治療用アプリの有効性における統計学的評価
はじめに
スマートフォンをはじめとした高性能なウェアラブルデバイスの普及に伴い、そのようなデバイスの医療への応用が数多く検討されています。
特に治療を目的としたアプリは注目されている領域の一つです。本邦においてもすでに承認がなされて、医療現場で利用されている治療用アプリもあります。治療用アプリ、DTxは本記事内では区別せず利用しています。
現在、医学の研究では有効性や安全性の評価で統計学の考え方を用いることがあります。そのような方法論を扱う学問としてBiostatisticsがあり、日本語では生物統計学、医学統計学などと呼ばれています。
疾患の治療を目指すアプリの研究を行うときも、生物統計学の考え方に則り研究を行う必要があります。
一方で生物統計学の専門家はそれほど多くなく、これまで医学分野でビジネスを行っていなかった企業の場合は特に社内に専門家がいないケースも珍しくありません。
また生物統計家に相談するときも相談者側にある程度の知識があるほうが、よりより議論が行えると思います。
本記事では、生物統計学に詳しくない方を対象に治療を目的としたアプリの開発で理解しておくことが望ましい基本的な生物統計学について紹介します。
研究では有効性や安全性など多面的に評価がなされますが、本記事では有効性の評価に注目しています。また治療用アプリに特有の内容から一般的な内容まで含まれています。
生物統計学のなかでも特に研究計画を主に扱います。生物統計学には統計学という単語が含まれており、数式やデータ解析が中心と思われるかもしれません。しかしデータの取得方法や効果測定の方法などデータ解析前から関わります。
本記事内では具体的な解析については触れませんので数式もありません。
自己紹介
私は東京大学で生物統計学を学び修士課程まで修了しました。修了後は、都内の大学病院にて生物統計家として勤務しております。
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