情報処理技術者試験 令和4年 秋期試験での出来事
twitterに書きましたが、仮にも国家試験でこの運営はないでしょ、と思ったので詳細と私の気持ちについて書きます。国家試験を受験した時に被害にあった、試験官による妨害行為についての記事なので、ネガティブな内容ですのでご了承ください。
私の体験した出来事
藤沢商工会館ミナパークでの出来事。
システム監査技術者試験で午前I免除だったので、午前IIからの受験。
教室に入ると、自分が一番受験番号が若い。これは今まで受験した中でも初めての経験。特に、申し込みが早かったわけでもないのに・・・笑
さて、時間は10:50になった。いつもどりに試験が始まった。受験者の多くはこのとき、解答用紙に受験番号と生年月日を記入・マークしている時間帯だと思う。私もいつもの通りに、受験番号と生年月日をマークし始めた。
するとどうだろう。試験官が受験票②を回収しにきた。私が受験番号と生年月日を解答用紙に記述する際、もちろん受験票を見ながら記入している。試験官はお構いなく、受験票を手に取り、座席票の上で切り取ろうとした。
私は突然、受験票を見ることができなくなり、解答用紙に受験番号・生年月日のマークを中断することになった。これは明らかな受験者に対する妨害行為である。
(試験官が受験票に触れた直後)
私:「受験番号を記入しているんですけど。」
試験官:「受験票②を回収したいんですけど」
驚いたことに、試験官は妨害行為をしている自覚はなく、あくまでマニュアル通りに業務をしていると言わんばかりの態度だったのでびっくりした。
私:「やめてください!!」
なぜ、ここまで言わないといけないのかという思いと共に、頭に血がのぼる。ここまで時間にして10数秒。
その後、後ろの席に試験官は受験票②を回収しに行き、回収が終わった後に再度私に「受験票②を回収してよろしいでしょうか」とお伺いを立ててきた。この時は記入・マークが完了したので了承し、受験票②は回収された。
幸いなことに午前II試験は比較的時間的余裕があるのでことなきを得たが、試験時間を目一杯使っても足りないかもしれない午後試験でこのようなことが起こると考えるとゾッとする。本当に午後試験で試験官に妨害行為をされたら、真っ先に会場を飛び出して、試験会場本部に駆け込み猛抗議をしていたであろう。
この出来事の問題点・論点
この一連の出来事をわざわざnoteに書いたところで、読者の方の中には高々10秒程度の話と思うであろう。私も第三者的な目線で読んだらそう思うかもしれない。
今回の出来事(妨害行為)に対する問題点・論点は複数ある。今回取り上げたい論点について列挙してから、それぞれについて述べようと思う。
試験における公平性を損なう
試験官は受験者の状態を確認する義務はあるか
受験者が試験に臨む準備と試験官の業務に臨むメンタルの違い
試験における公平性を損なう
今回の妨害行為に対して、最もわかりやすい点はこの点だと思う。試験というものは受験者全員に対して同じ時間を与えて、作成された解答をもとに評価される。あらかじめ合格点が決められている資格試験のようなものであっても、採点してから結果が決まるような入試でも、TOEICみたいに合格点ではなくそれぞれの受験者のスコアを評価する場合でも、試験時間が同じであることは試験に関わらず共通である。この試験時間は受験者に対して公平に与えられており、何かアクシデント、例えばトイレに行くといったことがあっても試験時間の延長は認められない。
ただし、今回の妨害行為については、試験運営上の都合により、受験者から時間を奪う行為である。たかが数秒と思ってしまう人がいるかもしれないがその数秒があれば1問解くことができ、解答用紙への記入もできる。それにより試験の結果が変わってしまうことがある。そんな重要な時間を奪う権利・職権は試験官にはない。
冒頭で頭に血がのぼったと書いたが、妨害行為で集中力を削がれることになり、その後の試験に影響が出たというところも問題ではあるが、客観的な公平性という意味では、試験中の血圧や脳の血流から公平性を測ることはできないので、今回の論点は時間に関する公平性のみとする。
参考までに、自分は大学受験模試やTOEICの試験監督について、ちょっと前の情報だが知っている。今もほとんど変わっていないであろう。万が一、大学受験模試で試験官が時間管理をミスした場合、または、受験生から何か申し出があった場合、内容を判断したのち、必要な分だけ追加で試験時間を確保する対応をしている。これは電車の遅延などにも対応する。模擬試験は合否を決めるものではなく、個人の能力を図るものという目的が大きいので、この辺りの対応は臨機応変に、受験生が極力不利益を被らないように対応している。資格試験では電車の遅延による試験繰り下げ等は行わないので、試験時間に対する厳密性は異なる。
TOEICにおける試験運営の不備は、時間管理以外にもリスニングにおける音声聞き取りに関しても対応されることがある。ただし、TOEICにおける試験後の対応は、追加で試験時間をとったり、同じ問題を再度リスニング試験するといった対応はできないので、試験本部に対して申し出ると、返金されることがある。試験運営に問題があり、被害を被れば大抵の場合、受験料は返還される。この場合も、試験結果である有効なスコアが後日送付される。
