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DCで成功するための走り方を考察する


はじめに

みなさんこんにちは。真佐まつりです。
先日行われたデュエリストカップ2024SEPにて、ついに念願の銀アイコンを獲得する事ができました。https://x.com/MasaDuel/status/1840592117057675670 

ただ、今回私が銀アイコンを取れて感じたのは、アイコンを獲る前には想像していなかった感覚でした。
それは「私より強い人は世界に100人以上いる」というものです。

銀アイコンは紛れもなく「世界100位ランカー」の称号です。
獲れた事も本当に嬉しいです。
しかし、今回率直に「遊戯王の強さ」と「DCの最終結果」は必ずしもイコールではないと感じました。

今回私が銀アイコンを獲れたのは、「走り方がハマったから」「運が良かったから」。
もちろんある程度遊戯王の実力も必要なので、努力なくしてこの結果はあり得ませんでした。
しかしそれと同じくらい「DCの走り方」も重要なのだと気づかされました。
もし私が次も銀アイコンを欲しいと思うのなら、今以上に努力しなくてはいけませんし、走り方も研究しなければいけないと思いました。

今回の記事では、なぜそれほど「DCの走り方」が重要なのか、具体的にどういう走り方をすべきなのか、考察していきたいと思います。

”強さ”の種類

みなさんは、「遊戯王が強い」という状態をどう定義するでしょうか。
極端な例ですが、下のどちらのプレイヤーが「強い」か少し考えてみてください。
A:トーナメントの1回戦~決勝戦まで一定の勝率60%が出せるプレイヤー
B:トーナメントの1、2回戦では勝率80%が出せるが、それ以降では勝率40%のプレイヤー

決勝ではAの方が圧倒的に勝つ

界隈で一般的に「強い」と言われているプレイヤーはAのプレイヤーかと思います。事実としてAの方が64人規模の大型大会などでは最終的な平均勝率が高くなり、優勝回数も多くなります。
対してBのプレイヤーは2回戦まで安定して進む事ができますが、毎回決勝付近で敗れ、上位プレイヤーとのデュエルでは負けてしまい、優勝を逃してしまいます。いわゆる「雑魚狩りマン」というやつです。

ではDC形式ではどちらのプレイヤーが銀アイコンを獲りやすいのか?

私はBの「雑魚狩り」できるプレイヤーなのではないか?と考えています。
大会形式によって、有利となる強さが変わるのです。

下位のプレイヤーに勝つ重要性

DCは勝つと大体1000DP、負けると大体-1000DPされ、それを金曜日の昼13:00から月曜日の昼13:00までの72時間自由なタイミングで対戦し続け、最終的なポイントを競い合う競技です。

これだけ聞くとかなりシンプルで、「なんだ、勝率51%さえ超えてれば、たくさん試合したら良いんじゃん」と思うかもしれません。
私もそう考えていた時期がありました。
しかし、現実はそう甘くありません。

私は、2024 3月のDCで圧倒的なタイムパフォーマンスを誇る超重武者を使用していました。一試合5分で終了し全体勝率も55%近く出ていて、これで誰より試合数をこなせば、どんなに沼ってもいずれ銀ライン争いは可能だろうと思っていました。

結果は34327DP。銀ラインの50000DPに掠る事もできませんでした。
そして肝心の試合数は375試合。想定よりもきつかったのを覚えています。

きつかった理由は2つあります。
1つ目は最終日に近づくにつれミラーマッチが増えて、永続入り十二獣やドロバ等の致命的なメタも受けるようになってしまった事。
2つ目は終盤、上位帯でのデュエルがありえないほど体力を消耗し、集中力を欠いてプレイミスを誘発してしまう事。

この失敗から気付けることが沢山あります。
①限界となる試合数は人によって決まっている事
②日によって対戦相手の構築やプレイが変化する事
③順調だと上位帯とマッチングし、DPを盛るのが難しくなる事
④体力を失うとプレミによって自分が弱くなる事

特に①試合数の限界は、もの凄く重要な事項です。
私の場合、普通のデッキなら大体250試合、どんなに頑張っても300試合程度しか走れない事が分かります。
それ以上走るには、何試合やってもプレミしないよう身体にプレイを覚え込ませたり、簡単なデッキを握ったり、今以上に体力を付けたりする必要があります。

