春 作文のコツ
強風に桜の花びらが舞う。入学式では見知らぬ人に囲まれて、心は騒めき、不安に支配されていた。
あれから1ヶ月ほど経過したというのに、友人は皆無。休憩時間も昼食も孤独。家を出てから帰宅するまで、ほぼ会話がない。中間試験が間近に迫っているというのに、不安から勉強が手に付かずに過ごしていた。
そんな私を救ってくれたのが山本さんだった。どうしても解けない問題とにらめっこしている私を見かねたのだろうか。「一緒に先生に聞きに行こうよ」と声をかけてくれた。
それがきっかけで、山本さんと仲良くなり、3年間ずっと一緒に過ごした。今では無二の親友だ。新しい出会いを運んでくれる。そんな春が私は大好きだ。
上記の文章は、私が塾講師をしている時の担当生徒が書いたものです。
よい作文なので今でも保管しています。
季節外れはご容赦ください。
また、当時、この作文について本人にいろいろと聞きました。
インタビュー時に相当な工夫を凝らしていることがわかりました。
その時のメモを残しているので公開します。
メモの内容
技術:
・強風が入学式当日の騒々しさを隠喩
・桜の花びらが舞う様子は、周囲の雰囲気に心が乱れる様子の隠喩
・体言止めは一度だけ使う(多用するとしつこい)
・季語=桜、入学式
構成と展開:
・構成は起承転結
・第一段落の起は自分の不安な心情を隠喩交じりで記述
・第二段落の承でマイナスの心情を表現
・第三段落の転でプラスに変わる契機を表現
・マイナス→転機→プラスという作文の典型的展開を採用
・第四段落の結でプラス転換後と命題に対する結論を記載
・結論を最後に持ってくることで余韻を演出
題材:
・大人が読むことを想定し、鉄板テーマの友情を選択
・友情エピソードは複数用意し、命題によって切り替える
・ほかに家族、クラブ、絆が鉄板
・全部で4カテゴリに各3つほどエピソードを用意
最後に
私が教えていたのは超進学塾の生徒です。
偏差値70ぐらいある中学生を指導していました。
本当に頭のいい子は、作文一つとっても、こういう具合に取り組んでいるのだという、良い例だと思います。
いただいたサポートは、おじさんの活動費としてとんでもなく有用に使われる予定です。