『おもてなしのDNA』
去年の夏、『そろそろ来年ぐらいにやりたいね』と地元の友人イヌイ君と話をした。
俺等の『やりたい』事はLIVEイベント。
何年も前からやりたい気持ちはあったが、具体的な話をする事なくコロナ禍に突入。『落ち着いたら』なんて言ってたらいつまでも計画立てれない。そう思い2人で動き出した。
数々のイベントに携わってきたが、こういう形での企画は初めて。
普段自分は大阪の整骨院に勤務。イヌイ君も普段は伊勢で会社員をしている。2人とも音楽や制作を生業にしている訳ではない。
だから今までの経験と繋がりを頼りに必死に動いた。構想から半年、行動が形になり最高の発表ができた。
ISE STANDARD × NEW YOURS presents
【THA BLUE HERB×竹原ピストル】
会場は伊勢市にある『都天眞堂』
高校の先輩が働きながら営むLIVEハウス。
フライヤーのデザインもカメラマンも出店してくれるFOODも全部地元の人にお願いした。
気持ちやコンセプトは至ってシンプル。
不慣れなメールのやり取りもイヌイ君の力を借りてなんとか当日まで辿り着いた。
THA BLUE HERBチームは前ノリだったので大阪での仕事を早めに切り上げて伊勢に移動。
伊勢に着いた時には既にイヌイ君がご飯をアテンドした後だった。BOSSさんとPAさんに挨拶。そしてDJのDYEさん、NEW YOURSのメンバーで地元の居酒屋『一月屋』へ。
イベントのコンセプトに
【伊勢を好きになってもらう】
が含まれている。
LIVEじゃなくても『また伊勢来たいな〜』って思ってもらえるようになってほしい。
だからLIVEの前後1日どちらかをオフにしてもらい全力でアテンドする。
そう考えていたが、今回は2組共スケジュール的に余裕がなくオフ日は作れずだった。竹原ピストルさんに関しては翌日東北でLIVEにも関わらず今回の企画をOKしてくれた。その気持ちだけでも嬉しかった。
当日は楽屋作りからスタート。
普段何気になく遊びに行ってるLIVEハウス。ケータリング一つにしても奥が深い。『どうすればより快適か?』『どうすればもっと喜んでくれるか?』
古より伊勢神宮で栄えた街。全国から集まってくる人達を【おもてなし】するDNAは俺等に深く刻まれている。
準備してる最中に竹原ピストルさんが会場到着。
何年も前にプレゼントした大阪籠球会×京都大作戦のバスパンを履いてくれていた。夏になるとよくバスパン履いてくれているのをTwitterで見かける。その姿を見るのが毎夏の楽しみでもある。
準備中に写真立てをステージ正面にcrewのなっちゃんが設置していた。ちょうど1年前に亡くなってしまったDJのダイノ君。音楽とバスケが大好きでよく遊んでもらった。
今回は特別に特等席からLIVEを見てもらった。
出演者以外にもカメラマンへの考慮も。
こうやって色々考えて会場作っていくのが楽しかった。
楽屋の中には【FREE赤福】
楽屋前のスペースには【FREE マッサージ】
イベントが決まった瞬間、おもてなしのDNAが騒いだ。
『また伊勢でやりたい』と思ってくれる1つの要素になってくれたら最高に嬉しい。
LIVE前になると緊張感が控え室から伝わってきた。
普段ピリピリした空気感は苦手だけど、LIVEに限ってはワクワクしてくる。
LIVEはTHA BLUE HERBからスタート。
青春時代ハイスタにどっぷりだった俺はそんなにHIPHOPに詳しくない。でも初めてTHA BLUE HERBを見た時に衝撃を受けた。興味がなかった人を一瞬で惹きつける力。
大阪だとSHINGO西成さんも同じような衝撃を受けた記憶がある。
LIVE中『この言葉を記憶しておこう』と思っても次々と放たれる心に響くリリックにLIVEが終わったら放心状態。
『赤福や伊勢うどんがあるから来てるんじゃない、ここにしかいない人達に会いに来てるんだ』という言葉が本当に嬉しかった。
LIVEはTHA BLUE HERBから竹原ピストルへ。
前もってお互いを凄くリスペクトし合ってると耳にしていた。BOSSさん、DYEさん2人とも竹原ピストルさんのLIVEをフロアでしっかり観ているのを見てそれが確信に変わった。
ピストルさんも流石のLIVE。会場の空気感が一気に変わる。THA BLUE HERBとはジャンルは違えど惹きつける力は同じものを感じる。
これは書こうか迷ったがこれからの自分達の為にも記録しておく。お酒に酔ったお客さんがLIVE中にピストルさんや他のお客さんに迷惑をかけてしまった。
対応はしたが決して『お客さん含め最高のLIVEだった』とは言い切れない雰囲気になってしまった。
LIVE後にスタッフで『どうするのがベストだったか?』の話し合いをした。ベストな答えは分からないままやったけど起こってしまった事なので誠意を持って次に向かって行動するしかない。
ピストルさんは翌日東北の為に参加できなかったけど、LIVE後は美鈴の餃子で打ち上げ。
今回初対面だった小池君もおきえちゃんも一緒にイベント乗り越えた事でいいグルーブが生まれてた。
THA BLUE HERBチームは翌日名古屋でLIVEの為に昼には移動。でもギリギリまで伊勢を楽しんでほしい。
朝、ホテルまで迎えに行き『ちとせ』で伊勢うどんを食べた。
最後は名古屋に旅立つお2人を駅の改札でお見送り。
見えなくなるまでずっと手を振ってくれた。
俺等も見えなくなるまでずっと手を振った。
会場になった都天眞堂には駐車場がない。
でも車じゃないと来れないような辺鄙な場所にある。
今回も近くの会社の敷地をお借りした。
お見送りの後イヌイ君となっちゃんの2人が駐車場近辺のゴミ拾いをしに行ってくれた。
また次も開催できるようにと願いを込めたゴミ拾い。
その日の夜、スタッフのグループLINEにイヌイ君から『バラッドを俺等に』の歌詞が送られてきた。
昼間の駅でのお見送りとリンクした。
元気でね また来ますほんの昨日再会した改札1人1人に挨拶
チビを抱っこ泣かれてママの懐に僕ててパスして旅立つよ
何度振り返っても手を振ってくれる
あなた達に会えてまた遊べるように頑張らなきゃなもう振り返らない
別れる事で完成するのさ 昔に送り出されて鼻が高い
今日も勝てる予感しかないこれ以上ないそれ以外ない
BOSSさんの言葉を借ります
続きも【伊勢】で。