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12話-暴挙。茶帯で初試合
私はその後も大会に出続けていたのだが、紫帯ではだんだん物足りなさを感じてきてきた。
そして、私は関西ではなく名古屋で試合をしようと考えた。
その大会のエントリーを見ていると、当時茶帯最強だった現黒帯の細川さんがいた。
私はこの人にどうしても挑戦して見たくなった。
そして私は、禁断の勝手に茶帯で登録して試合に出るという暴挙に出た。
ちなみに出た大会はDUMAUと言うエジソン籠原さんが主催している大会で、当時人気があった理由がなんの証明も登録もなしに試合ができたからだ。
そして私は、宮本さんに登録した後に事後報告をすると、
「細川くんに勝てたら茶帯でええで」
とやけにあっさりした答えをもらった。
そして名古屋に初めて試合をしに行った。
印象はブラジル人がやけに多く、関西とは少し違う国際感があった。
アナウンスもアジア選手権のように英語とポルトガル語だった。
私は初日は無差別級、二日目階級別を戦った。
初日は結構緊張していたが、二回デカいブラジル人に勝って、準決勝で花澤大介さんと言うプロの総合格闘家の方と試合した。
この方は同じ関西にある総合格闘技の名門コブラ会の選手で、擦り上げ腕立て1000回やったり、寝技が強いことで有名で、私もこの名古屋にくる前に、TVでマキシモ・ブランコに肩固めで勝利しているのを観ていた。
まさかここに、花澤さんがいるとはと目を疑った。
そして準決勝。
ハーフに入った私は、
花澤さんのとてつもなく思いベースに苦戦しながら、
なんとかブリッジでスイープしたら
そのまま袖車に入れられてタップ。
私は得意な勝負、矛と盾で負けた。
こんな人もいるのかと思った。
後に私の得意技が袖車になるのは、この時の経験があったからだ。
その日はホテルに帰って、その日の反省をした。
そこで私は思った。
「そもそも相手に憧れを持った時点で格上を認めてしまったら、自分が萎縮してうまく戦えないのではないだろうか?」
今日上手くいかなかったのは、単純に俺がビビったからだ。
私はそう思い、明日は細川さんとやるだろうけど、絶対に勝つと思い直した。
そして次の日。
私はライト級でエントリーし、ブカブカの青い柔道着と新品の茶帯でマットに上がった。
二回勝ち上がり相手は細川さん。
握手した時こんな爽やかな選手もいるんだなーと感心してしまった。
ファーストコンタクトは細川さんが下を取り私が上になった。
そこからどんどん細川さんは仕掛けてきたが私は上から応戦。
なんとか切り抜けながらアドバンテージを1つ取った。
細川さんもしたからの十字でアドバンテージを追加。
それから私もどんどん動く。
そしてお互いポイントはないまま試合が終わった。
スコアを見るとアドバンテージ2-1で私が勝った。
私は挨拶し試合コートから出るとなぜかボロボロ泣き始めてしまった。
完全に無意識だったので自分でも驚いたがそのまま数分ぐらい泣いた。初めての嬉し泣きだった。
細川さんと戦っている最中本当に強くて何度も諦めかけた。
でも何度も同じ人間だと言い聞かせ戦った。
その強い人間に勝てたことが嬉しかったからかもしれない。
そして私はコートの端でぼーっとしていると、すごい筋肉量のまだ5月で肌寒いのにTシャツ一枚で走ってくる男性が一人。
明らかに怒っている顔とデカすぎる背中で漫画の範馬勇次郎を彷彿とさせた。
それが杉江アマゾン大輔さん。日本最強の柔術家だった。
そして私を通り過ぎ、細川さんにいきなり怒号を浴びせていた。
その日からアマゾンさんは恐い人だと言うイメージが定着した。
私はその後、決勝も2分ぐらいで勝ち優勝。
初めての勝手に出た茶帯で、優勝することができた。