Desconocidos / 異人

他の国に住んでいると、日本では亡くなっているのと同じことになる。
と村上春樹がエッセイで書いていたと思う。
今回スペインに戻ってきて、その逆を体験した。
街で偶然見かけた昔の友人に声をかけたら、ペットセメタリーから戻ってきた動物を見てしまったような反応をされてしまった。
私見た　大変なものを見た
というやつ。ちょっと振り向いてみた異邦人というよりは、異人。
異人そのもの。
まあ、そういうこともありますよね。
と言いながら、結構なショックを受けたりしている。
ああ、もしも私があなたなら、そんな仕打ちはしないだろうに。

一方、日本に住んでいる友達に何故か知らないがLINEを送りたくなってメッセージしたら、「まさにLINEしようと思っていた」という返信をもらう、というのが３度続いた。
社交辞令でなければ、かなり遠距離の虫の知らせが続いている。
夏だから、盆だから、というと、ますます自分があの世から交信しているような気がしてくる。

映画「異人たち」で、主人公たちがクラブに繰り出すシーンがあって、そこでかかっている曲がPet Shop Boysの「I want a dog」のFrankie Knuckles Mixだった。
「犬がほしい／チワワがいいな／狭いアパートに戻ってきたら何かの鳴き声が聴きたい」という歌詞で、オリジナルバージョンは犬の鳴き声のサンプリングとチャカポコしたサウンドプロダクションで、めっちゃB面のために生まれた曲っぽいのだが、このリミックスではしっかりハウスになっている。しかし、歌詞の寂しさはリミックスされても変わらない。
そんな曲に合わせて大盛り上がりで踊り明かすクラウドはどんなにみんな異人なんだろう、混ざって踊りたいな、と思いながら観た。