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「書言行一致」 社長として、社員にどう語りかけるか 

ひたすら書き続けてきた日々

前回投稿から、随分と時間が空きました。私がブログなどで日常的に文章を書き始めてから10年以上になります。

MBA受験をしていた2012年8月から、UCLAを卒業するまでのブログ。

WHITE CROSSを起業してから、2022年1月までのコーポレートブログ。

そして書く場をNoteに移して、今に至ります。10年以上書き続けてきた蓄積は、当初想像していなかったほどの価値を生み始めています。

実は、私は対外的な情報発信以上に、WHITE CROSSの社内向けの情報発信に力を割いてきました。本日は、社長として、社員にどう語りかけるかについて、「書く」を絡めて記していきたいと思います。

「書言行一致」 社内向けに情報発信する理由と型

社員数が15名を超えてくると、社員一人ひとりを心から大切に思いながらも、一人ひとりへの深い理解に基づいたマネジメントが難しくなってきます。そして、私の言葉も届きづらくなってきます。そうなってくると、「組織という透明の水に落とした一滴のインク」としての自分の役割を、否応なく考えるようになります。

「言行一致」が大切とは言ったところで、「言」が届きづらくなる中で、熱意を持って仕事に打ち込む背中、つまり「行」を見せていても、社員の心の中では繋がらなくなっていきます。社員一人ひとりとの距離が遠くなる中で、濃度高く私の思考を伝えていくための仕組みが必要になってきます。そして、私にとって、その仕組み作りの鍵が「書く」でした。

結晶化された文章は、誤解を生まずに、浸透していきます。また、「分からない」と言われる私個人の思考を、「読めば分かる」にすることで、私の思考が届く範囲を飛躍的にスケールさせることができます。

思考を結晶化させて「書き」、それを「言葉」にして語りかけ、「行い」と一致させていく。「書言行一致」は、今の私のマネジメントスタイルの根幹をなしています。

情報発信の型としては、WHITE CROSSの役職者の指定図書である「ビジョナリーカンパニー ZERO」を採択しています。

ZEROの第9章「卓越した戦術の遂行」において、優秀な社員に文化を植え付けることの大切さが記載されています。

「文化を植えつける」とはビジョン、とりわけコアバリューを教育し、定着させることだ。会社の門をくぐったと同時に、組織の原則を完全に理解するなど考えてはいけない。教育は必要であり、しかも早い段階で実施することが肝要だ。

ビジョナリーカンパニーZERO 第9章「卓越した戦術の遂行」

その具体的な施策として、
1. 新入社員に「スターターキット」を渡し、必ず読むように念を押す
2. とにかく「書く」
3. 社史をまとめ、全ての社員に入社時に渡す
4. すべての新入社員と会社の理念について語り合う
5. 「バディ制度」を取り入れる
6. 新入社員に技能だけでなく、会社のバリューを教えるセミナーを開く
があげられています。

人の集団が組織となり、成果を上げていくためには組織の原則、つまり「何かが正しいのか」の価値観が共有されていることが必要不可欠です。人の心や行動に、価値観を練り込みづつけるためのベースとして、価値観を結晶化された文章は有効です。

具体的に何を書いているか

管理部や各部・室がそれぞれにまとめたものまで紹介していくとキリがないため、今回は私が執筆したものとその運用システムについて紹介していきます。

これらはWHITE CROSSの競争力の源泉となっており、広く公開されているものと一般向けに販売しているもの以外は、門外不出としています。

コアバリューと行動規範

コアバリューは、WHITE CROSSにおける憲法のようなもの。行動規範は、WHITE CROSSにおける法律のようなものです。

WHITE CROSS Note と 社内研修

WHITE CROSSでは、私が執筆した研修図書「WHITE CROSS Note」を活かした通年の社内研修が行われており、全社員がその対象となっています。成果をあげられる職業人になるための基本的な心構えや考え方、コアバリューや行動規範をベースにWHITE CROSSにおいて「何かが正しいのか」が記載さています。

