですが。そこを助けてくれたのが、狐のお兄さんだったと。彼は五日前に巻き戻ることになりますが、さらには死神の女の子がくっついてくることになる。鬱々とした状況から一転し、とても愉快な状況になったなと思います。もちろんシチュエーションは厳しいものですが、どん詰まりだったところからほんのり希望も見え始めていて、幸せな展開を期待してしまいます。
 最終的には、琉星が自分の人生を見つけられるようなお話になるといいなと思っています。サスペンスっぽい要素もあって色々とドキドキしますが、感情的には良いところに着地してくれると嬉しいですね。面白かったです。

2-13 娘を後宮に迎えると言われましても、我が家に女子はおりません

 ひゃあ、これはちょっとだいぶヤバい状況ですよね。
 そもそもの趙微の状況がけっこう可哀想だと思うんですが、母親ゆずりの美貌ゆえに着せ替え人形にさせられる……描写からするとそれを自分で楽しんでいる様子もないですし、女装の趣味がないなら、実はかなりの苦痛を感じる生活だと思うんですよね。その上で太子に求婚されるとか。家族の命も身分も、何もかも捨てて逃げちゃってもおかしくないと思うんですよね。お辛い境遇だなぁと思います。
 ただ趙微の性格はかなりのほほんとしているので、そう激しい選択はとらないだろうなと思います。良くも悪くも流されがちに見えるので、与えられた状況の中でどうにか上手く渡り歩こうとして、どんどんドツボにはまっていってしまいそうですよね。しかしながら、ことは太子妃ですからね。輿入れの後になって実は男でしたなんて知れたら、一族郎党の首が刎ねられてもしかたないじゃないですか。まともな解決をするなら、父親は役人にきっちり説明した上で、誰か女の子を養子に取って、その子を後宮に送ることで命令を守るというのが現実的なやり方かなとは思います。
 ドッキドキの状況ですからね……ガッツリ身分制度が強い社会で、どちらかというと命の危機的な意味でドッキドキな感じです。趙微には環境に負けず強く生きてほしいものですね。うん、頑張ってほしいものです。

2-14 神木町異常解決所

 良いですねぇ、ダークな怪異・異能もので痺れました。
 相手の細部から背景を想像する様はシャーロック・ホームズのようでしたね。舞台背景からは、やはり歌舞伎町あたりをモチーフにしてるのか、人の欲や金や悪意が渦巻いてそうなドロドロとしたものを感じます。実際に呪いの蔓延る裏の社会。シビアな世界観の中、食い物にされる人を救う主人公の姿は、ダークヒーローのような印象を受けました。
 相棒になるだろう祭屋巫美は、名前からして巫女っぽい家系だったりするんでしょうかね。二人のサバサバしたバディの様子が世界観とマッチして、とても良い二人組だなと思いました。また、巫美はアルバイトのようですが、人物調査を請け負ったりするあたりかなり有能なんでしょうか。こういった呪い関連に精通していそうでもあるので、彼女の背景なんかも色々と気になるところですよね。
 さて、物語は今回の騒動であやしい人物であるホスト『キリト』に移っていくようです。たちの悪い客寄せをしているみたいですが、一介のホストがそんな知識あるんですかね。そこから派生して、背後にもいろいろと陰謀が渦巻いていそうで、今後を想像してワクワクする第一話でした。

2-15 雑貨屋のシシィとバラバラ勇者

 これはいいですねぇ、楽しい冒険譚になりそうです。
 かつて勇者ロダンだったダンは、魔王と相打ちになってバラバラになったのを聖魔女シトラシアに救われた。彼女は魔王家を出てシシィとして雑貨屋を営み、ダンはそれを用心棒として守る――ところから始まる、再びの勇者物語。ダンは既に最強と呼べる戦闘力を持つ一方で、シシィは様々な雑貨を作ることができる。この設定がいいですよね、色々とワクワクします。
 第一話で出てくるシシィの扱う雑貨がまた面白いと思うんですよ。どれもこれもクセがありますが便利そうなものばかり。こういうギミックで今後の冒険を意外なものにしていってくれるんじゃないかなと、ワクワクしてしまいますよね。あの手この手を使って、ひたすら力押しの冒険譚だけではない味が出るんじゃないかなと思っています。
 二人の関係はどうなんでしょうね。ダンの気持ちはちょっと重めの感じでシシィに向いていそうですが、シシィはあんまりそういうのを考えている様子はなさそうですからね。そういうじれじれした部分も、今後の楽しみになっていきそうです。面白い作品をありがとうございます。

