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ちょうどいいサイズの永遠「バタアシ金魚」。
望月ミネタロウさん…当時は漢字で望月峯太郎さん。デビュー作でもある「バタアシ金魚」が大好き。
高校生のカオルが、ソノコにクレイジーなまでの恋をして水泳を始めるってのが大枠のストーリー。筋らしい筋がない。5巻の辺りとかかったるい感じすらする。
基本はスラップスティックなギャグ漫画なのに、なんか突然ハッとするセリフがあったり、カオルのソノコに対する、もはや現代ではストーカーと呼んでもいいくらいの純粋な偏愛っぷりに胸が苦しくなる。
なんか、恋愛の気持ち悪さってありますよね。思春期の他人との距離の取り方がまだ分からない感じ。若いから許される気持ち悪さみたいなもの。
そういう、思春期だけに許された、ギリギリ子供だから許された、わけのわからなさみたいなものが真空パックされたような作品だから好きなのかな。
今だから告白するけど、小学2年生の時、とても好きだった子の家に行ってみたことがあって。ただただ、家の前まで行ってみて帰るだけなんだけど、大人になってやったらストーカー。でも、当時はそんな意識すらなく、好きだから行ってみたかったってだけだった。時効なので許してほしい。大人になってからはやってません。これが小学生の頃のあるあるネタであることを願う。
バタアシ金魚読んでると、その頃のこと思い出したりする。「好き」って感情をどう表現したらいいかわからなかった時期のこと。ナチュラルにクレイジーだったあの頃。
ちょうどいいサイズの永遠。終わりそうで終わらない夏休み。そのすべて。
あの頃より少しはワケわかってきたけど、今だって僕たちは全然冷静じゃない。 そんな風に思える作品だから、折を見て読み返してます。いつまでもこの世界観が自分の中で大きな部分をしめてる。
↑世界で一番ロマンチックな瞬間だって本気で思ってる。
たしか、岡崎京子さんも作品中で望月峯太郎のことを天才って評してたと思う。カオルくん大好き〜みたいな表現もあったような。
望月ミネタロウの近作も大好きだけど、バタ金は、もう天才がその才能だけで描いたみたいなすっごい稀有な作品だと思うので、もし未読の人がいたら読んで欲しい。
ちなみにバタアシ金魚に触発されてリリカルスクール「Crawl(For You!)」って曲を提供しました。ラップ部分はアナ大久保くん。
「激しすぎるクロールなのに水しぶきだけで、前に進んでない」ってサビの歌詞が自分でもすごく気に入ってます。男子はいつだって、がむしゃらな姿を「バカだなぁ」って思ってくれる女の子が大好きなもんなんだぜ。
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