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2話-私のヒーローと本の虫

そして次の日から、私の柔術への好奇心が爆発。情報収集を始めた。

当時は今のようにネットで全て検索できる時代でもなかった。

雑誌がメインで、『ゴング格闘技』、『格闘技通信』などを読み漁った。

その中で、『ブラジリアン柔術入門』と言う雑誌を見つけた。

これが私の中で革命が起こるぐらい面白く、この時グレイシー柔術とブラジリアン柔術が同じと言う事を初めて知った。

その雑誌は、ブラジリアン柔術の歴史が分かるように作られていて、初期UFCのホイスグレイシーの活躍からヒクソングレイシーまで詳細に語られていた。

子供が恐竜図鑑の恐竜の名前を全て記憶するように、私も柔術の情報を次から次へ貪るように本を探しては読んだ。

そして、当時レンタルビデオ屋でPRIDEやUFCなどを何度も借りて見たが、一番初めのUFCのトーナメントは忍術やボクシングなどが出てきて本当に漫画の世界のようだった。

その中でも、グレイシー柔術一派のホイスグレイシーが下手くそなタックルで組み付いて倒し、バックチョークで勝っていく姿は本当に幻想的だった。

少しの間、私のヒーローはノゲイラとホイスで、彼らのビデオを何度も観ては嫌がる兄を捕まえて技をかけさせてもらっていた。

当時、柔術道場は少なく、私の住む神戸市には数カ所しかなく、中学時代は柔術の憧れを持ったまま何も出来ずに暮らしていた。しかし、今考えるとその情報収集する生活も中々楽しかった。

自転車で色んな場所の本屋を巡り、TSUTAYAを巡り、目的のモノを見つけた時は嬉しく、雑誌やビデオに噛り付いてどんなものなのかと妄想する日々は、今のモノの数分で検索出来てしまう今とこだわりが違う。

手間がかかればかかる程大切に思えた。

そして、高校に入ると電車で1時間ぐらいかかる高校に入り、その区間の間に「柔専館」と言う柔術道場を見つけ、私はすぐにそこに通う事を決めた。

これが私の柔術を始めるまでの経緯である。

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