2-16 毒舌女と心霊スポットに行ったらオモっっクソ呪われた話

 なるほど……ホラーかと思ったらラブコメでしたね。面白いです。
 毒舌女と聞いて身構えてましたが、ガチの毒々しい感じというよりメスガキムーブでじゃれている感じでしょうかね。もはや脈ありを通り越して陥落済みの関係かと思いますが、さてここからホラーが始まって大変なことに……なんて思っていると、まさかのラブコメが始まると。この展開は予想外だったので、ちょっと笑っちゃいました。
 呪いというのは、言葉が反転する作用をするみたいですよね。罵倒が全て反対の言葉になってしまっていると。ただ、もともとのケイカの性格があるので、呪いの作用がとても変な感じになってしまっていました。あと、昨日まで「童貞~」っていじってたのに急に「非童貞~」ってなると、周囲で聞いている人がガタッと反応してしまうと思うんですよね。お前らまさか昨日!みたいな感じで。だから二人とも講義来るの遅かったんかいと。このあたりの周囲目線での色々も気になるところですよね。
 なんとなく、ケイカに取り憑いた悪霊? みたいな奴がカップル誕生の瞬間を目撃するために活動しているような気さえしてきてしまいますね。詳細は何も分かりませんが、生前からそういう感じの性格だったのかもしれません。お前らはよくっつけ!的な怨念を強く感じました。面白かったです。

2-17 嘘つき勇者の帰還

 おぉぉ、切ない冒険譚の冒頭でしたね。
 おそらくは誰も彼のことを信じなかったから「嘘つき勇者」だったのでしょう。そして孤独の中、誰にも知られずに世界を救った勇者様の物語が、ティストルに対して語るような形で、第二話から幕を開けるのだと思っています。この書き出しは、プロローグでありエピローグのようなものなんだろうなと思います。静かな空気感が、切ないですよね。
 魔力の設定は独特だったなと思います。精霊のようなものですかね。聖域で生まれて、旅をして、帰ってくる。そして勇者もまた、おそらく聖域を出発して旅をして、今まさに帰ってきたところという感じでしょうか。聖剣ティストルは、勇者を選ぶ役割を持っているんですかね。ですが、その旅路は決して楽しいものでないことも知っていて、懊悩しているのかなと。
 さて、ここからどんな冒険譚を聞けるんでしょうね。少年の旅路は苦難に満ちていて、きっと栄光とは縁のない活躍だったんだろうと思います。それでも、悲しい中にもある種の清々しさというか、小さな救いのようなものもある優しい話になると嬉しいなと思っています。

2-18 学園政争

 これはバチバチの頭脳戦が繰り広げられそうですね。
 理想のために選挙で勝ちたい女の子と、頭脳でそれを支える主人公。これは良い構図だと思うんですよね。すごくワクワクします。もちろんまだ彼女の動機は明確になっていませんし、主人公の過去もぼんやりとしか見えていませんが、この構図を明確に打ち出したのは強いですよね。ここをベースに仲間が増えていったり、強敵が明らかになったりしながら物語が展開されていくのだと思います。
 選挙というある意味身近なものを題材にしながら、学校の生徒会選挙をシビアな票取りゲームとして、しかも裏金や組織票なんかも絡めて題材に持ってきたのは面白い作品の作り方ですよね。もちろんバランス感覚よく渡りきらないと炎上しそうなテーマにはなるので、Webの連載なんかだと特に上手くやる必要がある作品になると思います。個人的には感想欄の様子を想像すると震えるんですが……しかし上手くやるとかなり面白い作品になると思いますので、連載したら追いかけるだろうなぁと思ってます。
 どんな頭脳戦を繰り広げるのか。あくまで裏金を使わない範囲で、盤外戦がメインになるのだと思っていますが。投票率が低いなどの問題点も示されていると思うので、どういう手段でひっくり返す構想なのかすごく楽しみにしています。