WHITE CROSS Note

ファシリテートする側・参加する側、共に研修直後に飛んでくるフォームでフィードバックし合い、点数をつけ合います。私も例外ではありません。

蓄積されていく相互フィードバック

執筆した私より、他のファシリテーターの評価の方が高いこともあり、内省する良いきっかけになっています。

オンボーディング研修

全ての新入社員を対象に、私が行う1時間の研修です。
WHITE CROSS Noteの「序章 ホワイトクロスとは」を用いた研修は、すべての新入社員と会社の理念について語り合う機会になっています。

WHITE CROSS Note  序章のコンテンツ

【入社時研修】歯科界概論

新入社員は全員、私より1時間の歯科界概論の講義を受けてもらいます。世界経済のマクロの目線から始め、日本の歯科医療というミクロの目線にまで落とし込み、「なぜWHITE CROSSが歯科医療を通じた事業を行っているのか。その先に、どのような社会への貢献をしようとしているのか」などを伝えています。

WHITE CROSSの仕事が、どのように社会の発展につながっているかを知ってもらうことはとても大切です。

社会と事業を繋いでいく

CEO動静

私は元々、週末に数時間かけて自分の思考をノートにまとめています。起業以来、書き続けてきたこのノートも、今では69冊。今週末には、70冊目に入ります。

その中で、今年に入ってから、全社員向けに「CEO動静」を毎週月曜日の朝に、Notion上で公開していっています。

一回の文量はこれくらいです。

CEO動静の1回分

私の思考をまとめたノートの画像をそのまま共有し、文章で肉付けをしています。無論、毎週繰り返す Span of Controlのメンバーへの評価や、人事評価関連の記載については、PhotoShopでぼかしています。 

社員が50人を超えてきた頃から、「経営陣が何を考えているのかが、分かりません。」という声が聞こえてくるようになりました。私から、社員一人ひとりを遠く感じ始めているように、社員から見て私が遠く感じるようになるのは当たり前のことです。

そうであるならば、その時々に私が何を考え、何に悩み、今何をしているのかをしっかり伝えていこうということになり、CEO動静の記載を始めました。これは、かなり良い取り組みでした。

朝会

毎週月曜日の朝に、全社員を対象に、私から15分程度の訓示が行われます。CEO動静をベースに、伝えるべきことに熱を込めて伝えます。そして、その場でしょっちゅう社員に謝ってます。

私自身は原理原則に基づいて判断したつもりでも、社員から見ると「社長の気まぐれと思いつき」に見える意思決定もあります。そして、それに振り回されてしまう社員もいます。

その背景や論理について経営者として伝えながら、同時に人の心に謝ることはとても大切だと私は考えています。

読んだ本の本質をノートにまとめて画像で共有

「会社は社長の器以上には大きくならない。」と言います。そして私に与えられた才能は、凡庸です。学生時代から、他の人の3倍やって初めて普通になれる要領の悪い人間です。

凡人である私がWHITE CROSSのパーパスである、

歯科医療の社会的価値を高める。大樹となり、社員とその家族の幸福を追求する。

を成し、社会・株主・社員への責任を果たすためには、兎にも角にも学び続けなければなりません。

そのため私は、通常週に1冊のペースで本を読んで、インプットを続けています。その中で、これは構造化した方が良いと思える本については、ノート見開きいっぱいにまとめています。

Harvard Business Review「パーパス」(左)/「人を選ぶ力」(右)のまとめ

まとめたノートは、画像にして出典とともに、全社員に共有しています。「ビジョナリーカンパニー ZERO」のような特殊な1冊を抜きにすれば、大半の書籍の本質は、ノート見開き1ページにまとめられます。そして、そこまででもない、軽い読み物的な本も数多くあります。

