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「天城山からの手紙」31話

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5月のGWも過ぎる頃に、万次郎万三郎付近では石楠花(しゃくなげ)が咲き誇る。このシーズンだけは、登山者が押しよせ道も大変混雑する。登山道に列をなして歩く様子は、普段ほとんど人のいない天城ではとても新鮮た。今回の写真は、知る人は知る1本で、天城の石楠花の中でも特にすばらしい存在となる。しかも、5-7年周期でしか花芽が多く着かず、春先に芽を確認しては、その年の予想を立てるのだ。この年は、5年ぶりくらいだろうか?沢山の花が咲くだろうと確認できていたので、チャンスをうかがっていた。すると、丁度満開の頃に、霧の中を踊る石楠花に会える日がやって来たのだ。天気の予想も丁度良く、おそらく霧も入るだろうと朝の2時に小雨の中、同士と歩き始めた。ところが、雨の勢いは増すばかりで、撮影ができる条件を超えている。現地付近へ着くと、更に雨と霧が深くなり、暗闇をライトで照らしても、全く前が見えない程になってしまったのだ。通いなれた道なのに、動くと危険だなと頭をよぎる。しかし丁度、同行者がGPSを持参していたおかげで大体の方角も掴め、現地に到着する事が出来た。そして、そこに待ち受けていたのは、蒼い世界に霧が立ち込めブナ達が舞う幻想の世界だったのだ。もうこれを一度でも見たら、たまらない!後は天城の魅力に引き込まれるだけだ。気が付けば、雨も小降りに、そして何よりも目的の石楠花も霧に包まれていた。しかも、私達だけで、その空間を支配し、そこにあったのは、永遠の語らいが出来る、自分だけの時間が存在していた。満開から2年しかたっていないが、今年も最高の花を咲かせそうだ。

掲載写真 題名:「夢中に舞う」
撮影地:手引頭
カメラ:Canon EOS5D MARK4 EF24-105mm f/4LⅡ IS USM
撮影データ:焦点距離50mm F11 SS 1.3sec ISO800 WB太陽光 モードAV
日付:2017年5月26日AM4:52



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