2-19 復讐者、不完全燃焼

 コメディになるかなと思いましたが、しっかりとシリアスでしたね。
 途中まで焼酎って読んじゃってた話はともかくとして。切ないですよねぇ……復讐のために全てを犠牲にして生きてきて。でもそれは、英雄のような見知らぬ誰かに先に討伐されていた。それは、酔いたくもなるし、もう良いかなって気持ちにもなるなと思います。
 ニーナにも何か事情があるんでしょうね。善性のキャラだと思うので、口先でエドを転がして何かを企んでいるって雰囲気ではなさそうに思っています。八つ当たりと分かっていてなお、何かを証明したがっている。もしかすると二人は似た者同士なのかなとも想像しているんですが。
 それと個人的には、二人のやりとりがコントのように軽快で面白かったです。こういう楽しい会話をサラッと書いてくれると、個人的にめっちゃ好きになっちゃいますよね。こう、重い背景を抱えながらこうして楽しい会話を繰り広げるのは、けっこう私の癖にぶっ刺さるので。今後もこういう感じでやりとりしながら、心の淀みが晴れるような八つ当たり劇を見せていただきたいなと思っています。
 最後に、非常に続きが読みたい、というのは宣言しておきますね。めちゃくちゃ読みたいです。ぜひとも連載していただいて、続きを読ませてください。これは強く要望しておきます。ぜひぜひ、よろしくお願いします。

2-20 京都帝國大學工學部 超越化學講座

 なるほど、SFでありつつもホラーでもある感じですね。面白いです。
 時代背景については、出てくる物品だけでなく価値観までもがしっかりと当時のもので、読んでいてちょっと感動しました。桂子は現代人に近い価値観で大学に通いますが、女性の身ではなかなか難しかったようですしね。そう、制度上許可をしても周囲から白い目で見られたり、嫁の貰い手がなくなると圧力がかかったりして、なかなか難しい時代だったと聞いていますし。そんな中で、省太郎さんの好意で特別待遇として通わせてもらっているのは本当に幸運だなぁと思います。父親の意見も現代人の感覚で良し悪しを語れるものではありませんよね。
 そして、現れる怪異。桂子は「見える側」の人間ということで、吉峰に助けられる形で非日常に足を踏み入れることになります。超越化學ということですが、SFをベースとしつつもオカルトめいた部分が見え隠れしている感じがしますよね。怪異を見ることができる=未知の技術を観測できるというギミックが、今後どのように利いてくるのかが楽しみなところです。ざっくり、例えばこの件の黒幕が他の時代にも干渉していたら、過去の記録に残る
妖怪などの類も同種の存在なのかという考察なんかができたりすると思うんですよね。みたいな舞台の広げ方もいろいろと妄想しちゃって楽しくなってきます。
 桂子のこれからは波乱万丈みたいですが、吉峰ともいい感じになるんでしょうかね。そういったあたりも楽しみになる第一話でした。面白かったです。

2-21 聖剣抜いたら偽王女(男の娘)になったので、国難を"うんとこどっこいしょ"します

 愉快なお話でしたね。ルビがいい仕事してました。
 主人公の語り口がゆるゆるで、状況のわりに悲壮感がゼロのまま楽しく読んでいました。よくよく考えるとけっこうなピンチなんですけどね。処刑ものの所業をやらかして、あれよあれよと巻き込まれ、王女のニセモノに仕立て上げられるわけですから……これたぶん、ニセモノに仕立てる部分までも含めて陰謀だと思うんですよね。お婆さんからの怪しい儀式によって聖剣を抜けるようになったというより、お婆さんの怪しい儀式によって血筋を確認された後に送り込まれたって方が正しいような気がしてるんですよ。王女との出会いも仕組まれていたんじゃないかなぁ、という予想です。
 とはいえ、合間合間に挟まれる主人公のセリフでふふっとして気を抜いてしまうんですけどね。発言がコミカルで読み味を軽くしているので、気楽に読み進められました。こんな調子で色々とやらかして、たぶん伝説になるんだろうなと思うんですが。
 将来的に、王女の子どもが剣を抜けないと一大事なので、事情をしっている&聖剣を抜ける主人公が夫に収まるんじゃないかなぁというゆるい予想はありますが。さてさて、どうなるでしょうね。大変な事態になっていますが、明るく楽しい話だったなと思います。面白かったです。

2-22 モグリどもは迷宮にもぐる

 いやぁ、想像していた以上に愉快な作品でしたね。面白かったです。
 これが現代だったら「資格取りなよ」で終わってしまう話なんですが、アルトの状況を考えるとそうも言っていられない感じですからね。貧しい農村でろくな情報もなく、おそらく逃げるように出てきたアルトとスイは、今日生きていくのにも困っている状態。十分なセーフティネットのない社会で、上流階級が作ったルールを守って生きていくだけでは、生きていけない子たちなんだなと思っています。
 すごくいいなと思ったのは、彼らはその状況に怨嗟を吐き散らすのではなくて、今自分にできることでどうにか生きていこうと前向きにあがいていることだと思うんですよね。法を守っては生きていけない、だから法を破ってでも自分の行きたいように生きていく。ある種の裏社会モノみたいな感じではありますが、ポジティブなエネルギーを感じるので、状況とは裏腹に読者が元気をもらえるような作品になってるんだなと思っています。
 色々と大変なことが待ち受けていそうな二人ですが、この書き出しのように愉快なやりとりを今後も続けながら、無謀な挑戦を楽しく続けていってもらいたいと思います。ありがとうございます。