もし今の実力のまま銀アイコンを目指すなら、序盤から勝率60%以下だと銀アイコンを安定して狙うのが難しいという事が分かります。
これをご覧ください。

AIによるDCシミュレーション
シミュレーションその2

これは、ChatGPTに全試合を一定の勝率60%のデッキで300試合走ってもらった結果です。
実験を2回、合計6人分シュミレーションしてみましたが、銀アイコンラインに届いたのは丁度半分の3人だけでした。勝率60%は凄いはずなのに少し意外です。
考えてみれば当然で、勝率60%のデッキで300試合した時のDP期待値は60000DPとなり大幅に銀ボーダーを超えるのですが、もし勝ち/負けが正規分布の形をとると仮定するなら、おおよそ40~50%くらいの確率で銀アイコンを逃すはずです。リボルバードラゴンが成功する確率と同じくらい。

この日の為に3か月間頑張って練習しているのに、コイントスを外すかのように銀ボーダーを逃してしまうのは割に合ってないです。
また、毎回上位を取っている人がコインの上振れを引いているとは思えません。明らかに実力で毎回上位に食い込んでいます。

では実際に私がDCでどんな戦績だったかというと、今回の全試合数は約217試合とかなり少なく、序盤では勝率を80%近く出していました。
序盤の自分より劣る実力のプレイヤー達に対して圧倒的な勝率を叩き出す事で、少ない試合数で常に銀アイコンボーダーの少し手前くらいを追走する形を取ります。
そうする事で無駄な体力の消耗を防ぎながら、目標ラインへのチャレンジをより確実なものにします。

上位帯どうしのデュエルでは、金アイコンを獲るような実力の人でも良くてせいぜい勝率50~55%程度しか出せないはずなので、銀ボーダーに入ってからの勝率はさほど差が出ません。そこからの勝率が多少低くなっても、あせらずに捲る事は可能です。

そのため、DCでの勝率はこう解釈し、目標設定すべきです。
✖「常にわずかでも勝ち越してさえいればいい」
〇「序盤は80%以上の高勝率を出し、目標ライン手前では60%、自分より実力が上の帯域では50%、というように緩やかに勝率が下がるイメージ」

基本的に構築で得られる勝率というのはトレードオフだと思います。何かを選べば、何かを失います。もし上位帯のデッキに強いメタビートのようなデッキを組む事が出来たとしても、雑多なデッキへの勝率が落ちます。逆もまた然りで、雑多に強く実力が反映されやすいTier1を握れば、その対面を強く意識している上位勢や、自分より実力で勝る相手への勝率は盛りづらくなります。

DCにおいては全員0DPからスタートするので、圧倒的に下位プレイヤーとのマッチングが多いです。
さらに多少のメタでも揺るがない上位プレイヤーに勝つ努力をするよりも、下位のプレイヤーに勝つ工夫をした方が簡単に勝率が伸びます。
そして、もし同じ実力どうしであれば、沢山試合数をこなして疲れているプレイヤーよりも、たくさん休憩を取って挑んでいるプレイヤーの方がミスが少なく、早く正確な判断ができる事は明白です。
結果的に、上位勢とのデュエルでも有利になるはずです。

だから、DCにおいてはいわゆる「雑魚狩り」が強いと考えているのです。

DP/順位ごとの違い

DCではDP/順位ごとにプレイヤーの質が変わります。
以下の順位はあくまで目安ですが、大体こう考えています。

1~50位

常人には到達しえない神の領域。
明らかに構築もプレイも洗練されていて、ほぼミスなく200試合以上こなすような人たち。
勝率は50%近く出すので精一杯。
負け越して当たり前なので、銀アイコンを目指すなら戦わない方がいい。
仮に金アイコンを目指すならこの層と100戦以上戦わなくてはいけないので、完成された構築とプレイだけでなく、それを長時間こなす体力が必要になってくる。

50~150位

銀アイコン争い、あわよくば金アイコンラインを目指している層。
構築もプレイもめちゃ上手いので60%の勝率を出すのは困難で、自分の構築やプレイにどんなに自信があっても、基本は五分の勝負になる。
基本的に丁寧に裏目の少ないプレイをするのでミスは少ないが、常軌を逸しているほどでもないので実は疲れている時に割とミスをする。
逆に言えば1ミスで試合を落とすという事でもある。
しっかりと体力を残しておけば寝不足のプレイヤーに対してミスを拾い、勝率を勝ち越しに持っていく事ができる。
しっかりと勝てるデッキを使い、睡眠を取り、最もミスをしない事が求められる帯域。

