初の全日本選手権が始まった。
国内の黒帯でトップと思われる選手が揃っていた。
私は黒帯フェザー級で出場した。
最初の相手は中塚さん。
アンクルロックを得意とする選手で、やるのは初めてだった。
終わったら中塚さんが話しかけて来た。
そして僕が優勝したら、柔術家がやっているつけ麺屋さん千兵衛を奢ってくれると言う話になった。
準決勝で塚田さんと当たった。
3度目の対決になった。
試合前から「真っ向勝負しようよ」と塚田さんが言ってきた。
私は良いっすよ。やりましょうと返した。
しかしこの人はいつも嫌味がないから個人的に好きな人間だった。
準決勝が始まった。
「またやろうよ!」と塚田さんは言っていた。
私は苦笑い。
兎にも角にも決勝に上がった。
全日本にいきなり出てきて地味な勝ち方を繰り返し決勝まで来たが私は勝つ事に全てを集中していた。
勝ち方なんて二の次で勝てればなんでも良いと思っていた。