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コミュニティの創り方、続け方【前編】
コミュニティの作り方続け方、なんて言うと大層に聞こえてしまうかもしれないけど、最近読んだ「世界2.0 メタバースの歩き方と作り方」に生態系の作り方が解説されていて、自分がやってきたこととすごく被るし、これからの発展にすごいヒントをもらったので、重ね合わせて書いてみようと思いまして、改めて振り返ってみました。
◆世界2.0による生態系(≒コミュニティ)の作り方の基本
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・メタバースは世界を創造すること
さて、世界2.0では、最近バズワードになりつつある「メタバース、web3.0、NFT」などによって私たちの住む世界がどのように変わるかを、この業界の最先端を行く著者がつづっています。私たちは時間のほとんどを仮想空間(マトリックスとか竜とそばかすの姫とかの世界)で過ごすようになっていきます。そして「メタバースとは世界を創造すること」であり「神の民主化」という説明をしています。現世界は神が創ったという言い方が通じるかもしれませんが、メタバースの世界は神ではなく人が「世界」を創るので「神の民主化」というわけです。
・世界はどのように作られているか?
さて、世界を人が創れるようになるわけですが、そもそも「世界とはどんな要素でなりなっているのか」というのを知らなくてはいけません。そこで著者はこのように定義しています。
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人が目で見て触れて五感で感じることのできる「空間」と、国家や社会やコミュニティのように、人間の頭の中にある「生態系」の二つの要素で成り立っていると言っています。
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・良いコミュニティにある「3つの特徴」と「3つの価値」
空間については、様々な技術でどのようなステップで創られていくかが記されていますが、今回の趣旨とはズレるので本書に委ねることにして、二つ目の「生態系」について少し引用させていただきますと、うまく回っている生態系(≒コミュニティ)には「3つの特徴」と「3つの価値」があると言っていて、まず「3つの特徴」から見ていくと、それは「自律的」「有機的」「分散的」と言っています。
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簡単にそれぞれ説明すると、
①自律的→指示や命令がなくてもメンバーが自分で考えて行動し、改善を繰り返す。まるで集団そのものに意思があるかのように動く。
②有機的→メンバー同士が交流しながら、全体を形作る。人の出入りがあっても以前と変わらずに動き続けます。
③分散的→司令塔や指揮官がいなくても全体が止まることなく動く。
また、「3つの価値」については
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こちらも簡単に書くと
①実用的価値→儲かること、役に立つこと。
実生活で役にたつモノやサービスや情報。
②感情的価値→共感できること、ポジティブになること。
直接的に生活の役にたつわけでも儲かるわけでも無いが、人間の感情がポジティブな影響を与えること。
③社会的価値→世の中全体にとってプラスになること。
例えば寄付行為。自分にとっては実益は無いが、この寄付で社会全体が良くなれば良い、と思える価値。
となります。
非常に抽象的な表現になっているので、なかなかイメージがわかないと思うのですが、僕の体験とかなりリンクして腑に落ちたので、僕の運営しているコミュニティのひとつである「うちやまコミュニティ農園」に当てはめて、改めて整理してみようと思います。
◆うちやまコミュニティ農園に置き換えてみる
2019年6月、佐久市内山地区に「暮らしの中に農を~みんなでみんなで耕し、みんなで創る~」をコンセプトにした「うちやまコミュニティ農園」をオープンしました。こちらはコワーキングを運営してる僕と、この地区にIターンで就農したつながり自然農園の磯村聡さんと共同運営しています。
クラウドファンディングを実施し、リターンに会員権をつけさせて頂き、そちらを支援していただいた方を含む10名と共に、休耕地だった約1.8反(≒1,800㎡)を借りてのスタートでした。
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そして、今年で4年目となりますが、現在ではこの場に関わるメンバーが子供含めて約80名(「この場」というのは、コミュニティ農園から派生して様々なプロジェクトが生まれているため表現を変えました)、面積も約6反(≒6,000㎡)となり、様々なコトが起こるコミュニティ、僕的にいうとコワーキングになってきています。
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本当に一緒に運営している磯村さんや、面白がって集まってくれたメンバーに恵まれました、としか言いようがないのですが、先ほど紹介した世界2.0の良い生態系に当てはまることがたくさんあるので、重ね合わせて整理してみました。