2-23 猫に転生した麗しき貧乏令嬢は王太子の求愛に溺れる

 これはワクワクする作品でしたね。
 シャルロットの状況はかなり辛いなぁと思っています。そもそも悪いのは母親だったので、父親もいろいろと大変な思いをしたと思いますが、だからってシャルロットを売り飛ばして許されるわけではありませんからね。大変な状況の中、一か八かの逃走を企てて、馬車の下敷きになって死ぬ。可哀想な人生だったと思います。商品としては売れなかったわけですが、父親はどうなったんでしょうね。痛い目を見てもらえれば良いなと思いますが。
 そこから、猫に転生する。猫のミネットがどうなったのかは分かりませんが、シャルロットと混ざりあった感じなのかもしれませんね。これまでの人生を思えば、猫としてでも、大切にされる場所に生まれ変われたのは本当に良かったなと思います。
 最後のシーンは猫獣人に初変身したのだと思いますが。フィリップはどうもモフモフスキーのようなので、これは愛される要素しかないですよね。シャルロットにはぜひぜひ幸せになってもらって。あらすじのとおりだと事件もあるようですが、最終的には良いところに落ち着いてくれるといいなと思います。面白かったです。

2-24 ****しないと出られないダンジョンに閉じ込められたが、脱出条件がわからない

 なるほどなぁ。私は純粋無垢なので、****が何なのかとんと推測できませんが、これは大変な状況ですね。
 もしかするとダンジョンマスターのような存在が、なんかいい感じの四人パーティがいると観察していたけどいっこうに良い雰囲気にならないので、やらしい雰囲気にしてやるぜ!と一計を案じたのかもしれませんね。もしくは純然たる趣味だったか。このダンジョンには何度も潜っているという設定なので、今さら罠にかかったというのはちょっと考えづらいですし、既知の現象でもないみたいなんでね。
 リーダー以外の三人が女の子なのも大変けしからん状況だと思います。いや、****の内容が全く想像できないので、けしからんかどうかはボクワカラナイなのですが、どうやって答えにたどり着くんだろうって考えるとちょっと色々と楽しみですよね。この罠を作ったやつは悪どい趣味をしていると思います。いいぞ、もっとやれ。
 けっこう仲の良さげな四人で、色々と背景も持っていそうですからね。それぞれの心に秘めた何らかの感情なんかが、この機会にうまいこと浄化されるお話だといいなと思います。面白かったです。

2-25 イケメンに口説かれていますが遠慮しておきます、ぼくは佳純が好きなんだ

 やっべぇ。最後はちょっと鳥肌立っちゃいました。勇者ェ……。
 全体的に面白い作品でしたね。前半はラブコメ風味で、低身長の男子と高身長女子の甘酸っぱいあれこれを期待させてくれる展開だったと思います。そして後半、徐々に明らかになっていく情報。イケメンが勇者で、佳純が魔王で、章が聖女の上に記憶ナシ。まぁ、それはいいです。こんがらがった構図ですが、神が愉快犯だったためにこんなことになっちゃったんだろうなと思って、楽しんで読んでいたんですが。
 勇者がちょっと気持ち悪すぎてですね……いえ、BLうんぬんじゃないんですよ。聖女が記憶を持っていないと理解していて、これまで何の関係性も築いてこなかったのにも関わらず、最初にする行動がソレっていうのがキツすぎて。男女だったとしてもちょっと受け付けないです。しかも前段で、佳純の劇中でのキスにさえ抵抗感を示していた章に対していきなりですから。これはちょっと……遠慮するどころか、殺意を覚えるレベルでした。
 それはそれとして、いよいよ事態は混沌としてきましたよね。前世での魔王・勇者・聖女の関係がどうだったのか。今後章に記憶は戻るのか。女神の意図は。そして、今回の人生で章は無事に佳純と結ばれるのか……個人的にキモキモ勇者はNoで……面白い構図を打ち出してきた作品だったと思います。ありがとうございました。

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