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自分の力を最大化する方法 -とあるバスケ選手から学ぶ考え方-

私がその選手を知ったのは2016-17シーズンの富山グラウジーズ。
2018-19シーズンこそ富山はチャンピオンシップへ進出し、現在もB1中地区3位に位置しています。(負け越してはいますが)

しかしそのシーズン、富山は18勝42負で降格の危機。その選手がいなければ富山は今頃B2だったのかも知れないのです。
その選手とは


岡田優。

2016-17シーズンの残留プレーオフ2回戦。
国立代々木競技場で行われた横浜ビーコルセアーズとの試合で、富山はシーズン中盤までスコアリーダーだった城宝選手が怪我で出られない状況。
しかし、城宝選手に替わってファーストオプションを担った岡田優選手は試合を支配し、25得点を上げ富山を残留に導きました。

※その映像はこちら


今日はその岡田優選手のプレーから「自分の力を最大化する考え方」について解説したいと思います。


田選手の特徴

岡田選手のポジションはSG。シュータータイプのSGであり、特徴的なのは空中で前後左右に流れながら打つ滞空時間の長いジャンプシュート。そしてスリーポイントシュート。いずれも精度が高く、この2つが彼の武器です。
しかし、入替戦といえど舞台はB1。これだけで25得点は難しいと思います。
彼は素早いドライブやハイテクニックなドリブルスキル、高さや身体能力があるわけではないからです。
ではどうやって25点を横浜から奪ったのか?

それが、発生方法×軸×派生の掛け算によって自分を多彩に見せる。
「自分の力を最大化する」考え方です。

具体例で説明していきます。


発生方法×軸×派生の掛け算

例えば1on1からジャンプシュートを打つ場合、発生方法×軸×派生の式に当てはめると以下のようになります。

1on1 → ジャンプシュート → シュート ※動画の3:06でのプレー

ジャンプシュートで攻撃する1つ目のバリエーションです。
ここにオフボールでスクリーンを使ってからジャンプシュートを打つパターンを加えた場合は

スクリーン → ジャンプシュート → シュート

となります。
やってるシュートは同じです。しかし、発生方法を変えただけでジャンプシュートが2種類の攻撃方法になりました。
「それくらい大したことない」と思う方もいるかもしれません。

しかし、「ボールを持ってからは警戒が必要」な相手が「ボールを持つ前も警戒しないといけない」相手になったと想像してみると脅威の変化がわかるかと思います。
DFにとって相手の軸となるプレーの出どころが増えるとかなり対応が忙しくなるのです。

ではさらに、ジャンプシュートからパスへ切り替えるパターンを加えるとどうなるかというと

1on1      → ジャンプシュート → シュート
スクリーン → ジャンプシュート → シュート
1on1      → ジャンプシュート → パス
スクリーン → ジャンプシュート → パス ※動画の2:55でのプレー

2つの発生方法に加え、2つの派生方法を足したことで計4種類の攻撃方法になりました。
しかし、軸はあくまでジャンプシュートです。

味方と協力すればさらに選択肢が広がります。

1on1    → ジャンプシュート → シュート
スクリーン  → ジャンプシュート → シュート
1on1    → ジャンプシュート → パス
スクリーン  → ジャンプシュート → パス
宇都選手のドライブからハンドオフ → ジャンプシュート → シュート
宇都選手のドライブからハンドオフ → ジャンプシュート → パス
※動画の5:37でのプレー

ジャンプシュートだけでも既に6種類になりました。
ここまでくるとDFはかなり忙しいです。クイックネスやハイテクニックなドリブルを持っていなくても既に脅威です。

そして岡田選手はこれにCカットやフレアカット、ハイピックや速攻からもジャンプシュートを繰り出してきます。さらにはスリーポイントシュートもあります。

発生方法×軸×派生の掛け算によって自分を多彩に見せる。
これが岡田選手のやっている「自分の力を最大化する」考え方です。


・手札を切るタイミング(自分の見せ方)

しかし、この考え方にも欠点はあります。

1on1    → ジャンプシュート → シュート
スクリーン → ジャンプシュート → シュート
1on1    → ジャンプシュート → パス
スクリーン → ジャンプシュート → パス
宇都のドライブからハンドオフ → ジャンプシュート → シュート
宇都のドライブからハンドオフ → ジャンプシュート → パス

先ほど挙げたこの6種類の攻撃も軸であるジャンプシュートが相手に慣れられたり、見切られてしまったり、体力の消耗で精度が落ちたりすると途端に全て機能しなくなります。

そして岡田選手には「城宝選手に替わる富山のファーストオプション」という責務を抱えています。終盤にジャンプシュートが入らなくなったり、「ネタ切れ」になることは許されないのです。そうなってしまえば相手の脅威でなくなってしまいます。
なので、使いどころの判断はシビアにならなければなりません。

ではどうするのかというと、岡田選手は流れがどちらにも来ていないときや自分達に流れがあって点が取りやすい状況では無理をしません。
しかし、相手が初得点を決めた直後や15点差から追いついた場面など、相手に流れが行きそうな場面で手札を切ります。(動画1:28、5:08でのプレーなど)
これも40分間自分を多彩に見せ、相手の脅威であり続けるための工夫と言えます。


・自分の力を最大化する考え方

多くの人は自分に足りないものに憧れ、それを自分に足していこうと考えます。
しかし、岡田選手のプレーから見える考え方は「自分に今あるものを最大限に活かす手段の追求」です。

この考え方によって、むやみに自分の特性に合わないものを身に着けようとするよりも、比較的簡単に向上することができる人は多いのではないかと思います。
これはバスケット以外のシーンでも活きる考え方だと思います。例えば仕事ならば「自分の売り方」という点でヒントになるかと思います。


この記事のまとめ

・発生方法×軸×派生の掛け算によって自分を多彩に見せることができる
・使いどころを考えれば、より自分を脅威に見せられる
・足りないもの足すより、今あるものを最大限に活かす事を考える


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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岩沢マサフミ
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