「あっ、ノートにまとめたい!」と思える新しい知を提供してくれる良書に出会えると、心が躍り嬉しくなります。

WHITE CROSSの本棚

また、読み終わった本は社内の本棚においていくため、私のまとめを見た後に、原著を読みたいと思った社員が自由にレンタルできるようになっています。

学びは実践してこそ価値を生みます。私のまとめをベースに、社内にて新しいルールが作られていくこともあります。

「ビジョナリーカンパニー ZERO」をベースに、WHITE CROSSにおける「重要ポスト」の定義

学びがWHITE CROSSに当てはめられ、具体的に文章化され判断基準として活きていくことは、規律のある企業文化の源泉となっています。

社史

私と副社長の田代が東北大学歯学部で出会ったところまで遡り、会社の歴史を記しています。苦しかったことも、嬉しかったことも、私の起業家としての失敗も全て記載している超生々しい社史として、社員が自由に読める場所に公開しています。

社史

なぜ今のビジネスを行なっているか、なぜ今の企業文化が生まれてきたかなどが流れとして分かるものになっています。

毎年、1年前の社史が更新されていきます。オンタイムで記さないのは、その時々の出来事の影響を、正確に把握できないからです。

社史は、社員にホワイトクロスへの理解を深めてもらうための大切な財産となっています。

書くは、価値観に留まらない

WHITE CROSSは、歯科医療というニッチ産業で仕事をしています。そして、参画してくれるメンバーの半分以上が、歯科医療の初心者になります。

仕事力がある方々に、如何に素早く産業理解を深め、キャッチアップしてもらうかは、企業としての成否に大きく影響を与えます。そこにおいては、価値観と同等に、情報の文章化と学びの仕組み化が鍵になってきます。

WHITE CROSSのスタッフ教育

WHITE CROSSの社員の歯科医療についての知識・理解を短時間で一定水準に高めるためのコンテンツで、こちらはWHITE CROSSのユーザーの歯科医院において、実際に院内研修ツールとして使用されています。

WHITE CROSSのお客様である歯科医院で、何が行われているのか。外から見るとブラックボックスである歯科医療について、ゼロから理解できるように知識・技術が体系的にまとめられています。

WHITE CROSS マニュアル#01 「歯科医療機関について」

歯科医療機関やそこで働いている人々について、体系的に理解をしてもらうために作成されたオリジナルの教本です。

歯科医療機関について 目次

歯科産業地形図

歯科医療機関を支えている歯科医療産業の構造やパワーバランスなどについてまとめられたオリジナルの資料です。歯科業界のシンクタンクとして機能しているWHITE CROSSならではの資料の一つです。

歯科産業地形図

歯科医院開業バイブル 第3章 機材・備品

2020年3月に販売された書籍であり、「第3章 機材・備品」は私が執筆しています。

歯科医療産業が何を歯科医院に提供しているか、歯科医療機関ではどのような機材・備品が使用されているのかが体系的にまとめられています。

フルスケールで私の最新の思考を理解したいという社員のために、Notion上に、私の講演動画をおいており定期的に取り直しを行っています。

また、文章として読みたいという社員向けに、私の著書である「日本歯科医療への提言」も貸し出しています。

総じて思うこと

振り返るとこの10年、ひたすらに書いてきたなと思います。しかしながら、微力を尽くして尚、社内は問題山積で、私の思いがずれて伝わることも多々あります。

それで良いのだと思っています。こうして発信し続けるからこそ、規律ある人材による規律ある思考が生まれ、規律ある行動に繋がり、その蓄積の先にこそ永続する組織が生まれてくると信じています。

「書言行一致」は、これからも私のマネジメントスタイルの根源であり続けます。

WHITE CROSSにご興味をお持ちの方へ

WHITE CROSSは、京セラ、トヨタ、リクルート、ファーストリテイリングのような永続性のある偉大な企業を目指しています。そして現在、ビジョンの実現に向け、歯科業界のデジタル・プラットフォーム構築実現に向け、共に走れる人材を求めています。

未来視点に立って大樹を育てていこうとするWHITE CROSSのあり方に共感してくださる方からのご応募を、心よりお待ちしております。カジュアル面談も大歓迎です。気になられた方は、ぜひ採用ページを覗いてみてください。

WHITE CROSS 公式Noteはこちら

WHITE CROSS 執行役員・管理部 部長 永畑のnoteはこちら




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