150~500位

環境以外のデッキで頑張っているプレイヤーや、環境デッキの調整に若干失敗気味のプレイヤーが停滞している印象がある領域。
しっかりとテーマの強い動きや先攻展開を通す技術を持っている。
しかし、細かい誘発の撃ち方に若干甘えがあったり、試合がもつれて難しい展開になった際にミスしやすいなど、分かりにくいけれど穴のあるプレイを期待する事ができる。
私は毎回基本的にこの辺りの領域にいて、今でも実力的にはこの辺りだと思っている。精進。
最終日付近では「このままだと銀アイコンに届かない」という焦りも出てくるので、心が折れたプレイヤーから極端なメタカードやイージーウィンできるカードを採用してくる傾向にある。

500位~1000位

いわゆる魔境地帯。
環境デッキの他に、環境デッキに対してイージーウィンを狙えるメタビートのようなデッキをちょくちょく見かける。
この領域に入ると先攻しか勝てないデッキや明らかに初動率が足りてないデッキなどが散見されて、そんなデッキに運負けしてしまう被害報告が後を絶たない。

勝つ技術の違い

上位勢には勝率50%、自分と同じくらいの相手に勝率60%、自分より下位の相手に勝率80%を目指すとして、それぞれ必要な技術/構築が違います。
例えば手札誘発。上位プレイヤーはメジャーな誘発をケアしてくるのでドロバのようなピーキーな札でないと働いてくれない場合もあるかもしれませんが、下位プレイヤーは雑多なデッキを好むのでエフェクトヴェーラーのような丸い札を採用するべきです。
プレイにおいても、下位プレイヤーに対して劣勢な状況の時に、相手のプレミを期待して敢えて妨害を吐かないといったプレイが状況を好転させる事があります。上位勢のプレイミスは期待できないので、どんどん妨害を吐いて運ゲーに持っていく事も必要かもしれません。
事前の練習で、対戦相手がどれくらいの実力か?その相手に今のプランで勝率何%くらい出るのか?を考えながら練習するのは、有効な方法かと思います。

具体的な戦略

私の普段の最終順位は300~1000位程度。
ここからどうやって残りの約200人に差をつけていくか、重要な話です。

今回私が常に考えていたのは
①対戦相手のミスを拾う事
②自分が疲れによるミスをしない事
③自分より実力が上だと思われる銀ライン勢と極力試合しない事
でした。

相手のミスを拾うプレイというのは、ひとことでいうと「劣勢でも諦めない」という事です。
「誘発のケアを怠るかもしれない」
「リトルナイトを使った事を忘れてリーサルを取りに来るかもしれない」
「クリックミスで妨害数がめちゃ減るかもしれない」
「タイムアウトをするかもしれない」
こんな「かもしれない運転」です。
そして、極力相手がミスをしやすい状況に連れていきます。試合を長引かせて普段練習していないであろう試合展開にしたり、敢えて相手に選択肢を与える事で選択ミスをさせたり。
もしこれが一晩限りの大会だったら、これは徒労に終わるでしょう。
しかしこれはDCです。
24時間以上遊戯王をプレイしていて、集中力を欠かない訳がありません。
どうせ手札の質的に負ける試合なのであれば、そのように戦略を切り替えるべきです。
デッキ選択も重要で、あっさりと試合が終わるデッキよりも、劣勢状況でも粘り強く戦えるデッキの評価が上がります。

そしてこれは自分にもブーメラン。
DC中に絶対に集中力を欠いてはいけません。難しい試合になった時、相手より先にミスってしまっては本末転倒です。
私は常に「最上位勢との混戦にもつれ込んだ時、プレイで負けても集中力で負けないか」、「次の一回を運で落としてしまった時、その次のゲームも集中力を落とさず取り返す気力があるか」を自分に問いかけて休憩するか考えていました。
これは基準としては結構高いと思います。実際に私は終盤になるほど、数戦して昼寝、散歩、お手洗いを繰り返していました。