・最初に設計した「3つの価値」
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まず、「うまく回っているコミュニティにある3つの価値」に当てはめてみたいと思います。これは農園をスタートする際にはある程度設計はしていましたが、他人に広めたいというよりは、主宰の僕ら自身が、この場に感じていたことでした。まずは自分たちが心から欲しい場所を作りたいという思いが先行しています。(これが一番続く秘訣かもしれません)
そして、クラウドファンディングやリアルの説明会などで、この価値を伝えていきました。
実際に、今いるメンバーにどこの価値に共感して参加してもらっているのか聞いたことが無いのですが、「実用的価値」が参加のきっかけで、だんだんと「感情的価値」の方に重きが置かれているんじゃないかなと思っています。ゆるい場なので「社会的価値」については真剣に語ったことはないですが、たぶんメンバーそれぞれがそれぞれ思う「社会的価値」を感じてくれていると思います。
4年続けてきて思うのは、この3つの価値の重きがシフトしてくるということです。「野菜の作り方が学べる、収穫できる」といった実用的な価値がないと来るきっかけがないのでこれは必須ですが、来る回数を重ねるごとに「感情的価値」に重きがシフトしていると感じます。やはり「実用的価値」だけではどこかで飽きが来てしまうと思いますし「主催者対メンバー」の構図のままだと思います。だからこそ、この場のメンバーとの積極的な交流(たとえば、他のメンバーの拠点に遊びに行ったり、メンバーが主催するイベントに参加したり、時にはメンバーの困りごとのお手伝いにいったり)が起こる中で、自分の特徴を活かせる場面や、助けてもらえる場面が増え、この場をきっかけに「メンバー対メンバー」の関係が出来上がり、主催者側が提供した価値以上の価値をメンバーが自ら感じる、いや創るようになっていくのだと思います。本当にメンバーに恵まれたことにつきますが、非常に良い感じになってきていると思います。メンバーの皆さん本当にありがとうございます。
・「3つの特徴」は後から備わって来る
よいコミュニティは「自律的」であり、「有機的」であり、「分散的」であると先に紹介しましたが、なんとなくいろんなコミュニティづくりに関する書籍や自分の経験から、この3つはどこかで意識して活動していたと思います。
けれど、これは具体的に何か仕向けたとか、ノウハウをつかったとか、統制したとかそういったことではなくて、上述したように「主催者対メンバー」ではじまった関係性が「メンバー対メンバー」になり始めたと同時に、備わってきたと感じています。
世界2.0の中にも書かれているのですが、コミュニティの理想形は「自然界」で、例えば森だったら光や水、生い茂る木々や植物やそこに生息する動物、そして土の中の微生物が、誰からの指示なく作用・補完しあって維持されています。
コミュニティも同じことで、その要素が「自律的」「有機的」「分散的」なんだと感じています。
ほんの少しだけの紹介になりますが、コミュニティ農園に置き換えてみるとこんな感じになっていると思います。
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やはり農業で言うならば土づくりと一緒で、この状態になるには長い年月がかかりますが、こうやって出来上がってきた「自然界的」なコミュニティは強いです。継続していくという意味でも、自律的に生まれるプロジェクトという意味でも。
もうこの場は僕や磯村さんだけの場ではなく、仮に僕ら二人がいなくなったとしても継続していくコミュニティになってきていると思うし、これからも発展していくと確信していますが、それがどう発展していくのか僕ら自身も読めないのが非常にエキサイティングです。今までも僕らの構想を超えていろんなことが起きているので、きっととても面白いコトが起こっていくに違いないと思っています。
・例えばこんな感じに有機的に繋がります。
先日、メンバーがコミュニティ農園の敷地でキャンプしたいと言い出して、自主的に企画されたイベント。僕は農園でパクチーを育ててるので、そこに相乗りして「パクチーパーティー」を企画。また他のメンバーもテントサウナと現在開発中自作のロウリュウ持ち寄ったり、スパイスカレーとパクチーをコラボさせてくれたり、コミュニティ農園を訪れていた客人が音楽持ち込んで演奏会したりなどなど、一人の発案にいろんな色がどんどん有機的に付加されてとても面白いイベントに昇華しました。コミュニティ農園はこんな農園です。コミュニティってやっぱり生物だと痛感します。ある程度のルールは必要だけど、統制したら、やっぱりだめだなと、思います。
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ドローンはメンバーが映像が好きで、撮影してくれました。上空から見るって新鮮ですね。
次回【後編】では、コミュニティ農園から「派生したプロジェクト」や、世界2.0で紹介されている「コミュニティの盛り上げ方」に触れたいと思います。
後編はこちら