【百人一首鑑賞】あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む 人麿呂
■あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
(詠んで味わう)あしびきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ
■現代語訳 (百人一首現代訳一覧 より引用)
夜になると、雄と雌が離れて寝るという山鳥、
その山鳥の長く垂れ下がった尾のように、
こんなにも長い長い夜を、私もまた、
ひとり寂しく寝るのだろうか。
恋のフローと百人一首
百人一首3番目の歌なので、覚えている人も多いのではないでしょうか(笑)
百人一首を詠んでいると、とにかく恋の歌が多く、
そしてとにかく(笑)夜を歌うものが多い!
・出会って
・一夜を過ごして
・後朝の心情を歌いあって
・会えない夜、一人は寂しい そして歌にする
このフローでだいたいみんな歌を歌っている(笑)
ご多分にもれずこの歌も、「あなたに会えない夜が寂しい」と吐露しています。
反復、の押しです。
きちんと読めば、きちんと「五七五」ですね。
「やまどりのおの しだりおの」
学生の頃、私はなぜかこの和歌を「語呂が悪い歌だなぁ、」とおもっていたのですが、それはきちんと諳んじてなかったため、字面で判断したのだと思います。
(やまどりのをの しだりをの)の繰り返しも効果的です。
私はやはり、反復が大好きです。
歌人は職人、中途半端じゃないクラフトマンシップ
ところで、この歌、女性が歌ったような気がしませんか?
実は、作者は柿本人麿呂。うーん、どこかで聞いた名前だ!
国語の教科書に出ていたはず。
>東(ひむがし)の 野にかげろひの 立つ見えて かへり見すれば 月かたぶきぬ
「東の野に明け方の光が見えて、後ろをみたら月が沈もうとしていたよ」
と「それが何か?」といいたくなるところですが、
こんなにも詩的に表現できるものか、と驚きます。
まさに、歌人は職人。
言葉を操り、自分の内なる思いを「言葉」としてアウトプットしていく情熱をビシビシと人麻呂の歌に感じとることができるのです。
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