最上位勢と極力マッチングしない、というのも重要でした。
DCでは近いDPの相手とマッチングさせられるので、自分が上振れて実力以上の順位になってしまった時(30~50位前後)、明らかにWCS出場選手やアイコンホルダーとのマッチングが増えてきたので、おとなしく走るのをやめていました。
今の私では、その人達と戦っても勝率50%以上出せない気がしていたからです。逆に環境デッキ以外とマッチングしたり、相手がミスをするような事があった場合、「これはチャンスだ」と判断してどんなに下振れても走るようにしました。そんな時は下の帯域とマッチングさせてもらえているという事であり、今回の私は下の帯域での勝率が80%近く出るからです。

上位帯でも勝ちやすい瞬間

さて、ここまで、いかにして下位帯を楽に突破するかを説いてきました。
ここからは、いかにしてDP40000付近から勝利し、最後の銀アタックを成功させるかを書いてみたいと思います。

ズバり、「相手が弱くなった所を狙う」。これです(ドン‼)

もうなんかさっきから内容的に炎上しないか心配になってきました。
ですが本当にこれを狙ったら勝ててしまったので、言い訳できません。
具体的に相手が弱くなる瞬間というのは2パターンあります。
①寝不足や連戦で疲れている時
②デッキを変更した時

まず①疲れている時というのは容易に想像がつくと思います。実際に私自身が何度も経験した事です。なにより怖いのは、疲れで集中力が低下すると「自分が疲れている」という事実に気付かなくなってしまう事です。
集中力や思考力が低下した状態で走り続けるゾンビになってしまったプレイヤーは、もはやDPを吸い尽くされるだけの餌と化します。
このプレイヤーを狙いやすいのは、1,2日目であれば深夜3~6時が狙い目です。逆に3日目や最終日だと、作戦として深夜に走るようなプレイヤーしか残っていないので狩りにくくなる印象です。そういう時は逆に7~11時くらいの早朝が良いです。徹夜明けで外が明るくなった時ってちょっと心に来るものがありますからね。

そして②デッキを変更した時というのも、実は相手が弱くなっていると思います。これは私自身がそうなのですが、いくら練習していたデッキだったとしても、いきなりデッキを変えると展開とか妨害の吐き方とか忘れませんか?相当な練習量と器用さが無いと、デッキ変更はかなり難しいです。
「メタが変わったな」と思って違うデッキ握るとめちゃ負けるアレ、ほんとなんなんでしょうね。
このようなプレイヤーは、環境の分布が大きく変わった時にしばしば現れます。同じくらいのDPで走っている仲間と戦績を共有しながらDCを走るとデッキ分布が見られるので、おすすめです。

そして実は「みんなが疲れていて、使用デッキも変更している最強の時間」があります。
ずばり、最終日です。
最終日は焦りも出ているので即サレも大量に発生しますし、心が折れたプレイヤーがデッキを変更してワンチャン賭けに来てるので非常に盛りやすい時間帯と言えます。
もし残りの数千DPで銀チャレンジしたい!と思ったら、最終日の朝7時頃から潜るのが良いんじゃないかなと思います。

私は150位くらいの銀ライン一歩手前から、上位帯でデュエルする回数を極端に減らし、これらのタイミングで走る事によってDPを盛る事に成功しました。
DCで金アイコンを目指すならたくさん走らなきゃいけないと思いますが、銀アイコンだったら少ない試合数で獲れるのかもしれません。

最後に実際の私のデータをお見せします。
これは今回の私のDCの様子を、横軸を時刻、縦軸をDPで表したグラフです。初日は夜まで続けて走っていますが、2日目の夕方あたりで銀アイコンラインの手前まで追いついてからは、頻繁に休憩を繰り返していることが分かります。最終日付近では上振れもあり46000DP近くの銀アイコンラインに乗っていたため、最後の数千DPをいつ盛るか探りながら走っています。深夜0時頃から走り始めましたが、深夜は上手いプレイヤーが多い上に下振れを引いてしまった事もあり、結局朝7時付近から勝率を盛り始められました。

おわり

いかがだったでしょうか。
私自身DCでの初めての銀アイコンだったので、間違った事も言ってしまってるかもしれません。
ですがこのアイコンはたくさんの方の応援や、コーチによって達成できたものだと思っているので、私がアイコンを獲るために重要だと思った事を正直に書いてみました。
これから2つ目、3つ目の銀アイコンを獲っていったらノウハウがアップデートされていくかもしれません。そうなったら面白いですね。
今後とも応援よろしくお願いいたします。
ではまた。おつまつり!


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