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【音楽分析】テクテク/スピッツ

今日オレは素晴らしい曲に出会った。スピッツのテクテクという曲だ。

語りたい事は山のようにあるが、まずこの曲は春の歌と両A面の曲である。これが春の歌と両A面なのはあまりに豪華すぎてセコいとすら思う...、それくらい良曲だった。

テクテクという曲


曲の内容としては、スターゲイザーのようなエモさと多彩なシンセ、そしてアコギを組み合わせたサウンドが特徴的。

ちょっとだけ構成もスターゲイザーと似てるかも。キャッチーなサビがドンとあって、それに繋がるAメロがめちゃくちゃ癒されるっていう。

もう一つ、特筆すべきところとして、少しドラムサウンドが民族的。多分普通のドラムセットでなく、パーカッション的なサウンド。

アコーディオンの音も相まってか、どこか異国的な雰囲気を醸し出す。調べたところ、Drの崎山さんはアフリカの民族楽器である"ジャンベ"を使っているそう。

ジャンベ。



こういう曲って何気にスピッツじゃかなり珍しい気がする。同じくアコーディオン使ってる稲穂とも違った異国感。あっちはカントリーといった感じか。

テクテクというPV

そしてこの曲、何がいいってPVである。



アニメーションっぽいPVなんだけど、これがとにかく泣けるんだわ...。内容は次の通り。

PVの内容


とある木から落ちた果実から生物(以下フルーツくん)が現れふと訪れた少女と出会う。

それから仲良くなって毎日いっぱい遊んでいた。恋人同士というより、幼馴染といった感じなんだろう。かくれんぼしたり一緒に散歩したり。

そんなある日、少女が帽子をプレゼントして、悲しそうにしてその場を去っていった。そう、遠くの街に引っ越していったのだ。

しかしそのことにどうやらフルーツくんは気づいていなかったようだ。

その後もフルーツくんは少女をずっと待ち続けた。暑い夏も、木枯らし吹く秋も、寒い寒い冬も、ずっとずっと待ち続けた。なかなか来ない少女を不審に思いながら。

そんな中迎えた春のある日、フルーツくんはふと悟った。

"あの子はどこか遠いところへ行ってしまったんだ"

あの時の少女のように涙を流した。

"何故今更になって気づいてしまったんだろ..." 

フルーツくんはそう思っていたのかもしれない。

それからのフルーツくんはずっと少女を探し続けた。彼女に会いたい、そんな想いを頼りに、ひたすら探し続けた。雨の中を風の中を山の中を。

オオカミに吠えられながらも、怯えることなく前へ前へ進んでいく。

"誰かをを好きになる"、そんな思いだけがフルーツくんを揺り動かした。

そんな中ようやく見つけた少女。そこで見たのは新しいボーイフレンド。かなり仲睦まじそうにしていた。

それを見たテクテクくんは、その家の近くでもう一度、少女が好きな果実の木へと変身した。

fin.

PVの感想と考察

といった感じだ。一番最後、切ないよね。昔別れた幼馴染を探し求め、再会すれば新たな恋人ができて愕然とした。

PVの内容自体ベタでよくある展開なんだけど、これをスピッツがやってのけると一味違うなぁって思う。

何気ないと思える歌詞でもマサムネの歌声だと一際輝く。もちろん、歌詞が素晴らしいという事は言うまでもないが。

個人的に気になったのはやはりラストシーン。ボーイフレンドを見つけてしまった生き物はどういう気持ちだったんだろう?

ボーイフレンドを見た時に何か考えるフルーツくん。


このシーンを見た瞬間、涙を流すことも悔しがる素振りを見せる事も無く、すぐに木になる事を決意した(?)のだけれど、果たしてここに妬みの感情はあったのだろうか。少女を見つけ、

"そんな...辛すぎる..."

っていう負の感情よりも、

"元気そうで何より。そして新しいボーイフレンドに出会って嬉しそうで何より。そんな2人に、自分ができる事は..."

と考えた結果、木になったんだろうかとオレは思う。そう考えたら、あの旅も決して無駄じゃないんだろうなって思う。

いつまでも少女の幸せを近くで見守っているフルーツくん。


せっかく少女を見つけれたのに、向こうで自分以外の男とイチャイチャしてる...っていう現実を見せつけられてしまったと解釈も出来るんだろうけど、そういう風に持って来させないストーリーや見せ方が本当にうまいアニメーションだなって思った。

こんな風に見る映像一つでさまざまな解釈が出来るんだなって改めて学んだ。そんなアニメーションPVだと思う。本当に心癒された😊

ヒビロック