試験官は受験者の状態を確認する義務はあるか
当たり前だが、試験官は受験者を監督する義務がある。つまり、受験者の状態を確認する義務がある。これは最近、大学受験で問題になっているカンニングに対してもそうだし、具合が悪くなってしまった受験者への対応等も含まれる。それこそ、突然愚頭に血がのぼってしまい、倒れる受験者もいないわけではない。
このようなとき、受験者が合図した場合に試験官が無視するとどうなるか。仮に気づかなかったという理由で病状の悪化や、問題が大きくなってしまった場合には試験官の責任になる。実際には、試験官を監督している試験会場の責任者が責任を負うことになるかもしれないが、同じことである。
つまり、試験官はただマニュアルに書いてあることだけをすれば良いのではなく、受験者を監督する責任があるということは言うまでもない。これを考えると、受験者の状態を確認するのが業務であれば、試験開始直後に受験番号・生年月日を記入している受験者から受験票を回収する行為は妨害というだけの問題ではなく、業務怠慢とも考えられる。
受験者が試験に臨む準備と試験官の業務に臨むメンタルの違い
今回の妨害行為に対する社会的・客観的な問題は既に書いた2つの問題があると考えている。ただし、受験者にとっての試験妨害行為はそれだけでは終わらない。そこで、立場の違い・メンタルの違いから受験者と試験官、それぞれが試験に対して臨む気持ちの部分について考えてみたいと思う。
まず、受験者について。こちらは言うまでもなく、その試験を受験するために試験対策の準備を念入りに行っているであろう。もしくは会社から無理やり資格取得を強制され、受験しているかもしれない。情報処理技術者試験は、このような受験準備をしっかりしてきた人と、とりあえず形だけ受験しにきた人の両方が混在していると考えられる。後者の場合はどこまで真剣に受験するかわからないが、少なくとも前者の試験準備をしている人は、真剣に試験に臨むであろう。社会人が資格試験を受験する場合、会社からの合格祝金や昇給が得られる可能性があるので、ファイナンスの面でも重要な試験である。
一方、試験官の方はどうだろう。大体の仕事は単発で、年科を通じて複数の試験の試験官業務を行う人もいるだろう。私も試験官の仕事をしたことがあるのでよくわかるが、拘束時間が長いわりにやることは多くない。受験者を監督するのが一番の仕事なのだから。試験準備や問題配布、答案回収は業務のほんの一部である。そのような業務であるため、時給が低くても拘束時間が長いために日給はそれなりにもらえる。誤解を恐れずに言うと、あまり大変な業務ではない割にしっかり稼げるため、人気の仕事と言える。さらに、試験運営に何かミスがあったとしても、責任を取らされてクビになったり減給されることはない。よっぽどのことがあって、次回以降の勤務お断りというのはあるかもしれないが。
このような立場の違いを考えると、試験一つでその後の運命が変わってしまう受験者と、軽作業でそれなりに日給が貰える試験官では試験に臨む態度は全然違う。意識の差がこれだけ違う試験官に認識してほしいというのんは厳しいのかもしれないが、少なからず、試験官のちょっとしたミスで受験者の運命を変えてしまうかもしれないという自覚は持つべきだと考える。
最後に
この出来事に対して、情報処理技術者試験の受験者に対して伝えたいことは、「妨害行為が行われたとしても、冷静に受験をすること」である。試験運営上、絶対にあってはならないが、受験者を妨害してマニュアル通りに業務する試験官は必ずいる。受験者数や試験教室の数から試験官の数・採用方法を考えるだけでも、毎回の試験回ごとに影響を受けている受験者は必ずいるものと予想できる。ルーチンが崩されるとその後に影響するのは仕方ないとして、影響を極小化することが大切である。もちろん、試験会場で「やめてください!!」と大声出すのは、試験官を制止させるためには仕方ないので、それぐらいに影響をとどめたいものだ。
また、本件に対しては試験主催者である情報処理推進機構に問い合わせを行った。問い合わせフォームは文字数制限が400文字で、全てを伝えきれていない。また、回答は翌営業日以降とのことなで、現時点では回答はない。回答いただいた内容
はまた状況を共有しようと思う。
そもそもこのnoteを始めたきっかけは(といってもほとんど更新してないけど)、情報処理技術者試験に合格するために有益な情報を発信するためである。このような被害があったことを報告する記事、受験妨害の被害者を出さないための発信をするためのアカウントではない。今回の妨害行為に対しては、本当に迷惑すぎて困っている。関東圏の試験運営会社はランスタッドのようなので、ランスタッドにも抗議の上、適切な対応を求めたいと思う。個人的には、妨害行為による試験不成立で返金されてもおかしくないレベルの問題だと考える。仮に試験運営マニュアルをランスタッドで作成していて、このようなことが度々起こっているような事態であれば、国家試験としての問題の程度・影響はあまりに大きいので、IPAには適切な会社を選定いただきたいと思う。
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