全日本の後にすぐアジア選手権が待ち構えていた。
アジア選手権には世界からの強豪が来ることもあって、世界選手権への登竜門のような存在の大会であった。
私はアジア選手権に向けて気合を入れるため坊主にした。
坊主にすれば気合が入ると思ったわけではない。
ただ単純に、全日本王者に初めてなって浮かれている自分がいることに気がついた。
心のどこかで、カッコつけようとしている自分を、客観的に感じてダメだなと思った。
私は次の日、チームメイトの岡崎に髪をバリカンで刈り取ってもらった。
そしてアジア選手権に向かった。
一回戦は順当に勝ち、二回戦で大塚さんと再戦だった。
そして準決勝。
2−0で今回も勝てた。
塚田さんとの戦いは毎回接戦だった。
そして決勝。
イザッキ・パイヴァ。二度目の対戦だった。
一度目は三角締めで負けている相手だった。
今回アジア選手権での優勝候補。ワールドクラスは紛れもなくイザッキだった。
イザッキは世界3位の実績を持つ選手で、フェザー級にもかかわらず身長が185cmもある長身の選手。私とは体格が大きく違い。
長い手足を利用した三角締めやクローズドガードが得意な選手だった。
向かい合うとさらにでかい。
世界レベルはまだまだ遠いなと感じる一戦だった。
その大会はチームメイトの橋本も強さんも、みんな2位だった。
変なぐらい銀メダルばかり取った大会で、
「俺たちまだまだだな」
と再確認した。