きらきら。
絵の具みたいなお菓子だな。
初めて見た時、そう思った。
ショーケースにはカラフルなパートドフリュイが並んでいて、表面のグラニュー糖が光に反射してキラキラと輝いていた。
実際に学校の実習で作った時は、可愛らしい見た目に反する糖度と、しっかりとした酸味に驚いたけど、この糖度と酸味こそがこのお菓子の肝なのだ。
もともとフルーツを保存するために作られたというこのお菓子は、砂糖と酸、そしてペクチンの力で固まる。砂糖も酸もなくてはならない存在で、だからこそあの一口サイズだし、一口で満足できる味なのだと思う。
色々な過去の記憶は、朧げなものから鮮明なものまで様々だけど、一緒にいた人、そこでした会話、そして、食べたもの、のんだもの、そういったものの力で途端にカラフルになると思う。
試作をしていて、出来たものひとかじりした時、札幌の街中で、ひとかじりしたフランボワーズのパートドフリュイを思い出した。ひとかじりで、2cmくらい宙に浮いたと思う。
大阪に引っ越す前、パティシエになるために専門学校に行くと決めてから、いくつか札幌のお菓子屋さんを巡り直していた時。不安とか怖さとかよりも、ワクワクした高揚感があった。どのお店のお菓子かよりも、食べたあの道端の風景の方を鮮明に覚えている。
今回は6月9日・10日に開催の松川さん、Nuさん、mamapapanさん、Tsubame Coffeeさんのイベント「イロ、イロイロ」の日に特別につくる。
色んな絵の具が混じり合った、キラキラと輝いくような日になる。そんな気がしたから、このお菓子を作ることにした。
mamapapanさんが、懐かしい給食パンを作るらしいので、僕もあの頃を思い出すようなお菓子も作ろうと思う。
皆さんのカラフルな想い出。
この日に生まれるキラキラした記憶。
それを思い出すようなお菓子が作れたらいいな。
そんなことをおもいながら作ろうと思う。
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