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自給自足カレッジ28

過去2回は、南太平洋の島における持続可能な文明の維持に失敗した例としてのイースター島と、成功した例としてのティコピア島について書きましたが、今日は、欧州での失敗例としてのアイスランドについて書いてみようと思います。
添付の写真はアイスランドの砂漠化と地割れの様子が写し出されていますが、これは厳しい自然の影響で形成されたというよりも、人為的に砂漠化してしまったと言った方が良いようです。
人間が島に定住した事で大規模な土壌喪失が引き起こされる事例は、イースター島のような南太平洋に限ったことではなく、世界中あちこちで見られる現象です。
紀元874年のバイキングによるアイスランドへの入植は、国土を消滅させるまで続く壊滅的な土壌侵食を誘発しました。入植が始まった頃は、アイスランドは広大な森林被覆を持っていました。12世紀に「アイスランド人の書」を編纂するにあたり、賢者アリ•ソルギルスソンはこの島を「山から海岸まで森に覆われた」島と表現しています。人間が定住してから、アイスランドの植被の半分以上が刈り払われ、数千マイルを覆っていた天然のカバの森は、今では元の面積の3%未満を占めるに過ぎなくなっています。また、人間が連れてきたヒツジの群れが景観をかき乱すようになり、18世紀初めには、25万頭を超えるヒツジが農村の周りを取り囲み、19世紀にその数は倍以上になっていたようです。その頃には、訪問者はアイスランドを、木が生えない裸の土地と描写するようになっていました。気候の悪化と広い範囲での過剰な放牧が重なって激しい侵食を引き起こし、そして農場は放棄されました。
この数百年の間に何が起こったかというと、アイスランドの山の斜面で森林が伐採されると、中央部の氷冠から吹く強風が、かつての森林地帯のおよそ半分から土壌をはぎ取りました。ヒツジの大群が土壌を崩して、その結果、風と雨によって、氷河期の終わり以来埋もれていた基岩まで侵食が進みました。数千年かけて形成された土壌は、数百年で消滅しました。アイルランドの土壌は1000年に15センチ、100年で1.5センチ堆積したと考えられていますが、1万年以上かけて形成された土壌は、数百年で失われてしまい、土壌が完全に失われた島の中央部は、今では何も生えず誰も住まない不毛の砂漠と化しています。
アメリカでも西部開拓時代に象徴されるように、森林の伐採が進み大規模農業によって土地を剥き出しにし、かつて肥沃だった土壌は、侵食されています。
カリフォルニアなどは、夏になると乾燥し、山火事が絶えなくなっており、砂漠化に向かって突き進んでいるように見えます。
日本は先人の知恵と努力のおかげで森が維持され、水も豊富にあります。傾斜地は棚田にして土壌が失われないようにしています。
アイスランドの例をみると、これからの世界で本当に価値あるものは何なのかという事を、改めて考える必要があるのではないでしょうか。
東京に高い土地を借金をして買って、その借金を返すためにあくせくと働く。
5000もあると言われる限界集落には、工作放棄地も多く、古民家もただ同然で売られています。
サステナブルな生活基盤はどちらにあるのか❓

自給自足カレッジでは、1/4クォーターファーマーという新しい自給自足のスタイルを広めようと啓蒙活動を行っています。1日2時間、陽光の中で農作業に汗を流して、残りの6時間はSEなり、芸術家なり、好きなことをしてゆったりと自然豊かな里山と共に暮らす。
そこには、次世代に引き継げるサステナブルな住環境があります。

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自給自足カレッジ
小柴正浩

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