会話

　自分の話を人に聞いて欲しいから他人の話はつまらないけど、話を聞いていた。私が30分話を聞いたらあなたも30分話を聞いて下さいという自分の中の法則のようなものを持って生きて来た。

　ときどき、自分の話は全くせずに、相手の話をずっと聞いている人が居て理解できなかった。人は自分の話をしたい生き物だと思っていたから。
いつからか、私は人の話をずっと聞いていられる人になりたいと思っていた。

　ただ、どうしたって、私の話を聞いて欲しい。「他人のつまらない話だけ聞いているなんて退屈だ」とどうしても思ってしまう。

　そんな時、ふと思った。聞くに耐えない他人の話は他人にとっては自分の話のことなのだと。自分が他人の話を聞くに耐えないのと同様に他人も自分の話を聞くのは我慢ならないのではないかと。

　私の話を聞いてくれ、聞いて欲しい。それで自分は気持ちよくなるかもしれないが、相手はどうなるだろうか？私がこれまでの人生で感じて来た、退屈という辛い気持ちを他人に与えてしまうのではないだろうか？

　そう思うと、他人に辛い気持ちを与えてまで私の話を聞いて欲しいとは思わなくなった。すると以前のように消極的に人の話を聞かされるている一種の被害者的意識よりも、もっと積極的に他者の話を意識的に興味を持って聞くようになった。